CHAMP CAR

モントリオールを制したセバスチャン・ブルデイがチャンプ・カー・ワールド・シリーズのリードを60ポイント差以上に拡大


もしもセバスチャン・ブルデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がバンダービルト・カップを手にし、3年連続のブリヂストン・プレゼンツ・ザ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォードのタイトルを勝ち取ったならば、曇り空のモントリオールの月曜日が王座までの道を開いたと、彼は振り返ることだろう。
月曜日を楽勝したブルデイはサーキット・ジル・ヴィルヌーヴで40周にわたってリードをとり、今シーズン6勝目とキャリア通算22勝目を手にした。彼が優勝したことよりも、彼を追いかけているドライバーの不運がこのチャンピオン争いに大きな役割を果たすことになった。現在ブルデイは3戦を残した時点で62ポイントもの大差をつけ、チャンプ・カーのポイント・システムでは約2レース分のポイントの余裕があるということになる。
このニューマン/ハース・レーシングのドライバーが優勝し、17位フィニッシュのA.Jオールメンディンガー(#7インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)と、14位に入ったジャスティン・ウイルソン(#9CDWフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)の結果を合わせると、ブルデイは残り3戦の時点でチャンピオン獲得に向けて最適なポジションにいる。タイトルの望みがある両ドライバーは致命的な結果が彼らを襲うまで力強い走りを見せたが、オールメンディンガーはレースをリードしている間にマシンのハーフシャフトを破損。ウイルソンはペナルティーから追い上げ、5番手のヤン・へイレン(#11ミューマンズ・グループ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)をパスしようとしたときにターン15のウォールに激突した。
ブルデイはポール・トレイシー(#3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)を抑えて優勝し、現役ドライバーの中でアメリカン・オープン・ホイールの最多優勝記録を持つトレイシーを、最終ラップのリスタートで下した。トレイシーは今シーズンの自己ベスト・タイの2位フィニッシュ。3年目のドライバーのネルソン・フィリップ(#4CTEレーシング‐HVMフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は3位フィニッシュで、ここまでが表彰台圏内となる。フィリップはこのレースを11周にわたってリードし、10番手のスタートからキャリア自己ベストに並ぶ3位を獲得した。
月曜日の午後まで日曜日のレースを中止にした雨の影響があったのにもかかわらず、全17台のマシンはウェット・タイヤをピット・レーンに残し、スリックのブリヂストン・ポテンザ・タイヤでレースをスタート。コースの表面はターン1に飛び込むドライバーがバトルできるところまで乾き、凄まじいダッシュでブルデイがすぐにオールメンディンガーの後ろにマシンのノーズを接近させたが、しばらく経つとその差が広がっていった。
オールメンディンガーは日曜日に6周をリードし、リスタート後に最初の7周でリードを守ったが、彼のタイトルの望みを打ち砕く14周目にハーフシャフトが壊れ、ピット・レーンに戻ってこのレースを終えた。
そこからブルデイがトップに立ち、先頭集団を率いて2回のイエロー・フラッグが出た後、2番手のトレイシーとともに最初のピット・ストップを行う。ウイルソンはコース上に留まり、リーダーとなったことでチャンピオンシップ・ポイントを獲得するが、結局この戦略のために多くのポイントを失ってこのレースを終える羽目となった。
昨年の優勝者のオリオール・セルビア(#6ベル・マイクロ/ガルフストリーム・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、この日3回目となるイエロー・フラッグを出し、彼はターン14に激しくヒットしてサスペンションを痛め、4番手からの追い上げが終わった。このコーションが出たときピットはクローズになっていたが、ウイルソンはガス欠寸前となり、燃料補給するためにクローズとなっているピットへ入らざるを得なかった。この行為に対してチャンプ・カーのレース・スチュワードは、ウイルソンをリスタートの隊列の最後尾に並ばせ、彼はグリーン・フラッグとなったとき13番手まで後退した。
