<US-RACING>
決勝レース当日も見事快晴となったヒューストン。気温32度、路面温度44度とこの週末一番の暑さとなった中、午後3時5分にグリーンフラッグ。100ラップを争うストリートファイトの幕が切って落とされた。
ミド−オハイオ同様、直線が最も長いバックストレートでスタートとなり、各マシンは少しでもポジションアップ図ろうと、その先のターン5進入ではサイドバイサイドの大混乱状態となる。そんな中、予選2番手からスタートしたフランキッティは、ターン6のタイヤバリアにマシン後部を接触。ダメージを負ってしまったフランキッティは、その後ターン1でコントロール不能に陥りタイヤバリアに追突、早々のリタイアとなってしまった。
このフランキッティのリタイヤで、コースはイエローコーション。レースはいったん6周目にグリーンとなるが、その直後に今度はパピスのマシンにギドリーが突っ込み、乗り上げてしまうというアクシデントが発生し、またもイエロー。レースが再開されたのは12周目と、トータル10周以上に渡ってコーションが続いた。
この時点での上位のオーダーはポールポジションからトップの座をキープしているド・フェランを先頭に、バッサー、カストロネベス、モントーヤ、そして予選9位から得意のジャンプアップが成功したトレイシーと続く。レースはその後、このトップグループのオーダーが崩れることなく展開していった。
レースも中盤にさしかかろうとしていた46周目、ここまでトップをキープしていたド・フェランが、この日1回目のピットイン。これでド・フェランは一時ポジションを12位まで落とすが、ほかのトップグループも続々とピットインしたために、52周目には再びトップに返り咲く。
後方ではカストロネベスとトレイシーがほとんど同時にピットアウトし、今にも接触しそうなほどの勢いでピットロードを走行。結局この争いはトレイシーに軍配が上がり、バッサー、モントーヤのチップ・ガナッシの2台に続き、トレイシーは4位でコースに復帰。カストロネベスは3位から5位までポジションを落としてしまった。
序盤の長いイエローコーションで、各マシンとも1回のピットストップで走りきる作戦に出た中、ド・フェランは今季2勝目を挙げた第8戦のポートランド同様、最初から2回のピットストップを行うべく猛然とダッシュ。燃費走行を行う2位のバッサー以下を、どんどんと引き離し始めていった。
ド・フェランとしてはできる限り差をつけ、2回目のピットもトップで復帰したいところ。だが73周目、マルケスがマシントラブルのためにターン1と2の間でストップしてしまい、コースは再びイエローコーション。ここで2位以下に15秒以上もの差を築いていたド・フェランは、コーションでその差が縮まることを恐れ、ピットへと向かう。
最後まで走れるぎりぎりの燃料補給だけでド・フェランはピットアウト、しかしその差は十分ではなかったために、ストレートをバッサーとモントーヤが駆け抜けていく。ド・フェランは3位でコースに復帰するのがやっとという状況だ。
これでこの日初めてバッサーがトップに立ち、モントーヤが続いてチップ・ガナッシ&トヨタ・ローラのワンツー体制が実現。ド・フェラン、トレイシー、カストロネベスらのホンダ・レイナード勢が続く展開となった。ド・フェラン以外はすべて1回しかピットストップを行っていない。
ところがイエローが解除された直後の78周目、8位を走っていたマイケル・アンドレッティがスピンし、アレックス・タグリアーニが接触。これに後続が次々とヒットする多重クラッシュが発生したためにコースは再びイエローとなり、1回しかピットインを行っていなかったドライバー達は、イエローが解除される83ラップ目までゆっくりと燃料を稼ぐことが可能となった。
一方、チャンピオンシップ争いでどうしても上位に入賞したかったアンドレッティは、コースに復帰するものの、フロントウィングを破損しており、大幅にポジションを落とすことになってしまう。ポイントリーダーのド・フェランが3位を走行しているだけに、なんとしても上位でフィニッシュしたい。
レースもいよいよ終盤を迎え、ド・フェランがどこまで追い上げるか注目が集まる中、残り17周でグリーン。2位のモントーヤは、トップを走るバッサーをパスしようとプレッシャーを掛ける。しかしタイヤのグリップで劣るモントーヤは、バッサーをなかなか捕らえることができず、ド・フェランもその前に行くことができない。
