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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ第2戦ヒューストン[決勝日]フォト&レポート

<US-RAICNG>

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先週の土曜日に式を挙げたばかりの新婚ほやほやの二人は、ハネムーンも早々に切り上げてヒューストンに。はれてミセス・ブルデイとなったクレアがセバスチャンと共に表彰台に姿を現して喝采をあびていた。レースウィークに入った当初は、体調があまりよくなかったそうだが、チャンプ・カーのメディカル・センターでケアを受けて回復はしたものの、ハードなコースでの走行はかなり堪えてはいたようだ。「マシンの方も心配だった。最後までトラブルが発生しないことを祈ったよ。このような厳しいコンディションでは何が起こるかわからないからね」と語っていたが、トラブルといえば唯一最初のピットインでエア・ジャッキを持ち上げる部分のコンクリートが欠け、タイムロスをしただけだった。ちなみにチャンピオン獲得の翌年に開幕2連勝を達成したドライバーは、チャンプカーの長い歴史のなかでも1982年のリック・メアーズ以来2人目。今回は予選こそ失速してしまったものの、レースでは優勝に加えてベストラップでポイントを稼いでランキング2位のドミンゲスの50ポイントに対し、68ポイントと差をつけている。

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初のポール・ポジションからスタートして快調にレースをリードしたドミンゲスは、最初のコーションの直前にブルデイと激しくデッドヒートを展開してグランド・スタンドを沸かせた。今回リタイアント・パークの仮設コースに集まった観客数は3日間合計で12万7千人以上。テキサスはカリフォルニアと並びメキシコおよび中南米系移民の多い州なので、メキシコ出身のドミンゲスの健闘を称えるファンも多い。ブルデイとトップを入れ替えながらも合計で63ラップをトップで走行した。ところが自らスピンを喫するなどミスを犯してしまいコースアウト。それでも3位入賞で表彰台をゲットしてランキング2位に躍進してみせた。この調子だと次回の母国メキシコ・モンテレイでの活躍にも期待できそうだ。

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ロングビーチでの苦い思い出から、レース前に「今日はなんとしてもスタートで失敗するわけにはいかないよ」と語っていたトレイシー。2位でフィニッシュして自己通算70回目の表彰台に上がった。ブルデイがレッド・タイヤとブラック・タイヤのどちらでも比較的安定していたのに対し、フォーサイス2人のマシンのセットアップでは、レッド・タイヤに変えるとやや不安定になったようだ。ブルデイやドミンゲスに比べてやや大柄のトレイシーは、「肉体的に非常にハードなレースで、かなり腰にきたね。途中からは路面の衝撃がもろに骨盤に響くぐらいまできて、とても辛かったよ」とコメント。シーズン序盤でもあるし、まずここでは着実にポイントを稼ぐことを第一の目標としたようだ。

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17歳でチャンプ・カーにデビューして以来、シリーズ参戦3年目の今年はCTEレーシングHVMからエントリーして、今回の第2戦は自己ベストの4位と、表彰台まであと一歩まで迫ったフィリップ。最初に早めのピット・ストップのタイミングをずらして、一時は周回遅れまでポジションを落としたが、イエロー・コーションをうまく使って合計4度のストップを行うなど、絶妙のチーム・ワークでハードなレースをうまく戦った。「レースウィークに入ってからは最高のスタートを切ったとはいえなかったが、それでも4位入賞を果たすことができてよかった。マシンが完璧でなかったうえに結果的に4度もピットインしたことを考慮すれば、今回はチームワークが功を奏したといえるだろう。このチームを誇りに思うよ。次のモンテレイではぜひとも表彰台に上りたいね」と、自己最上位フィニッシュしたフィリップは嬉しそうに話していた。

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フロント・ストレートの直線は、本来ならばそのまま左直角コーナーのターン1へと入るレイアウトだったのだが、エスケープゾーンとなるランオフ・エリアのすぐあとに建造物がかなり接近しているとのことで、コーナー手前に急遽シケインが設定されたのだ。しかしこのシケイン、木曜日のプラクティス時からドライバーには不評だった。バンピーな路面でなかなか思うようにグリップを得るのが難しいこのコースでは、せっかくのパワー・トゥ・パス・ボタンもそれほど利き目がない。優勝したブルデイも60秒のうち19秒分を残していた。「ストレートの最もパワーがかかる箇所で最大の効果があるわけだから、ここのように路面状態がわるいと逆にタイムロスする危険性もあるんだ」とトレイシーが語っていたが、実際ドミンゲスの単独スピンもマシンがはねたところへパワーがかかったことが原因だったらしい。