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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ第14戦メキシコ・シティ【決勝日】フォト&レポート

<US-RACING>

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最後のピットでタイヤ交換しなかったことでいっきに4.6秒も短縮、レインタイヤのままブルデイは最終ラップのターン6でウイルソンを抜きにかかる。イン側の縁石に完全に乗るような激しい突っ込みで、少しバランスを崩したブルデイはウイルソンにヒット。マシンのサイドポンツーンにはくっきりとウイルソンのタイヤ・マークが入り、左前輪には少し切れ目も入っていた。ブリヂストンのジョー・バルビエリが「バーストしなくて、ラッキーだったねぇ」と言うほどのきわどいものだったようだ。アナウンサーは「まるでトレイシーだ!」と思わず言ってしまった大胆なパッシングだったが、その前後の二人の攻防も含めて実に見応えあるものだった。卓越したバトルを存分に披露し、メキシコのファンも大いに喜んだことだろう。ブルデイはこれで今季7勝目となり、通算23勝目は歴代13位の記録となる。途中から雨となった今回はスタンダードとレッドの2種類のスリック・タイヤ以外に、レインタイヤまで登場するなど、ブリヂストンは大忙しだった。チャンプ・カー同様ワンメイクとなる来年のF1だが、ブリヂストンはレッド・タイヤのシステムをFIAにも薦めているらしい。作戦を解かりやすくしてレースの面白さを伝えるこのシステム、果たしてF1では受け入れられるだろうか?

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今シーズン最後のレースは午後2時17分にスタート。ご覧のようにスタンドは満員で、金曜日の時点で売り切れ。いつもと同じようにメキシコならではの熱狂的な大歓声の中でレースは始まり、曇り空から薄日が差す中でグリーンフラッグとなったが、途中からあいにくの雨となってしまう。それでもほとんどの観客はグランド・スタンドから動かず、ブルデイが追い上げていくたびに歓声が上がり、最後にウイルソンをパスすると大喝采が巻き起こった。まさに最終戦に相応しい盛り上がり方で、心地よいシーズンのエンディングとなったのはいうまでもない。この日サーキットには10万4422人もの観客が集まり、3日間で19万8375人をマーク。今年はベースボール・スタジアムや裏のS字のグランドスタンドを使用しなかったが、フロントストレートとターン1、ターン5から8までのスタンドは満員御礼だった。

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スタート直後、直線に差し掛かったところでサイドバイサイドに並んだキャサリンとドミンゲスが接触。キャサリンの前を走行していたスウォルスマンのスピードが遅かったため、これを避けようとしたキャサリンは、ドミンゲスがイン側にいるにもかかわらず強引にカットインしてしまった。この接触でキャサリンのマシンはエンジンが止まってしまい、セイフティ・チームの助けを得て再始動。ピットインしてフロントノーズの交換だけで済んだが、ドミンゲスに関してはストールこそ免れたものの左フロントサスペンションが曲がってしまったため、修理に時間がかかってしまった。この結果、2人とも周回遅れとなり、キャサリン17位、ドミンゲスが18位でレースを終えた。地元の英雄ドミンゲスに無理なカットインで接触してしまったキャサリンは、ピットアウトの際に連続してエンストしてしまうが、そのたびに観客席からブーイングを受けていた。

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ブルデイとの激しい攻防のすえ、2位となったウイルソン。昨年同様、ポール・トゥ・ウインを達成することはできなかったが、自身最高位となるポイントランキングで2位に浮上することに成功した。チームの売却が噂される中で迎えた最終戦。ドライバーのウイルソンも心中穏やかではなかっただろう。ルースポートがアトランティック・シリーズでオールメンディンガーとチャンピオンを獲得し、翌年チャンプ・カーへステップアップを果たしたのが2004年。参戦僅か3年目にして並み居る強豪チームと同等のパフォーマンスを発揮し、シリーズ・ランキング2位を獲得するまで成長した。チーム自体はPKVレーシングのオーナー、ダン・ペティットが購入して継続するような噂がでているが、これだけすばらしいチームが解散するのだけは見たくない。来年度こそはウイルソンと共にシリーズ・チャンピオンを目指して欲しい。

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前戦のオーストラリアでポール・ポジションを獲得し、トップを独走していパワーだが、チャンピオン、ボウデイに追突されて後退。地元オーストラリアでの初優勝を逃してしまった。しかし、そのときの勢いはこの最終戦でも発揮され、予選ではセカンド・ローとなる4位からスタート。レースでは、雨が降り出してレインタイヤに履き替えると、パワーの走りは冴え渡り、3位を走るベテラン・ドライバー、ジュンケイラを抜き去った。トップ争いを演じていたブルデイ、ウイルソンに追いつくことはなかったが自身最高位となる3位に入賞し、最終戦で初めて表彰台に上がることに成功。パワーはこの結果、見事、今シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。メキシコに着てからは、なぜか地元の女の子達にモテモテだったパワー。グランドスタントには「Will Power make me a Baby!」という垂れ幕を持ったファンがいたほど。ピットレーン、ガレージを歩くたびに女の子達から黄色い声がかけられていた。今回の3位入賞には本人も含め、メキシコのファンも大いに喜んだだろう、来年のメキシコ・シティのレースではぜひ優勝する姿を見せて欲しい。

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昨日の予選で5番手グリッドを獲得したブリスコー。スタートは無難にこなしたかに見えたが、セルビアに後ろからヒットされて右リア・タイヤがパンクし、15番手まで後退してしまう。しかし、そこからブリスコーは必死の追い上げを開始。この日5番目のラップ・タイムをたたき出しながら、一時期8番手まで浮上して見せる。ところが24周目、またしてもタイヤがパンク。デブリを拾い、スローパンクチャーを起こしたタイヤで走り続けていたところ、ホームストレートでバーストしてしまったそうだ。200マイルを超えるスピードがでるホーム・ストレートで、勢い良くバーストしたタイヤはマシンにもダメージを与えてしまい、ピット作業に手間取っているうちにラップ・ダウンにもなり、15番手まで後退。再び追い上げてみたものの、結局14位でフィニッシュした。「ウンザリするレースだった」と本人も語るように、今日のブリスコーにはツキなかった。

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オールメンディンガー、トレイシーの代わりに、2人のニューフェイスを起用した名門フォーサイス・レーシングだが、結果は2人とも周回遅れというトップチームらしくない結果に終わった。もちろん、結果から見れば初めてのレースでマルチネスが9位スタートの9位フィニッシュ、ライスも14位からスタートして10位と共にトップ10内には入賞している。マルチネスはトップフォーミュラーカーのレースが初めてでこの成績と褒めることもできるが、しかし、ライスに関しては、インディ・カーでの経験と、ロード・コースでは良い成績を残していただけにちょっと期待だけが先行した感があった。前戦のオーストラリアから参戦しているブリスコーも緒戦、今回とがんばってはいるものの結果に残せていない。やはり何戦かロード・コースのレースがあるといってもインディ・カーはオーバルが中心のシリーズ。ロード・コースが中心のチャンプ・カー・ドライバーとは少し差が出てもおかしくはないだろう。今回、唯一のアメリカ人ドライバーとなったライスが来シーズン、チャンプ・カーで再び走れることに期待はしたい。