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CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第7戦 デトロイト【最終予選】レポート

<US-RACING>
朝のうち曇っていた空も昼頃には青空が見えはじめ、晴れ時々曇りといった絶好の コンディションとなった2日目午後の予選セッション。第7戦のスターティング・ グリッドを決める最後のクオリファイは、昨日の予選順位の下位グループから午後 1時45分にスタートした。

開始後わずか5分間の間にフォンタナがターン8でコースアウトしてマシンを止め、 その直後にジョルダインJRもターン9でコースアウト。そのあとトレイシーもターン6で スピンを喫するなど波乱の幕開けとなったが、それだけでは収まらず、ターン7で カナーンが激しくクラッシュしたため、ついにレッドフラッグ。

コンクリートウォールに激突したカナーンは左腕を骨折するなど、全治6週間から 8週間の重症となってしまう。このクラッシュの影響で、セッションが再開された のは午後2時10分。それから5分経過した時点でのトップはカーパンティエで74.788秒 だった。

8分間のペナルティを受けてしまったトレイシーがコースに復帰したのは午後2時19分、 だがトレイシーはまたもターン6でコースオフ。マシンをストールさせてしまい、 オフィシャルに押してもらってコースに復帰とまったく調子が出ない。

カナーンのクラッシュによって11分間延長されたこのセッションで、最後に カーパンティエが74.608秒とわずかながら更新し、トップを維持。2位はクラッシュ前 にカナーンが出した74.813秒、3位はこのカナーンとまったく同じタイムを出した フェルナンデスが入った。

ともにマシンがなかなか決まらず苦戦していた二人の日本人ドライバー、中野信治と 黒澤琢弥もこのグループで予選を走ったが、中野は76.473秒でグループ中11位、 黒澤はその0.002秒遅れで12位という結果でこのセッションを終えた。

本来の開始時間から4分遅れの2時34分からスタートした上位グループは、その4分後に モントーヤがいきなり73秒台、それもコースレコードとなる73.316秒を記録。スタン ドに歓声があがるが、そのすぐあとにカストロネベスがモントーヤを上回る73.267秒を 出してトップへ。最初から白熱した展開となった。

3位にはコンクリートウォールにマシンを擦りつけながら走る昨日の暫定ポール、 パピスが73.529秒と昨日の自己タイムを更新したものの、トップの2台にわずか 及ばず。2時51分、そのチームメイトであるブレックがターン12でマシンの左前 タイヤをぶつけたためにレッドフラッグで一時中断。

開始から20分が経ってもこの順位は変わらなかったが、残り2分となった時点で フランキッティが73.056秒を叩き出してトップに躍進。ところがその1分後、なんと モントーヤがフランキッティとまったく同じタイムを叩き出してスタンドに大歓声が 上がり、午後3時にチェッカードフラッグ。

まるで昨年の最終戦における二人のポイント争いのような展開となったが、結局、 それぞれの2番目のタイムを比較して、モントーヤの73.316秒がフランキッティの 73.352秒をわずかに上回っていたためにモントーヤがポールポジションを獲得する こととなる。

モントーヤとトヨタにとって今年4度目のポールポジションとなったが、それまでの 3回がすべて悪天候で順延となっていたオーバルと違い、今回はストリートコースが 舞台。嵐でも起きない限り、順延は有り得ないといっていいだろう。

トヨタはここまでの8戦(昨年のフォンタナも含めて)で5回ポールを獲得し、8連続 フロントローとなった。また、予選トップが同タイムとなったのは今回が2回目であり、 その1回目は1992年のロードアメリカで、エマーソン・フィッティパルディとトレイシー のペンスキーのチームメイト同士が初めて記録。

今回の予選ではいいところがなかったポイントリーダーのトレイシーだが、実は8年前の この時に、CARTで初めてのポールポジションを獲得していたのである。

まったくの同タイム、しかもトヨタとホンダがフロントローからスタートする明日の 決勝で、優勝は誰の手に。7人目のウイナーが登場するか、それとも今季初の2勝目を 達成するドライバーの登場となるか。

●ポールを獲得したモントーヤのコメント
「昨日は2セット目のタイヤを使うことができなかったから残念な結果に終ったが、 今日の朝にそのセットを使ってうまいセッティングを見つけることができたんだ。 途中ケニー(ブレック)がクラッシュしたけど、彼はそのままピットに戻ったのに レッドフラッグになった。これで全員がピットに戻ってクリヤーになったから、 思わず“ありがとう”って言っちゃたね。なにしろ僕は一番前のピットだったから、 そのままクリアラップを取れる。車もバッチリ決まっていたし、まあ、スライドは 少し大きかったけど、全部コントロールできる範囲だからまったく問題なかったね」