ブルデイはトレイシーとダン・クラーク(#14CTEレーシング‐HVMフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)の前でリードを取り続け、その間にウィルソンが追い上げを開始。43周目に8番手になると、わずか5周後には5番手争いを展開するが、前述の通り、そのときウォールに激突してレースを終えてしまった。
先頭集団はウイルソンのアクシデントによるコーション・フラッグの際にピット・インし、アントニオ・ピッツォニア(#18チーム・ブラジル・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)とフィリップはピット・インしなかった。ピッツォニアがコースに留まり1周リード・ラップを取った後にピット・インし、リーダーとなったフィリップが逃げ始めた。
彼は次の11周にわたってブルデイの前に留まり、そのときにレース中の最速ラップを更新して1ポイントを獲得してから62周目に燃料補給のためピット・インした。彼のCTEレーシング・チームは素早いピット作業でコース上に送りだし、フィリップは3番手のままコースに復帰してチームメートのクラークの前に出ることができた。
フィリップのピット・ストップによりブルデイが再びリーダーとなり、その時点で2回のシリーズ・チャンピオンとトレイシーとの差は9秒に広がっていたため、この戦いは決着がついているようだった。しかし、このアドバンテージは一瞬にして消えてしまう。へイレンとアレックス・タグリアーニ(#15オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が、ヘアピンのレーシング・ライン上にパーツの破片を落としたため、最後のコーション・フラッグが出された。
コーション・フラッグはタイム・リミットの2時間が過ぎても続いていたため、67周目のリスタートはグリーン・フラッグとホワイト・フラッグが同時に出され、ブルデイがトレイシーとフィリップを率いてチェッカー・フラッグを受けた。ブルデイは力強いリスタートでトレイシーを押さえきり、1.398秒突き放してフィニッシュした。
フィリップはクラークの追い上げを振り切り、ロード・コースで初めてポディウム・フィニッシュを決めた。クラークはウィル・パワー(#5オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)の前の4位。パワーは5戦連続のトップ7フィニッシュをマークし、ロシュフランズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤのランキングで20ポイントの差をクラークから守ることができた。ロケットスポーツ・レーシングのルーキーのニッキー・パストレリ(#8クラカオ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)はキャリア・ベストの6位に入った。
トップ3インタビュー
セバスチャン・ブルデイ: 「チャンピオンシップ争いにとっては散々な日だっただろうね。マクドナルド・チームはミスがなく、ピット作業も素晴らしかったよ。去年はチームとして負けたけど、今年はチームとして優勝した。優勝を手に入れるために去年とは正反対の方法をとらなくてはならなかった。このチームの最後のピットは最高だった。全て彼らのお陰だよ。これ以上はうまくできないだろうね。デンバーの後、すぐに復活するのはとても大事だったし、それができた。A.Jがリタイアしたことは正直あまりうれしくないんだ。やっぱり正々堂々と勝ちたかったよ」
ポール・トレイシー: 「これからは4位のネルソンとバトルしなければならない。ここ4レースは最低のコースだったよ。次はエルクハートだ。あそこは相性がいいからね。オーストラリアもいつもうまく走れるし、メキシコ・シティーでは優勝したこともある。これからもプッシュして優勝を狙うよ」
ネルソン・フィリップ:「正直なところ、表彰台フィニッシュができるなんて思わなかった。素早い作業でピットから出ると、目の前にブルーのフォーサイスがいたんだ。それが2位のPTだった。これはかなりいい結果になるかも知れないと思ったよ。できる限り速く走れと言われたからその通り速く走ったんだ」

主な注目のポイント
セバスチャン・ブルデイはチャンプ・カー・キャリア22回目の優勝を飾り、歴代最多優勝記録で13位のエマーソン・フィッティパルディとトニー・ベッテンハウゼンに並んだ。
ブルデイは14回目のポール・トゥ・ウィンを飾り、リック・メアーズと並んで最多記録の4位に浮上した。
グランプリ・オブ・モントリオールの3日間観客は合計110