結局バッサーは5秒以上もの差をモントーヤにつけて最終周を示すホワイトフラッグを迎える。1998年の最終戦で優勝して以来、久々の勝利が目の前に迫ったバッサーは、ファイナルラップを楽しむかのようにクルージングしながら楽々とチェッカードフラッグを受け、今季10人目のウイナーに。
このバッサーの勝利によって、トヨタはCARTにおけるストリートコースの初優勝を獲得。さらにトヨタにとっては初のワンツーフィニッシュであり、まさに最高の形でのゴールとなった。第6戦の初優勝以来、今季5勝目達成である。
土曜日のプラクティスで5位に入り、朝のウォームアップでも5位だった中野信治は予選18位からスタート。レース中に2回に渡って接触を喫したものの、最後まで走りきって8位完走を果たす。連続リタイアとなっていた中野にとって、実に第8戦のポートランド以来となる久しぶりの完走だ。
気になるチャンピオンシップ争いの行方は、ド・フェランが3位でフィニッシュし、ポールポジションとリードラップポイントを合わせて合計16ポイントを獲得。トータル153ポイントとし、ランキングトップの座を維持。これに今日のレースを4位でフィニッシュしたトレイシーが合計134ポイントとなって2位に浮上してきたが、その差は19ポイントと大きく開くことになった。
3位には3ポイント差でロベルト・モレノ、さらに4ポイント差でアンドレッティが4位につける。オーストラリア戦の結果次第ではド・フェランのチャンピオンの座が決定する可能性もあり、現在のところド・フェランが断然有利な状況といえるだろう。
また、エンジン・マニュファクチャラー・ランキングは、今回のレースでトヨタが1〜2位、ホンダが3、4、5位となり、首位をいくフォードの最高位が6位となったために11ポイントあったホンダとの差が一気に3ポイントまで縮まった。残り2戦でホンダが逆転し、4度目のマニュファクチャラーズ・タイトル獲得なるか。
今シーズンもついに残り2戦、いよいよクライマックスを迎えるFedExチャンピオンシップシリーズ。最後のストリートコースとなる第19戦に、ファイナルはスーパースピードウエイのオーバルで500マイルのハイスピードバトルが待っている。
次回、第19戦は10月15日、舞台をオーストラリアのクィーンズランド州サーファーズパラダイスに移しての開催だ。果たしてド・フェランはここでチャンピオン決めることができるだろうか?
●優勝したジミー・バッサーのコメント
またこうして勝利することができて本当にうれしい。 モントーヤとチームメイトになって初めての優勝だからね。 モントーヤがF1に行く前に僕も勝ててよかった。 今週のボクのマシンは本当にすばらしい仕上りだったね。 この調子を維持して残りの2レースに臨んでいきたいと思う。
●2位でフィニッシュしたファン・モントーヤのコメント
トヨタエンジンの燃費がほかに比べてとても良かったから、 レース序盤から我々が優勝できることを確信していた。 ジミーを2回ほどパスしようとしたんだけど、無理だったね。 今日は完全にジミーの方が速かったよ。
●3位入賞、ポイントリーダーのジル・ド・フェランのコメント
今日はすばらしい結果が残せたと思う。 マシンはとにかくパーフェクトの一言だったね。 レースではリードを拡げようと、序盤からできるだけプッシュし、2回目のピットはもっとリードを拡大してから入りたかった。 でもターン1でマルケスのマシンがストップしているのをみて、これはイエローになって、これまで築いたリードが無駄になってしまうと思い、ピットに入ることにしたんだ。 これで3位にポジションを落としてしまったけど、この時点ではジミーとファンはまだもう一度給油する必要があると思っていた。 でも我々にとって思惑違いは、マルケスのイエローのあとにもう一度、それも長いイエローが発生してしまったことなんだよ。これでジミーとファンは走りきるための燃料を確保してしまったんだと思う。 レース最後の数ラップで、ファンのタイヤのグリップが低下してきているのがわかっただけに、パスしようとプッシュしたが、ちょっと及ばなかったね。 タイトルはできるだけ気にしないようにしている。ベストを尽くせば、最後は自然と獲得できると思うんだ。