CHAMP CAR

ジャスティン・ウイルソンがチャンプ・カー最終戦でブリヂストン・ポールを獲得、ルースポーツがメキシコ・シティの予選でワンツーを独占

【Champ Car World Series:2005年11月5日 メキシコシティ】
快晴となった土曜日のメキシコ・シティで行われた2005年シリーズ最後の予選セション。2005年のブリヂストン・プレゼンツ・チャンプ・カー・ワールド・シリーズ・パワード・バイ・フォードの中で、ほとんど忘れかけられていた男、ジャスティン・ウイルソン(#9 インテル・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がもっとも大きな歓声に包まれた。セバスチャン・ボウデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)のチャンピオン獲得や、オリオール・セルビア(#2 パシフィケア・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が今年見せた本来の実力、様々な試練と苦悩に翻弄されたポール・トレイシー(#3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)といったドライバーが入り乱れた今年、見落とされがちだったウイルソンは2005年のモータースポーツ界におけるヤング・ドライバーの地位を着実に確立した。
物静かなイギリス人は、メキシコ・シティのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスでアクセル・ペダルを目いっぱい踏むことですべてを表現する。明日のグラン・プレミオ・テカテ/テレメックス・プレゼンテッド・バイ・バメックスに向けて、ブリヂストン・ポール・アワードを獲得。ウイルソンはチャレンジングな2.786マイルのロード・コースで1分26秒602(115.813mph)を記録し、6月のポートランドで記録した初ポール以来となる2度目のポール・ポジションとなった。彼を筆頭にルースポーツがワンツーを決めてフロントローを独占し、金曜日の予選でトップだったA.J.オールメンディンガー(#10 ウエスタン・ユニオン・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)とともに日曜日の70周のレースで最前列から臨む。オールメンディンガーは金曜日の予選セッションにより、2位のスターティング・スポットを手に入れた。
ウイルソンはタイム・シートのトップに躍り出るために、無駄なことはいっさいしていない。レッド・ウォールのオルタネート・ブリヂストン・ポテンザを履き、4周を必要としただけでポール・ポジションを獲得した。セッションの動きが激しくなってきたのは、トレイシーとセルビアがウイルソンを追ってベスト・ラップを記録してからで、それぞれが3位と4位を争う。チーム・オーストラリアのチームメイト同士であるアレックス・タグリアーニ(#15 オージー・ヴィンヤーズ フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)とウイル・パワー(#5 オージー・ヴィンヤーズ フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は5位を争っていた。
ウイルソンがポールを奪取した1分後、ボウデイが3周目にベスト・ラップとなる1分26秒827(115.512mph)を記録し、金曜日との総合で6番手にまでポジションをダウン。ほとんどのマシンがピットレーンで新しいタイヤと燃料を補給し、ポジションを上げようとした中で、昨年のレース・ウイナーにもまだ10分間アタックできる余裕があった。しかしその1分後、最終的にポール・ウイナーとなったウイルソンのタイムが表示され、ボウデイを揺さぶり続けることになる。ウイルソンのポール獲得のチャンスは、彼がタイムを出したすぐ後に2005年のトヨタ・アトランティック・チャンピオンであるチャールズ・ズオルスマン(#25 オージー・ヴィンヤーズ フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がターン6でストールして赤旗を出したことも助けとなった。
この中断により、各ドライバーがルー・スポーツのフロント・ローを阻止するチャンスは、残りあとわずかとなった。オールメンディンガーはすでに1分27秒033(115.239mph)のベストタイムを記録して、17ターンのコースのタイム・アタックに割り当てられた規定周回数を全て終えたが、金曜日の予選でトップ・タイムだったことで、予選2番手のポジションは確保されていた。
クリスチアーノ・ダ・マッタ(#21 ベル・マイクロ フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は最終ラップで大きくタイムアップ、1分27秒287(114.904mph)でいっきに5位までポジションを上げた。最後のアタックでマークしたタイムにより、この2002年のシリーズ・チャンピオンは3戦連続でトップ5のスターティング・グリッドを確保。フォーサイス・チャンピオンシップ・レーシングの二人、4位のポール・トレイシーと6位のマリオ・ドミンゲス(#7 ロシュフランズ フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)の間に割って入った。ポール・シッターのウイルソンを33ポイント・リードして、現在2005年のシーズン・ランキング2位の座にいるセルビアは7位に入った。
