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CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第6戦 ミルウォーキー【決勝】レポート

<US-RACING>

ファン・モントーヤのポール・トゥ・ウインでトヨタ念願の初優勝達成!!

日曜日の朝、10時ぐらいから降りはじめた雨は、一日中降ったり止んだりを繰り 返す。結局、日曜日の決勝は第2戦ナザレス、第5戦もてぎに次いで、今シーズン 3回目の順延となる事が午後5時39分に発表。CART史上8度目のレース延期だが、1年間 に3度の順延は今年がはじめて。6戦中半分に当たる3戦が延期といった珍しい記録が 生まれてしまう。  

翌月曜日、午前8時ウォームアップ、10時決勝スタートというスケジュールだったが、 朝のうちは日曜と同じような天気で雨が残ったために予定どおり開始できず。しかし 昼近くから急速に天気が回復し、午後12時30分、ウォームアップスタート。長い間 続いたミルウォーキー・マイルの静粛を破り、ついにチャンプカーが走行を始めた。

ところが開始早々、今年3度目のCARTレースとなる中野信治がターン4でクラッシュ。 そのまま救急車で運ばれた中野だったが、幸い体に異常はなく、決勝はバックアップ カーで臨むこととなる。そして午後1時50分、再び集まった2万5千もの観衆が見守る中、 グリーンフラッグが振られ、待望の225周の決勝がやっと幕を開けた。  

トップグループはほぼ予選順位のまま、20番グリッドだった中野信治はセットアップが 完全でないバックアップカーのため、スタートダッシュで出遅れて最後尾となってしま う。早くも15周過ぎにはその中野をトップのファン・モントーヤがパス。続いて、2番 手につけていたダリオ・フランキッティもかわそうとするが、なかなかインに飛び 込めず、3位のパトリック・カーパンティエに先を越されてしまう。  

26周目、ターン4の立ち上がりで中野信治がハーフスピン。なんとかウォールに ヒットすることなくマシンを立て直し、走り続けるが、ここでこの日最初の フルコースコーション。中位グループにつけていたアドリアン・フェルナンデス、 エリオ・カストロネベスら7台がピットに飛び込む。上位陣とはピットタイミングを ずらし、後半に勝負をかける作戦だ。  

その後、モントーヤ、カーパンティエ、フランキッティのトップ3は変わらず だったが、66周目、ジル・ド・フェランがフランキッティをパス。そして、 その勢いのまま2位をうかがうが、77周目、上位陣では最初にピットイン。コース上 はグリーン状態だったが、この後、上位のマシンは次々とピットに入る。  

このため、コース上はすでに1回目のピットストップを済ませていたグループが上位 に上がり、この80周前後にピットストップを行ったグループが中位集団を形成する 形となるなど、レースは混戦の様相を呈してきた。  

レースも中盤にさしかかった103周目、3位を走っていたカストロネベスが 2回目のピットイン。このあたりで序盤に1回目のピットストップを行った グル−プは次々にピットに入り、またしても順位が大きく動く。コース上が 落ち着いた116周目の順位は、トップがモントーヤ、2位、3位はマイケル・ アンドレッティ、カーパンティエと続く。  

153周目、ド・フェラン、アンドレッティらが上位陣では最初に2回目のピット ストップ。コース上はグリーン状態だが、上位陣は次々にピットストップを行い、 またも順位が入り乱れる。この時、ポール・トレイシーがピットロードで違反を 犯し、165周目、ピットロード・ドライブスルー・ペナルティを受け、大きく順位 を落としてしまった。  

今年3戦目となる唯一のスイフトシャシーを駆るタルソ・マルケスが183周目、 ターン2でクラッシュ。これで2回目のフルコースコーションだ。ここで序盤に ピットストップを行い、トップに立っていたフェルナンデスが最後のピットに 入ったことで、結局、コース上は予選上位組がトップグループとなり、194周目 に再スタート。 ここでもトップのモントーヤは確実なスタートダッシュを決め、ポジションを キープ。2位アンドレッティ、3位にはド・フェランが上がってきた。  

