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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第6戦 ミルウォーキー【決勝】フォト&レポート

<US-RACING>
Photo&Report by Hiroyuki Saito

 初のオーバルコースでのレースとなったレーサー鹿島は、安定した走りで18位フィニッシュ。レース途中、自身のラップタイムは前を走行するドライバーより若干速いのに、なかなかオーバーテイクするチャンスが掴めず、前に出ることができなかった。得にショートオーバルは、追い越すことが難しいコース。予選が重要なのを改めて感じるレースだった。次戦のラグナ・セカに期待したい。

 1996年に19歳でデビューしたジョルダインが、ついに念願の初優勝を達成。第3戦のロング・ビーチでは、優勝まであと一歩のところでギアボックストラブルに泣き、リタイアを余儀なくされていた。今日のレースでは250周中237周をリードしたジョルダイン。昨年チーム・レイホールに移籍し、1台体制となった今年はかつてないベストな体制でシーズン序盤からトップ争いを演じていた。この勝利で見事ランキングトップに踊り出たジョルダインはまだ26歳。これからが楽しみなドライバーだ。

 キャリア最高位となる2番手を得たセルビア。オフシーズンから速さを見せていたセルビアだったが、いざシーズンが始まってからはなかなか上位でフィニッシュすることができず、不運に見舞われることが多かった。イギリスで4位、ドイツで5位とヨーロッパではともにトップ5を記録し、今回2位と着実に結果を残しつつある。

 今年からチームメイトになったトレイシーの活躍ばかりが目立っていたが、やっとカーパンティエも本来のスピードを取り戻しつつある。今シーズンのベストポジションとなる3位表彰台を獲得したカーパンティエは、これまでのすべてのレースをトップ8内でフィニッシュし、現在ランキング5位。そろそろ優勝が欲しいところだ。

 トップを行くジョルダインの後方で、激しい2位争いを繰り広げていたトレイシーとセルビア。ベテランらしいクリーンでフェアなバトルに観客は熱狂し、何度も歓声が上がっていた。終盤を前に最後のピットストップを行い、さあこれからという時にトレイシーのイン側のリアタイヤが脱落。ピット作業中にジャッキが下がってしまい、ナットがしっかりと締まっていなかったのが原因だった。ピットアウトの際、エキゾーストが真っ赤に燃えているのが解る。

 季節外れの激寒となった決勝日。スタート時は8度と手がかじかむほどで、終了時にはなんと4度まで下がっていた。ブリヂストンがCARTに参戦して以来、最も寒いコンディションでのレースだったという。この寒さにもかかわらず集まった観客は3万4712人で、この週末は4万8356人が集結。真冬並みの寒さだったが、レースはエキサイティングそのもので寒さも忘れるほどだった。

 完全にタイヤが温まってからのスタートだったが、3台並んだ真ん中にいたジュンケイラがコントロールミスし、モレノとルマリエを巻き込んでクラッシュ。ドミンゲスもフロントウイングにダメージを負ってピットインしなければならなかった。前戦でランキングトップに躍り出たジュンケイラだったが、痛恨のノーポイントに終わってしまった。

 あまりにも寒かったため、最初の3周をイエロー・コーションにしてレーシングスピードでのウォームアップが行われ、3周目にグリーンフラッグ。昨日の予選が雨で中止となり、プラクティスの総合トップだったタグリアーニがポールポジションだったが、スタートで出遅れてしまう。ジョルダインはピット・タイミング以外、終始トップを快走。完全制覇と言っていいレース内容だった。

 スタート前、コースのメインストレートではパレードが行われた。地元高校のマーチングバンドを先頭に、戦地から帰ってきたばかりの兵士たちが行進して大歓声が上がり、なんと戦車も登場。スタート&フィニッシュラインのところで砲身をぐるっと回すパフォーマンスも披露していた。ミルウォーキーといえばアメリカンバイクの老舗、ハーレー・ダビットソンの本社があり、クラブのメンバーが愛車でパレードに参加。