CHAMP CAR

セバスチャン・ブルデイがグランプリ・オブ・モンテレイも制覇してチャンプ・カー・ワールド・シリーズ・シーズン開幕から3連覇を達成


ブリヂストン・プレゼンツ・ザ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォードで、セバスチャン・ブルデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、ここまで行われた3戦で全勝したが、その勝ち方は3戦ともまったく違うものであった。
ブルデイはロング・ビーチで軽々と今シーズンの初優勝を手にすると、ヒューストンでは2位まで追い上げ、ライバルのミスに乗じて2勝目。うだるような暑さとなったメキシコ、モンテレイでは、古典的なレース展開で3勝目を上げる。ブルデイはジャステイン・ウイルソン(#9CDW・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)とA.Jオールメンディンガー(#10ルースポート・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)をかわし、日曜日のテカテ・グランプリ・オブ・モンテレイ・プレゼンテッド・バイ・ロシュフランズで優勝した。
この日ブルデイは最初の25周をリードし、1回目のピット・ストップの後でウィルソンとオールメンディンガーに遅れをとるが、残りの20周でウィルソンとの差をひっくり返して勝利をもぎ取った。ブルデイは2003年のポール・トレイシー(#3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)以来となる開幕3連勝を達成。ウィルソンは2位になり、シリーズ・ランキングで2位に返り咲いた。オールメンディンガーは3位に入って、始まったばかりの2006年シーズンで初めてのポディウム・フィニッシュを記録した。
華氏95度(摂氏35度)となったモンテレイで、何かが起こるまでにそれほど時間はかからなかった。1周目の第1ターンでオールメンディンガーがウィルソンをインサイドからパス。すぐさまウィルソンがアウトサイドから抜きにかかり、彼のルースポートのチームメートから2番手を取り返した。ブルデイがリードを維持し続ける一方で、トレイシーはモンテレイのデフェンディング・レース・ウィナーであるブルーノ・ジュンケイラ(#2ホール・イン・ザ・ウォール・キャンプス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)を追い越して4番手へ躍進。レースが3周を終える前にトップ5の中で3回のパス・シーンがあった。
ブルデイは最初のピット・ストップまで、ウィルソンとオールメンディンガーに対して気が抜けなかった。ウィルソンはスティントのほとんどで、ブルデイの1秒以内を走っていたからだ。デブリによるこの日唯一のコーション・フラッグが、24周目にバック・ストレッチで振られ、ほぼ全員がピット・インして給油と新品のポテンザ・タイヤに交換した。
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ウィルソンはブルデイよりも早くピット・アウト。それはニューマン/ハースのクルーがブルデイのマシンに、より多くの燃料を入れるためであった。この行動が後によい結果を生むことになる。ダン・クラーク(#14CTE・レーシング‐HVM・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、ピット・ストップをしなかった唯一のドライバーで、リスタートまでリーダーとなったが、クラークはすぐに後方へ追いやられて、注目はウィルソンへと切り替わった。
オールメンディンガーはまたもターン1に飛び込み、リスタートでブルデイをパスして2番手となる。ルースポートの2台がオルタネート・レッド・タイヤを選択した一方で、ブルデイはレッドタイヤをレース終盤のために残しておいた。ウィルソンにとって、この時点でこの戦略はうまくいったように見え、ウィルソンは2回目のピット・ストップが始まった48周目に、2番手との差を2.3秒まで拡大。76周中の55周目にウィルソンがピット・インするが、ブルデイはもう1周コースにとどまった。
第2スティントで長い給油を行ったことで、ブルデイはレースの最後まで走るための給油時間を短くすることができ、いちはやくピット・アウトしてウィルソンの前へ。ウィルソンはブルデイが冷えたタイヤに手間取っている間、パスするチャンスが一瞬あった。しかし、2度のディフェンディング・チャンピオンはいつもと同じ仕事をこなし、トップを堅持する。
ブルデイは最初の2周で1秒のアドバンテージを築くが、58周目でラップ遅れのマシンに邪魔されて、その差が消えそうになった。ブルデイはキャサリン・レッグ(#20ベル・マイクロ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)の後ろに入り、レッグはリーダーたちをパスさせようとラインを譲る。その時ブルデイが一瞬ひるみ、ウィルソンが再びリーダーのリア・ウィングに近づいた。しかし、ブルデイがウィルソンのこのチャージを守り抜き、その後二度と近づくことはなかった。
トレイシーはジュンケイラをパスしてからほぼ1日中4位を走行していた。ジュンケイラはブロックキングのペナルティでレース・コントロールからブラック・フラッグを掲示され、この違反のドライブ・スルー・ペナルティーを受け13位へ転落。それからジュンケイラはトップ10まで追い上げて、今シーズン2回目のトップ10フィニッシュにこぎつけた。
アレックス・タグリアーニ(#15オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は5位に入り、モンテレイで5年連続となるトップ5フィニッシュを記録。マリオ・ドミンゲス(#7オーグロ・デ・メキシコ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は2つポジションをあげて6位となった。しかし、アンドリュー・レンジャー(#27タイド/マイ‐ジャック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は7位となるまでの5周、地元のヒーローと壮絶なバトルを繰り広げた。
ウィル・パワー(#5オージー・ヴィンヤーヅ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)はルーキー中トップでフィニッシュ。11位となったパワーはロシュフランズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤーで、ヤン・ヘイレン(#11サニーズBBQ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)に対し、9ポイントまで差を広げた。
ブルデイは今日の優勝で、3レースを終えて合計ポイントを102まで押し上げ、ウィルソンに対して25ポイント、ドミンゲス対しては33ポイント・リードしている。1週間のオフを挟み、シリーズは6月3、4日にザ・ミルウォーキー・マイルで行われる今シーズン最初のオーバル・トラック・イベント、タイム・ワーナー・ケーブル・ロード・ランナー・225を迎える。
トップ3インタビュー
セバスチャン・ブルデイ: 「最後のスティントは20周しかないことが分かっていたから、オルタネート・タイヤを使うことにしたんだ。より速く走れると思っていたけど、その通りだったね。ピット・ストップでジャスティンの前に出れたのは良かった。2回目のピット・ストップの後のアウト・ラップはかなり決定的だったね。その後、どんなミスも犯さないように集中してコンスタントに走った。それでいながら、レースの最速ラップも狙っていたんだ。まぁ、それもぎりぎりで成功したよ。マクドナルド・チームが勝ててほんとうにうれしいんだ。これ以上にいい形のシーズン・スタートはないだろう」
A.J.オールメンディンガー: 「僕自身は、レッド・タイヤよりもブラック・タイヤのほうが少し良かった気がするね。たぶん、2セット目のタイヤをレッド・タイヤにしてくれといったのは間違いだったよ。全体的にいって良いパフォーマンスだったし、ルースポート・チームの調子が戻ってきて、僕とともにレッド・ブルとCDWがポディウムにカムバックできたことは良かった。すばらしいことだね」
主な注目のポイント
ディフェンディング・チャンピオンが開幕3連勝するのは、1971年のアル・アンサー・シニア以来となる。
アンドリュー・レンジャーは、今日のレースで最もポジションをアップしたことでチャンピオンシップ・ポイントを獲得。レンジャーは過去3レース連続してこのポイントを上げ、チャンプ・カーの新記録を樹立した。
ブルデイはチャンプ・カー・キャリア19度目の優勝でジミー・ブライアンと並び、チャンプカー史上最多優勝の15位となった。彼のレース・リードはキャリア1