【Champ Car World Series：2005年8月12日 デンバー】
チャンプ･カーのスター、ポール･トレイシー（#3インデック･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）は、彼の長年に渡るチャンプ･カー･ワールド･シリーズ参戦において、予選での成功はあまり多くはなかった。しかし2005年シーズンは、これまでと違うストーリーが展開している。今年のトレイシーはかつてなかったほど予選で強さをアピールし、それは“セントリックス･ファイナンシャル･グランプリ･オブ･デンバー･プレゼンテッド･バイ･パシフィケア”の初日でも、力強い走りは変わらなかった。新コース･レコードをマークし、日曜日に行われる“ブリヂストン･プレゼンツ･チャンプ･カー･ワールド･シリーズ･パワード･バイ･フォード”第9戦で暫定ポールを獲得した。
30回チャンプ･カーを制したウイナーのトレイシーは、1.657マイルのデンバー･ストリート･コースで57.759秒（99.821mph）を記録し、昨年の勝者であるセバスチャン･ボウデイ（#1マクドナルド･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）のコース･レコードを打ち破った。トレイシーは9つのターンを持つコースで唯一60秒を切ったドライバーで、チャンピオンシップ･ポイント1点を獲得。ポイント･リーダーのボウデイとのギャップを27点に縮め、日曜日のレースでフロント･ローのスターティング･グリッドが保障された。
1:00.213秒（98.848mph）を叩き出したマリオ･ドミンゲス（#7インデック･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）がトレイシーに続いてタイム･チャートの上位に入り、フォーサイス･チャンピオンシップ･レーシングが初日のワンツーを達成。ドミンゲスとトレイシーは、1:00.347秒を記録して3位となった昨年のデンバー覇者であるボウデイの前の二つのスポットを手に入れた。
今回は曇り空の中で予選が行われ、コースの路面温度が低いまま保たれたことにより、トリッキーなストリート･コースの路面でグリップを持続することが可能となった。セッションが始まってすぐ、予選前に本命と言われていたドライバーたちはコース･インせず、10分ほど待ってからアタックを開始。その時にちょうど雲が覆い、ドライバーたちが即座にスピード･アップすることを助けた。
ドミンゲスはわずか4周目でベスト･タイムを出し、トレイシーのポールウイニング･タイムは5周目に記録される。序盤はビヨン･ビルトハイム（#4 HVMレーシング･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）がリードし、ティモ･グロック（#8 DHLグローバル･メール･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）がトップ5にいた。
ボウデイとオリオール･セルビア（#2 パシフィケア･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）は走行を開始するまで20分近く待ったが、走り出したボウデイは時間を無駄にすることなく、すぐにスピードをアップ。ベスト･タイムはわずか5周で記録されたものだが、そのベスト･ラップの1周前にボウデイはピット･レーンへ飛び込んで、新しいブリヂストン･ポテンザ･タイヤのセットに交換していた。
各自がアタック開始後すぐにスピードを上げたことが、金曜日初日のラウンドの特徴と言ってもよく、このコースでは珍しく終盤にスピード･アップすることが少なかった。18台中4人だけが2セット目のタイヤでスピードをアップしており、ルースポーツのマシンを駆るジャスティン･ウイルソン（#9 インテル･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）もそのペースだった。
ウイルソンは1:00.697秒（98.278mph）のベスト･ラップを最後の14周目に記録。今日の4位に入っていた地元コロラド出身のチームメイト、A.J.オールメンディンガー（#10 ウエスタン･ユニオン･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）のすぐ後ろに滑り込んで5位のスポットを手に入れた。
ウイルソンを追うのは6位と7位に入った二人のルーキー、グロックとビルトハイムで、60秒台を記録したのはここまで。ビルトハイムのHVMレーシングのチームメイト、ロドルフォ･ラビン（#55 HVMレーシング･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）は2005年シーズンのわずか2戦目のレースで8位に終わり、セルビアとポートランド･ウイナーのクリスチアーノ･ダ･マッタ（#21 ベル･マイクロ･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）がトップ10入りとなった。
セッションはマーカス･マーシャル（#5 オージー･ビネヤーズ･フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）がスピンし、ターン7のタイヤ･バリアに衝突したことで赤旗となり、3分早く終了。レッド･フラッグを出したマーシャルは自己トップ･タイムを剥奪されるペナルティが科せられ、18位でセッションを終了した。
“セントリックス･ファイナンシャル･グランプリ･オブ･デンバー･プレゼンテッド･バイ･パシフィケア”のファイナル･グリッドは、土曜日の現地時間午後2時に始まる最終予選で決定する。