CHAMP CAR

ボウデイがデンバーを制し、53ポイントの大量リードを獲得

【Champ Car World Series:2005年8月14日 デンバー】
NFLの伝説的なコーチであるビンス・ランバルディは、万全な用意とチャンスが出会ったときにこそ、幸運がもたらされると語った。
日曜日のデンバーで、セバスチャン・ボウデイ(#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)はそのチャンスの扉をいつでもノックできるほど、用意周到な走りを見せていた。圧倒的なリードを広げていたポール・トレイシー(#3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)の珍しいミスにより、ボウデイは“セントリックス・ファイナンシャル・グランプリ・オブ・デンバー・プレゼンテッド・バイ・パシフィケア”の勝者となったのである。これでボウデイは3連勝したが、最も大事なことは、このディフェンディング・シリーズ・チャンピオンが残り5戦で53ポイントと大差をつけることができたことだ。トレイシーはターン4のフェンスで失敗し、16位でこの日を終えたことにより、ボウデイの大量リードを許してしまった。
このイベントでトレイシーはオープニングからレースの半分まで、貫禄のある走りを披露。最初のピット・インまで、11秒ものリードを築いていた。先頭のトレイシーは参戦18台中12台を周回遅れにしてしまい、その後ろでボウデイはマリオ・ドミンゲス(#7インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)や、A.J.オールメンディンガー(#10 ウエスタン・ユニオン・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)らと表彰台をかけて戦っていた。
ところが、トレイシーはベテランらしくないエラーを62周目に犯してしまう。ターン3でティモ・グロッグ(#8DHLグローバル・メール・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)を周回遅れにしようとしてインに飛び込み、壁の内側に接触。そのままターン4の壁にまっすぐ突っ込んでいった。このアクシデントはフォーサイスのマシンにヘビー・ダメージを与え、62周のうち59周もリードしたトレイシーの走りはここで終わった。
これでトップに立ったボウデイは、リスタートしてからリードを広げ、置き去りにされたドミンゲスとオールメンディンガーは2位争いをすることになった。独走状態のボウデイはフィニッシュ時点で15秒ものリードを構築し、チャンプ・カー3連勝を達成する。さらにレース中のファストテスト・ラップを記録したことにより、エキストラ・ポイントも獲得。1レースにおける最高得点を手に入れ、ジル・ド・フェラン(2000-2001)以来となるチャンプ・カーの連続チャンピオンに近づいた。
ドミンゲスはちょっとしたミスをしながらも、それをリカバリーして2位を記録、2005年シーズン初となる表彰台だ。このメキシカンドライバーはグロッグと粘り強いバトルを展開したあと、フィニッシュまで残り2周のターン9でオールメンディンガーをパス。ここで2番手に浮上した。オールメンディンガーは3位をキープして今季3度目、この2年間の若いキャリアで5度目の表彰台獲得となる。
今日のレース・スタートは、まるで一瞬の花火のように見えた。ターン1でクリスチアーノ・ダ・マッタ(#21 ベル・マイクロ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)がイン側に飛び込んだのを引き金に混乱は始まり、彼のPKVレーシング・カーはジャスティン・ウイルソン(#9 インテル・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)のルースポーツ・マシンに乗り上げた。ジミー・バッサー(#12ガルフストリーム・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)とアレックス・タグリアーニ(#15 オージー・ビネヤーズ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)も大混乱に巻き込まれ、ピットに戻って修復を余儀なくされる。
オールメンディンガーはこの1周目のアクシデントの中で二つポジションをあげたが、やがてボウデイとドミンゲスに追いつかれ、18周目に彼らは2番手と3番手に浮上した。ビヨン・ビルトハイム(#4 HVMレーシング・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)が5番手で、このトップ5の順で最初のピット・ストップへとアプローチすることになる。トレイシーが最初にピット・インし、その間にボウデイはレースを2周リードしてからピット・レーンへと向かった。ボウデイと彼のニューマン/ハース・レーシング・チームは、右後ろのタイヤ交換の際にエア・ガンがナットから外れてしまい、不安な瞬間を体験。しかしフランス人は2番手でコースに戻ることができた。
