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CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第10戦 トロント【決勝】レポート

<US-RACING>
早朝は雨となっていたトロントだったが、昼ごろには快晴となり、気温も26度まで上昇。約7万3千人もの大観衆が見守る中、午後2時10分にグリーンフラッグが降られ、112周の決勝レースがスタートした。ターン1を制したのはポールポジションからスタートしたエリオ・カストロネベスで、予選2番手のクリスチアーノ・ダ・マッタもピタリと背後につけてカストロネベスにプレッシャーをかける。3番手は過去トロントで5勝を上げているマイケル・アンドレッティだ。

ターン1は全員が無事に通過したが、カストロネベスがバックストレートエンドのターン3でブレーキングをギリギリまで遅らせるつもりがオーバランを喫し、ダ・マッタに先行を許してしまう。これが引き金となり、4位、5位にいたファン・モントーヤとダリオ・フランキッティの2台が接触、マシンがコース上にストールしてしまう。このため、レースは1周目からフルコースコーション。モントーヤとフランキッティの2台は再スタートしてピットへと戻るが、そのままレース復帰を断念、リタイアとなる。

4周目、グリーンフラッグが振られてレース再開、トップのダ・マッタをカストロネベス、アンドレッティらが追う。予選12番手からスタートしたポール・トレイシーはここトロントがホームタウンということもあり、いつにも増して気迫の走りを見せる。今回、昨年の最終戦で亡くなった親友、故グレッグ・ムーアと同じデザインのヘルメットを被るトレイシーは、この再スタート直後、一気に7位までポジションアップ。

10周目、ここで予選24番手からスタートした黒澤琢弥がスローダウン。ピットへ向かうが、メカニカルトラブルでレース続行を断念、無念のリタイアとなってしまった。

レースが約3分の1ほど過ぎた35周目、ターン8でノルベルト・フォンタナとタルソ・マルケスがスピンし、タイヤバリアに突っ込む。このため、この日2回目のフルコースコーションとなり、これを機に各マシンはフルコースコーション下で1回目のピットストップを行う。その際、まさにピットインをしようとしていたジル・ド・フェランのマシンにクリスチャン・フィッティパルディがピットロード上で追突。その後ド・フェランは無事にピット作業を済ませてコースへ復帰するが、フィッティパルディのマシンはフロントノーズが大破。リタイアを余儀なくされてしまった。

4周後にグリーンフラッグが降られ、レースが再開するとリーダーは依然ダ・マッタ。それをアンドレッティ、カストロネベス、アドリアン・フェルナンデス、オリオール・セルビア等が追う。46周目、カストロネベスのマシンがエキゾーストのトラブルでピットイン。チームクルーの必死の処置も空しく、カストロネベスはそのままリタイアとなった。また同じ46周目、マウリシオ・グージェルミンもメカニカルトラブルのため、バックストレートでスローダウン、コースサイドにマシンを止めた。

この時点でコース上に残っているマシンは14台。21番手からスタートの中野信治も12位へと上がる。しかし56周目、その中野にもトラブルが襲い掛かる。電気系のトラブルで突然マシンがスローダウン、中野はそのままマシンを降りることとなってしまった。

多くのマシンがアクシデントやメカニカルトラブルで脱落して行く中、74周目辺りから、各マシンがグリーンフラッグ下で2回目のピットストップを行う。この頃からトップを行くダ・マッタのマシンにブレーキトラブルが発生、思うようにスピードをコントロール出来ないダ・マッタは早目にピットにはいるが回復せず。

その翌周にはアンドレッティが入り、毎回優れた燃費を示すフェルナンデスはさらにその3周後にピットに入ってアンドレッティの前でコースに復帰したが、タイヤが温まりきってないフェルナンデスはペースを上げられず、アンドレッティに先行を許してしまう。80周目、ほぼ全車がピット作業を終えた時点でトップはアンドレッティであり、2位はフェルナンデス、3位にはトレイシーが上がり、ダ・マッタは4位までポジションダウン。

リーダーのアンドレッティはその後も快調に飛ばし、2位との差を徐々に広げていく。レースも残り10周になろうとしていた101周目、前回の第9戦クリーブランドでポールtoウィンを飾ったロベルト・モレノがスローダウン。メカニカルトラブルにみまわれたモレノは、マシンをコースサイドに止めた。そして111周目、ラストラップを知らせるホワイトフラッグが降られても、アンドレッティのスピードは留まることを知らず、最後は2位フェルナンデスとの差を6.527秒まで広げ独走で優勝、嬉しい今季2勝目を上げた。

トロントを得意とするアンドレッティは今回がトロント6勝目となったが、この勝利はアンドレッティにとってチャンプカー参戦以来、実に通算40勝目の記念すべきものとなる。シリーズ40勝は現役ドライバーの中では文句無しのトップ。歴代でも、アル・アンサーを抜き、単独3位という快挙。

また、エンジンマニュファクチャラーのポイント争いでは、今回のレースで1位と2位がフォード、3位がホンダで4位トヨタ。メルセデスは12位に入賞したルイス・ガルシアJr.が最高位だった。フォードが依然ポイントリーダーで、2位のホンダに25ポイントもの差を持つ。

2000年のCARTシリーズもこれで前半戦が終了した。チャンピオンシップ争いは、今回ポイントリーダーのモレノがノーポイントにおわり、2位のアンドレッティが優勝したことで、その差は2ポイントへと一気に短縮されて後半戦へ突入する。だがそれぞれの差はそれほど大きくはなく、まだまだ挽回が可能だ。

次回第11戦はミシガン州ブルックリンの“ミシガン・スピードウェイ”で開催される“ミシガン500”。今年2回目となる3連戦の真中は、シリーズ中のメインイベントともいうべき500マイルレースだ。伝統の500マイルレースを制するのは、いったい誰か。