ネルソン・フィリップ(#34 ウェルボックス フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は1分27秒653(114.424mph)のタイムで、サンノゼ以来自己2番目の好位置となる8番グリッドを確保。19歳のフランス人ドライバーは、彼もしくはボウデイが明日の決勝レースのスタートでグリーン・フラッグを受けることで、フランス初となるネイションズ・カップの受賞獲得に向けて貢献した。
母国メキシコ期待のロドルフォ・ラビン(#55 コロナ フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、予選9位で今年2度目のトップ10スタートとなる。ベテランのジミー・バッサー(#12 ガルフストリーム フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、予選終了後に走路妨害のペナルティを科せられながらも、10番グリッドを確保した。
ティモ・グロック(#8 DHL グローバル・メール フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は、チャンプ・カーの次世代ドライバーにとって非常に厳しい一日となったこの日の予選で、ルーキー・トップの座を獲得した。“ロシュフランズ・ルーキー・オブ・ザ・イヤー”を獲得したグロックは、1分28秒141(113.790mph)のタイムで12番グリッドからのスタートとなる。総勢8名のチャンプ・カーのルーキー達は、明日のレースで後方の8スポットからグリーン・フラッグを受けてスタートを切る。
今年で4度目の開催となるグラン・プレミオ・テルメックス/テカテ・プリゼンテッド・バイ・バナメックスの決勝レースは、明日午後2時45分(アメリカ東部時間午後3時45分)にグリーン・フラッグを合図にスタートする。レースの模様はスピード・チャンネルで、アメリカ東部時間の午後3時30分から生中継で放映される。加えてファンの方々は公式ホームページのwww.champcar.ws からレースディレクター・パワード・バイ・インテルを通してもその模様を観戦することが可能となる。
トップ3ドライバーのコメント:
ジャスティン・ウイルソン:
「おそらくとても厳しいペースで長いレースとなるだろう。出来る限り頭を使い、明日の朝のウォームアップでも良いマシンを手にして、レースでもそれを継続することが大事だ。レース中は何がなんでもトップ3以内につけるようにする。それが今の自分にとって重要なことだ。優勝のチャンスがあれば勝ちにいく。もしそれが叶わなければ、できるだけ前のポジションでフィニッシュできるようにするよ」
A.J.オールメンディンガー:
「今日は苦闘の一日だった。クルマの仕上がりは上々だが、最高といえるまでには、あと一歩のところだと思う。基本的な部分のセッティングで何度も繰り返して調整するのに苦労した。結果的に少しばかり不満も残るが、チームにとっては良い結果となった。ジャスティンがすばらしい仕事をして、また一緒にフロントローに並ぶことができた。今度こそ、前回のようにセバスチャンに勝利を渡さないようにしなくてはならないね。明日が楽しみだよ」
セバスチャン・ボウデイ:
「なんとも不可解な一日だったな。朝はマシンの調子が最高だったから、ポール・ポジションを狙えると思っていた。セッションの終盤で新しいタイヤを装着したが、そのあとマシンに何か異常事態が発生したに違いない。ある時点を過ぎたところからマシンのフィーリングがとても悪くなり、セッティングを間違えてしまったのか、その時点ではなす術がなかったよ。昨年のパフォーマンスが良かっただけに、ちょっと残念だね。これは毎年状況が変化するということの証明で、常に気が抜けないということだ。今日は的が外れてしまったようだ」
注目すべきポイント
ジミー・バッサーはこの日の結果により、12戦連続でトップ10のスターティング・グリッドを確保した。これは彼の輝かしいチャンプ・カー・キャリアの中で、もっとも長い連続記録となった。これまで彼自身が保持していた記録は、1995年から1996年のシーズンに達成した11戦連続が最長だった。
セバスチャン・ボウデイは今年これまでの12戦すべてにおいて、ただ一人最後まで完走したドライバーとなった。注目すべきは1956年以来、年間スケジュール上のすべてのレースを完走したドライバーは、わずかに4人しか存在していないことだ。近年でこの記録をのこしたのはジミー・バッサーで、チャンピオンを獲得した1996年に達成している。彼以外にはアル・アンサーJr.(1992年)、A.J.フォイト(1963年)、ジム・マクエルリース(1963年)がそれぞれこの記録を達成している。またボウデイは予定されたすべてのラップのうち、わずか1ラップを除くすべての周回を完走、フォイトの記録と肩を並べることになった。