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CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第2戦 ナザレス 特別レポート

雪がもたらす明と暗、勝負の行方は5月27日土曜日に

 雨による予選キャンセルや、2年前の月曜日への順延など、毎年天候に悩まされるナザレス。アメリカ最大の都市、ニューヨークのマンハッタンとほぼ同じ緯度にあり(マンハッタンから車で西に約2時間の距離にある)普段よりも3週間ほど早い開催となった今年、いつもより寒さが厳しいものになるのは間違いないと誰もが信じていたはずである。

 ところが初日となる金曜日は17度前後と、春らしい穏やかな天候になり、天気予報では雨となっていた土曜日も晴天。最高で25度近くまで気温が上昇するなど、われわれが危惧していた天候はものの見事に外れてしまう。

 昨年、めずらしく雨によるスケジュールの変更がいっさいなかったナザレスで、モントーヤが初めてポールポジションを獲得。さらにわれわれを驚かしたのが決勝での見事な走りで、ヨーロッパから(モントーヤの場合国際F3000)来たドライバーがCART参戦わずか4戦目でオーバル初優勝。それも一番難しいとされるショートオーバルでの勝利は、このルーキーが並ではないことを証明するに十分だった。

 そのモントーヤが今回もポールを獲得したとなれば、当然のごとくトヨタの初優勝も期待できるというもの。たしかに前日の天気予報では“雪”となっていたが、土曜日の雨が晴れになったほどであり、いったい誰がこの予報を信じるだろう。

 決勝前夜、われわれは様々なレース展開を胸にベッドに入ったのだが、翌朝、これこそまさに夢の続きともいうべき光景に唖然とする。ホテルの外は一面の銀世界であり、5センチは積もっているであろうその雪は、レンタカーをすっぽりと覆っている。外に出れば吹雪きが容赦なく体温を奪い、じっとしていることなどできない状況だ。

 かろうじてスピードウエイに辿り着くと、さすが地元と言うか、防寒着で完全武装したレースファンが大勢詰めかけていたが、アルミでできたスタンドは滑りやすく、中にはいっさい入れてもらえない。気温はすでに氷点下に達し、翌日も寒さが続くだろうとの予報が出た以上、2年目と同様に翌月曜日にレースが出きるかどうか難しいという事態に陥り、CARTは各チームとの交渉の末、スケジュール延期を決定。

 オーバル用からストリート用へのマシンのセットアップ変更も含め、最低3日はいるであろうアメリカ西海岸のロングビーチへの移動も考えれば妥当とも言える判断であり、チームは即座に撤退。午前中にはほぼ全チームが各ファクトリーへと帰って行く。

 結局、レースは第5戦のもてぎの後、このままのスターティンググリッドで5月27日土曜日にワンデイイベントとして開催されるだろうと言うアナウンスがあったが、われわれにとって不幸中の幸いともいうべきは、今回から3戦に渡って欠場が決まっていた中野信治と、やはり今回エントリーを取り消したガルタ−・サレス(金曜日にクラッシュ)とルイス・ガルシアJR(テスト不足でマシンのセットアップできず)の参戦が可能となるかもしれないということ。また、もてぎとブラジルといった二つのオーバルを経験した後にナザレスに臨むことになる黒澤琢弥にも期待が持てる。

 モントーヤが所属するチップ・ガナッシにとって、翌28日はインディ500参戦という大舞台が待つ。彼らにとってみれば是が非でも今回レースをしておきたいところだったが、相手は自然であり、4年連続チャンピオンも雪にはお手上げでしかない。

 次回は今週末に行われるロングビーチだが、ここはモントーヤが昨年CART初優勝を達成した場所である。今シーズン初のストリートコースでいったいどんな展開を見せるのか興味深いが、モントーヤの実力からすれば、依然トヨタの初優勝の可能性は高いといえるかもしれない。はたして、参戦5年目のトヨタが地元カリフォルニアで念願の初優勝を遂げることができるだろうか?