<US-RACING>
午後の予選はオーバルコース特有のシングルクオリファイで行われる。プラクティスタイムの遅かった順に1台づつコースインし、1〜2周のウォームアップラップ(ドライバーがチョイスできる)のあと、2周タイムアタック。いいほうのタイムで決勝のグリッド順が決まる。つまり後半になればなるほど速いドライバーが出てくるので、見ているほうも自然と力が入るというわけだ。
午後1時30分、プラクティスタイムでは最下位だったルイス・ガルシアJr.がコースインして今年初めての予選がスタート。2番手は注目の黒沢琢弥。新車に乗り換えて以来、どうしても28秒の壁が破れなかった黒澤だが、ウォームアップ2ラップ目に27秒687をマークし、タイムアタックに突入。1周目27秒280、2周目ではターン4の立ち上がりでマシンを大きくイン側に振るアグレッシブな走りを見せ、27秒163までタイムアップに成功した。
中野信治は14番目にコースイン。この時点ではホンダユーザーのエリオ・カストロ-ネベスが26秒268でトップである。しかし中野信治は1周目26秒717、2周目26秒538と午前中のプラクティスタイムにわずかに及ばず、この時点で4位につける。
この後、ルーキーのアレクサンドレ・タグリアーニが26秒114をマークし、一躍トップに立つ。そして20番目に、これまでホンダ勢のべストタイムを出しているジル・ド・フェランがコースイン。ウォームアップランはゆっくりした走りだったが、タイムアタックに入り、1周目に26秒095を出してトップ逆転。そのまま2周目に入り、ターン2ではコンクリートウォールギリギリまで攻め、ついに26秒を切る25秒942をマーク。2位に0.172秒差のトップとなった。
しかし、ここからベスト5ドライバーが次々に登場するだけに、予断は許さない。まず、好調ニューマン/ハースのクリスチャン・フィッティパルディ。ところがフィッティパルディは1周ウォームアップランをすると、すぐさまタイムアタックに入る。路面温度が上がってタイヤのタレが早いと判断したのだろうか。ただしタイムは26秒275に留まる。続いてコースインしたのはチームメイトのマイケル・アンドレッティ。アンドレッティはなんとコースインした翌周にタイムアタックに入るという超離れ業を披露。タイムは26秒175とプラクティスタイムを上回ったものの、スプリングトレーニング時のように26秒は切れなかった。
結局、その後に走ったファン・モントーヤも26秒は切ったが、25秒948に終わって2位がやっと。プラクティストップだったケニー・ブラックも26秒146の“平凡”なタイムとなり、ジル・ド・フェランが見事に開幕戦のポールウイナーを獲得した。
ド・フェランにとって昨年のトロント以来7回目の予選トップであり、ペンスキーにとっては97年のミルウォーキー以来、久しぶりのポールポジションとなった。
エンジン別ではホンダがトップ、2位トヨタ、3位フォードと並び、メルセデスはトニー・カナーンの14位が最上位だ。ただしトップから0.5秒差の中に13人のドライバーが入り、23人が1秒以内にひしめき合っている。
明日の決勝は混戦必至だ。
●ジル・ド・フェランの予選後のコメント
「このポールが意味するところは大きいと思う。何しろチームはこの数年間辛いシーズンを送ってきたからね。僕にとって今回ペンスキーと初めてのレースになるけど、今回のポールをみんなが感激してくれたようでうれしかった。 これで、われわれが今シーズンとてもコンペテティブである事が解ったと思う。今までこのホームステッドやナザレスで良いテストを行うことができたから、ある程度はいけると思っていた。でも正直言ってポールを取れるとまでは思ってなかったね」
●中野信治の予選後のコメント
「午前中と路面コンディションが変わってしまって、マシンを思い通りにコントロールすることができなかった。特にターン1〜2でロスしてしまった。ちょっと反省だね。 みんな、セッションごとに速くなるし、もっとがんばらないと。明日は初めてのオーバルでのレースだから、どういうレースになるのかわからないけど、とても楽しみ。とにかくがんばるよ」
●黒沢琢弥の予選後のコメント
「シングルカークオリファイはフォーミュラ・ニッポンで経験があったけど、自分としては結構好き。バックマーカーとか関係なく、ドライバーの力がすべて出せるから。でもさすがに今回は緊張したよ。タイム的にはまだまだだけど、セッションごとにタイムが上がってきて、この予選で午前中より約1秒も縮められたから、その意味では満足している。 1歩1歩、経験しながらやるしかないからね。チームからも無理するなっていわれているし、自分で行こうとする気持ちをコントロールしている状態。明日も1歩1歩、確実にゴールを目指したいね」