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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第1戦 ラスベガス[初日]フォト&レポート

<US-RACING>

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今年最初、予選初日のポール・ポジションを獲得したのはポール・トレイシー。今年17年目のシーズンを迎える大ベテランが貫禄の走りを見せた。午前のプラクティスではトップから0.076秒差の2位、予選直前のプラクティスでは3位に入り、出だしから好調のトレイシー。迎えた予選、開始後9分に1回目のアタックに出ると、すぐさま2番手につける。2回目のアタックは、30分セッションの残り8分にレッド・タイヤでコース・イン。それまでの暫定タイムを1秒以上更新する1分19秒784の最速タイムをマークすると、セッションを2分残して余裕のピット待機を決め込んだ。一時、ルーキーのサイモン・ペイジニューがコンマ2秒差まで迫り、肝を冷やす場面もあったが、最後までタイムは破られることはなく、そのまま初日のポールが確定。今年最初のチャンピオンシップ・ポイントを手にした。17年目を迎えてもまったく衰えを見せないトレイシー。明日は通算26回目のポールを目指す。

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最後までトレイシーを追い詰めたのは、昨年のアトランティック・シリーズ・チャンピオンのルーキー、サイモン・ペイジニュー。予選直前プラクティスでトップ・タイムを記録した勢いそのままに、デビュー戦ながら予選初日の2位をゲットした。予選は1回目のアタックからトレイシー、タグリアーニといったベテラン勢を相手に、まったく引けをとらない走りを披露。アタック中にサスペンションを壊し、7位に沈んだチームメイトのウィル・パワーとは異なり、確実にタイム・アップを図っていく。2回目のアタックでは、セッション残り2分に1分19秒998をマーク。トレイシーに次いでただひとり1分19秒台に入れ、なおもアタックを続けるが、時間切れとなってしまう。トレイシーを上回ることはかなわなかったが、その実力を堂々と見せ付けたペイジニュー。明日の最終予選での初参戦、初ポールも夢ではないはずだ。

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3位に入ったのは、ディフェンディング・チャンピオンのセバスチャン・ブルデイ。午前のプラクティスではトップ・タイムを叩き出し、今年も相変わらずの速さを見せたが、午後は一転して電気系のトラブルに見舞われる。予選直前プラクティスは走行したものの、14位が精一杯。予選セッションが開始されてからも、問題解決に向けて必死の作業が続き、開始後13分に一度コース・インしたが、ゆっくりコースを回っただけで再びピット・インしてしまう。ようやくタイム・アタックに出たのは、セッションの残り10分。やっと順調に走り始めたブルデイは、次第にスピード・アップを図り、11番手、4番手とポジションを上げ、最終ラップで1分20秒197をマークして3位に滑り込んだ。予選で走行が許される15周中、8ラップのみで3位まで上り詰めるあたり、さすが3連続チャンピオン。明日もこの男から眼が離せそうにない。

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パノスDP01で今シーズン最初のクラッシュを演じたのは、パシフィック・コーストのルーキー、アレックス・フィギー。午前のプラクティス開始から41分、ターン3のアプローチでバランスを崩したフィギーは、そのままタイヤ・バリアに激突した。幸いフィギーにケガはなかったが、このクラッシュの影響でレッド・フラッグとなり、セッションは中断。今年からユニフォームが一新されたホルマトロ・セーフティ・チームが早くも出動した。長年セーフティ・チームに工具を供給していたホルマトロが、今年はタイトル・スポンサーとなったセーフティ・チーム。いつも通り迅速に作業を遂行し、わずか8分でセッションを再開に導いた。

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初開催のラスベガス・ストリート・コース。午前中は快晴となったが、午後からは曇り空に覆われた。気温は31度まで上昇し、砂漠に囲まれたこの地域としては珍しく、乾いた暑さと言うよりも蒸し暑いという感じをうけた。写真はターン1の進入を写したところ。コースは幅の広いメインスレートから、幅の狭いターン1へと飛び込んでいく。レースではスタート直後のポジション争いが、重要となりそうだ。後ろに写っているのは、最上階にメディアセンターが設置されているワールド・マーケット・センター。新しい開催地だけあって設備は整っているが、何か不満があるとすれば、メディア・センターがパドックや駐車場から遠いことぐらいだ。

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ターン1から緩やかなターン2を抜けた後、コースは線路(ユニオン・パシフィック・レール・ロード)と交わる。同じように線路と交差するサンノゼのコースの場合は、路面電車ということもあって、線路の上を直接またいでいくが、ラスベガスは立体交差の下を通り、ターン3へと進入する。山の地形を利用したモナコやマカオのストリート・コースと違い、ラスベガスのようなフラットな土地で、アップ・ダウンのあるストリート・コースが出来上がるのはとても珍しいといえる。立体交差を駆け上がってきたのはグラハム・レイホール。父親のボビー・レイホールが見守る中で今週のデビュー戦を迎えたが、予選初日はシフトにトラブルを抱えて15番手に沈んだ。

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ターン3からターン4にかけてのストレートは、サウス・メイン・ストリート。写真はターン3を立ち上がるミナルディ・チームUSAのロバート・ドーンボスで、この先にはターン4があり、そこを曲がるとコースはダウンタウンへと入っていく。

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ダウンタウンを抜けるコースは、夜になると鮮やかなイルミネーションが有名なアーケード“フレモント・ストリート”を囲むようにレイアウトされている。

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ダウンタンを抜けた後、コースはターン10、シケインのターン11を通過。再びユニオン・パシフィック・レール・ロードを潜り抜け、最終12ターンを曲がるとスタート/フィニッシュ・ラインを迎える。

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今回、ターン11に急遽シケインが設置された。ターン10から緩やかな坂を上り、“メイン・ストリート”と交差して線路下のアンダーパスへと下っていく(二つ前の写真参照)のだが、その頂点にあたるメイン・ストリートのバンプが大きく、高速域でマシンが宙に浮いた場合にエアがボディ下へ入り、コントロールを失ってしまう可能性がある。そこでオフィシャルはシケインを作ってスピードダウンを図ったわけだが、写真のようにそれでもまだマシンが飛び上がってしまうほどすごい。きれいにジャンプを決めたのは、ロケットスポーツに移籍したタグリアーニ。今日はアグレッシブな走りで5位につけた。

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