オールメンディンガーは3番手でコースに復帰したが、前述のトレイシーのアクシデントで2番手にアップ。オールメンディンガーを追う3番手はグロックで、このドイツ人ルーキーは初の表彰台を狙っていた。だが“ロシュフラン・ルーキー・オブ・ザ・イヤー”のポイント・リーダーである彼は、初めてチャンプ・カーのメカニカル・トラブルに遭遇。残り9周で痛恨のトランスミッションに問題が発生、13位でフィニッシュすることになった。
彼のメカニカル・トラブルはドミンゲスを3位に引き上げ、これでオールメンディンガーを捕まえることができる。ドミンゲスは残り1周でオールメンディンガーをパスし、2003年のマイアミで勝ったとき以来のベスト・フィニッシュを手に入れた。片や、順位を下げたオールメンディンガーは3位表彰台に終わり、オリオール・セルビア(#2 パシフィケア・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は4位に入った。これでセルビアはこの9戦でチャンピオンシップ3位に浮上、スペイン人の彼は6年間のキャリアでベストのポイント・ポジションにいる。
ロドルフォ・ラビン(#55 HVMレーシング・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は5位に入り、2005年のわずか2戦目でトップ5フィニッシュを記録。メキシコ人ドライバーの彼にとって、昨年のロード・アメリカにおける2位以来のロード・コースでのベストだ。ライアン・ハンター‐レイ(#31 ロケットスポーツ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は予選でのトラブルを克服して6位フィニッシュ。スターティング・グリッドから11位も順位を上げてフィニッシュしたため、このアメリカ人ドライバーは最もポジションをアップしたドライバーとして1点のボーナスを得た。
ロニー・ブレマー(#19アメリカン・メディカル・レスポンス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は7位でフィニッシュし、ルーキーのポイント・ランキングでトップに2ポイント差まで迫った。また、リカルド・スペラフィコ(#11アメリカン・メディカル・レスポンス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン)は8位でゴールし、チャンプ・カーキャリアの中でベスト・フィニッシュを遂げた。
シリーズは1週間のオフを経て、今シーズン3度目で最後のカナダ戦へと向かう。特徴的なコースであるサーキット・ジル‐ビルヌーブを訪れ、“モルソン・インディ・モントリオール”が8月26日から28日にかけて行われる。
トップ3フィニッシュのコメント
セバスチャン・ボウデイ:
「PT(ポール・トレイシー)が壁にぶつかったのを見て、とても驚いたよ。PTはほとんどミスをしないドライバーだし、トップを走っていてあんなミスをするようなことはなかったからね。我々が勝てたんだから、うれしかったよ。セントリックとパシフィケア、それに我々全員にとって2年連続での勝利は、とても重要なことだ」
マリオ・ドミンゲス:
「もう少しで表彰台を逃すところだった。無線のボタンと間違って水分補給用の水のボタンを押してしまい、ヘルメットが水滴だらけになってね。その後中が曇り始めて、よく見えなくなってしまったんだ。実際、イエローの間は完全にグローブをはずしてシールドの内側を拭き、また手にはめるといった感じで、ひどい状態だったよ。集中力を失ってブレーキング・ポイントをミスしてしまい、最悪だった。『こんなことで表彰台に上がれなかったら、殺されるぞ』なんて自分で言いながらドライブしてたんだ」
A.J.オールメンディンガー:
「最初の10周はとてもいいクルマだった。でもその後は、この週末とずうっと同じような状況で、いいセットを失ったような感じだったね。知ってのとおり、今週はやっとここまで来たという感じだ。この3週間はほんとがっかりしていたからね」
主な注目ポイント
ポール・トレイシーはこのレースでトップを通算4000周以上走行。マリオ&マイケル・アンドレッティ、A.J.フォイト、アル・アンサーSr.、ボビー・アンサーに次ぐチャンプ・カー史上6番目のドライバーとなった。
セバスチャン・ボウデイは38周をリードし、通算では968周となった。これでエリオ・カストロネベスの記録を抜き、史上23番目のドライバーとなった。
ボウデイはグランプリ・オブ・デンバーで2連勝したが、過去4戦でブルーノ・ジュンケイラは最初のレースから2連勝していた。