ところが217周目、ド・フェランがピットに飛び込んでくる。燃費が苦しくなった のか、燃料だけ補給し、素早くピットアウト。しかし順位は12位まで後退だ。 これでカーパンティエは労せず3位に上がり、モントーヤ、アンドレッティと ともにゴールを目指す。そしてチェッカード・フラッグ。

モントーヤは今シーズン3回目のポールポジションで今季初優勝、96年からCARTに 参戦したトヨタは78戦目の嬉しい初優勝となった。2位アンドレッティ、3位 カーパンティエで、 トレイシーは15位完走とノーポイントながら、ランキング トップをキープ。2位には今回も5位入賞で、6戦中5戦でポイントゲットしている ロベルト・モレノが上がってきた。

予選20位からスタートした中野信治は、終始マシンのナーバスな挙動に苦しみ、 途中スピンを喫したこともあって下位に低迷。ピットのたびにウイングなどの セッティングを変えてみたもののマシンは安定せず、71周を終えたところで リタイヤとなった。

次戦は6月18日、デトロイトの特設コースで開催される今年2回目のストリート コースでのレース。中野信治にとってチャンプカーでの初めてのストリート コース・レースとなるだけに、その走りに注目したい。

●モントーヤの優勝コメント
「 今回優勝することができて本当にハッピーだよ。我々は今シーズン、アンラッキーが続いていたからね。 トヨタとチップ・ガナッシにとっても本当にいい勝ち方ができたと思う。 あとボクがトヨタの初勝利に貢献することができてとても光栄だよ。 この結果はチームが一丸になって頑張ってきたから実現したものだと思うよ。 今シーズンはまだ14戦も残っているからこれからどんどん巻き返していくよ 」

●マイケル・アンドレッティのレース後コメント
「今日のマシンはパーフェクトではなかったけれども、スタートとピットでポジションアップを図ることができた。 クルーは本当にグッドジョブだったよ。レース残り5ラップを切ってから必死にファンを追い上げたけど一歩及ばなかった。 もしレースが10ラップ余分にあったら、おもしろいことになっていたかもしれない。 」

● パトリック・カーペンティエのレース後コメント
「序盤はモントーヤに付いていくことができたけど、レース後半になってマシンが少しずついうことを聞かなくなってきてね、 全開でプッシュすることが難しくなってきたんだ。でもチームのクルーたちがいい仕事をしてくれたおかげでこのポジションに着くことができた。 今日の結果にとても満足しているよ。基本的にうちのマシンはいいパッケージだからこれからどんどん行きたいね」

●リタイヤに終わった中野信治のコメント
「ウォームアップのクラッシュはまだタイヤが暖まっていないのにちょっと無理 しちゃって、アレはボクのミスですね。チームにとても迷惑をかけてしまいました。 レースは急遽バックアップカーに乗り替えて走ったんだけど、オーバーステア というか、とてもナーバスなマシンだったためにスピンしてしまいました。その後も、 タイヤがスローパンクチャーだったのか、ちょっと原因はよく分からないんだけど、 タイヤの内圧さえ上がらない状態でした。もうどうにもいかなくなり、これ以上走っ てもしょうがないなということで途中でマシンを降りることになったんです。今週、 ミドオハイオでテストをしてデトロイトに望みます。初めてのロードコースというか、 ストリートコースなので、また頭をリセットしてがんばりたいと思います」

●トヨタモータースポーツV.P. ジム・アストのコメント
「ここまで本当に長かった。今シーズンは勝利できることを確信していたけれど、 ここまでいろいろなアンラッキーが重なったからね、やきもきさせられたよ。 でもとうとうこの日が実現して本当にうれしい。 これからも各チームと一丸になって残り14戦どんどん勝ち抜いていきたい」