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CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第2戦 ナザレス【決勝】レポート

<US-RACING>
 CART第2戦“Bosch Spark Plug 225”の決勝レースが当初の開催予定日だった4月9日から約1ヶ月以上遅れの5月27日(土)に開催。

 スターティンググリッドは4月8日に行なわれた予選結果をもとに決められ、決勝レースは曇り空の下、気温18度、路面温度25度と言うコンディションのもと午後1時2分にスタート。ところがグリーンフラッグが降られた直後、予選14位からスタートしたダリオ・フランキッティがターン4の出口でスピン、インフィールドのウォールに後ろからヒットした。これに巻き込まれる形でクリスチアーノ・ダ・マッタがコースアウト。ダ・マッタはそのままレースに復帰するが、フランキッティはギアボックスまで破損してしまい、そのままリタイアとなる。

 7周後、今度は1列フォーメーションでグリーンフラッグが降られレースがスタート。序盤はポールポジションのファン・モントーヤがトップをキープしレースをリードする。レース3分の1を消化した辺りで、モントーヤは2位のクリスチャン・フィッティパルディに2秒前後の差をつけ、安定したスピードを披露、以下ポール・トレイシー、エリオ・カストロネベス、ジル・ド・フェランと続く。

 72周目、ターン2でマックス・パピスがスピン、コースはフルコースコーションとなる。このフルコースコーション下の76周目、同一周回数にある上位15台のマシン全てがピットイン。ここでトレイシーはチームグリーンの迅速なピット作業によりモントーヤより一足先にコースへ復帰、トップに踊り出る。しかしモントーヤも黙っていなかった、85周目にグリーンとなった直後、モントーヤは素晴らしいスタートダッシュをみせてトレイシーのインを突きパス、再びトップへと返り咲く。その後100周を過ぎてもモントーヤはリードをキープ、2位トレイシーとの差を2秒以上広げる。

 レースの中間地点を過ぎた114周目、ノルベルト・フォンタナがターン2でウォールに激突、フルコースコーションとなる。ここでトップと同一周回のマシン全てが再びタイミングをあわせるかのように続々とピットイン。この時もトレイシーはクルーの迅速なピットワークで素早くコースへ復帰。反対にトップで入ったモントーヤはピット作業で遅れをとり、ポジションを落とす。

 129周目にグリーンフラッグが降られレースが再開となった時、周回遅れだったミシェル・ジョルダインJr.がトレイシーの目の前でスピン。これを避けようとしたトレイシーは失速し、大きく順位を落としてしまう。またモントーヤもこのアクシデントに巻き込まれ、フロントウイングを破損。再度ピットインし、フロントウイングを交換するが大きく後退。今回もモントーヤ&トヨタを不運が襲った。レースは再びフルコースコーション状態となり、この間にあえてピットストップを行わなかったトニー・カナーンがこの後39周に渡ってレースをリードする。

 レース後半の155周目、ジョルダインJr.が再びスピン、ターン1のウォールに激突しリタイアとなる。このアクシデントでフルコースコーションとなり、ここでトップのカナーンがピットイン、代わって予選5位から追い上げてきたド・フェランがトップとなる。

 レースは166周目にグリーンとなるが、その翌周、マーク・ブランデルとカストロネベスがスタート・フィニッシュラインを通過した直後に接触し、2台はターン1のウォールに激突して大破。ドライバーは自力でマシンを降りたものの、レースはフルコースコーション。順位は1位ド・フェラン、2位ロベルト・モレノ、3位ケニー・ブレック、4位マウリシオ・グージェルミン、5位アドリアン・フェルナンデスのオーダー。

 186周に出されたグリーンフラッグを合図に、後方から追い上げてきたモントーヤがターン1でマイケル・アンドレッティのインを突き5位に上がる。その後レース終盤に向け、各ドライバーは積極的にポジションアップを試みる。205周には5位のフェルナンデスがターン4で一気にポジションを3位まで上げた。

 いよいよゴールまで10周というところで2位のモレノがターン4でクラッシュ、フルコースコーションとなる。222周目、残りあと僅か3周でグリーンフラッグが振られ、各ドライバーは猛然とダッシュ。結局ド・フェランがコンマ815秒の僅差でグージェルミンを抑え、今期初優勝のチェッカーを受けた。またこの勝利はチームペンスキーが待ちに待った記念すべき100勝目達成の瞬間だった。ホンダエンジンは今季2勝目、ナザレス3連覇となる。

 エンジンメーカー別に見ると優勝がホンダ、2位にメルセデスが入り、3位フォード、4位トヨタと全メーカーが揃って上位に顔を出す。またポイントリーダーのトレイシーは最終的に10位入賞、かろうじてポイントトップの座をキープした。

 これでレースはシーズンの4分の1にあたる5戦が終了したが、5戦とも勝者が異なる結果となった。次回、第6戦は6月4日、ウイスコンシン州ミルウォーキーの伝統ある“ミルウォーキーマイル”で開催される。今回と同じ1マイルのショートオーバルで、つぎは誰が勝利の美酒を味わうか。

●優勝したジル・ド・フェランのコメント
「マシンは朝から安定して速く、まったくノートラブルだったといっていい。ついにオーバル初勝利を挙げることが出来たよ。思えば昨年、ロジャー(ペンスキー)にチーム・ペンスキーへの移籍話をもらった時から実に色々なことがあった。それを思うと今の気持ちはとても言葉では言い現せない。とにかく優勝できてとても嬉しい。最高の気分だよ」