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CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第1戦 ホームステッド【決勝】レポート

<US-RACING>
2000年最初のレースでマックス・パピスが参戦60戦目のCART初優勝!

ロベルト・モレノが2位、予選17位から追い上げたポール・トレイシーが3位 CART初レースとなった中野信治は8位、5ポイント獲得

 やや雲が多いものの、気温29度、路面温度42度とまずまずのコンディションに恵まれた日曜日。CARTを題材にした映画”CHAMPS”を製作するハリウッドスター、シルベスタ・スタローンの”ジェントルマン・スタート・ユア・エンジンズ”のかけ声で全車が一斉にエンジンに火を入れる。

 午後2時9分、グリーンフラッグが振られ、150周の決勝がスタート。 予選2番手につけていたファン・モントーヤが素晴らしいスタートダッシュをみせてターン1でトップに躍り出る。6番手だったマイケル・アンドレッティもモントーヤに続き、序盤はこの2人がレースをリードしていく。

 10周目、徐々にポジションを落としていたエリオ・カストロ-ネベスが電気系トラブルによりスローダウン。そのままコース脇にマシンを止め、リタイヤとなった。
また、スタート直後からブースト圧が上がらず、スロー走行を強いられていた黒沢琢弥も、11周を走り終えたところで3度目のピットイン。ついにここでマシンを降り、戦線離脱を余儀なくされた。

 22周目、モントーヤのエンジンから白い煙が上がり、なんとかピットに戻ったものの、そのままリタイヤ。エンジンのオイルポンプが壊れてしまった。

 さらにアンドレッティや、モントーヤに代わってトップを走行していたアドリアン・フェルナンデスらのフォード勢にもエンジントラブルが発生。

 そしてルーキーながらトップに立ったケニー・ブラックはトランスミッショントラブルに見舞われるなど、サバイバルレースと化した開幕戦。

 こうした中、一時は5位まで順位を落としていたポール・スタートのジル・ド・フェランは次第にペースを取り戻し、37周目には3位までポジションを挽回。そしてグリーン状態だったが、50周目に初めてピットイン。ここで1回目のタイヤ交換&給油を行う。その後、上位陣も次々にピットに入り、順位は大きく入れ替わる。

 レースが落ち着いた58周目、ド・フェランはマシンが少なくなったコースで思い切りペースを上げ、見事トップに立つ。予選17位から10位までポジションアップしていたポール・トレイシーは、素早いピットワークでさらに順位を上げ、60周目にはなんと4位につけた。 トップに立ったド・フェランは2位との差を保ちながら、落ち着いたペースでレースをリード。トレイシーは前のマシンの脱落もあって3位をキープする。

 グリーン状態の99周目、ド・フェランはトップのまま2回目のピットイン。ところがコースに戻った直後の102周目、マウリシオ・グージェルミンがスローダウンし、このレース2度目のフルコースコーション。ド・フェランを除いたほかの上位グループはここぞとばかりにピットに入り、素早いピットワークを見せる。

 なんとも不運な展開となったド・フェランは6位に後退してしまったが、逆にチーム・グリーンはこのチャンスを生かし、112周目に再スタートが切られたときにはトレイシーがトップとなっていた。トレイシーは、28秒台中盤のラップタイムでレースをリードしていく。

 このまま開幕戦優勝かと思われた141周目、なんとトレイシーは周回遅れ2台に前をふさがれ失速。このスキをマックス・パピスは見逃さず、思い切りよくインに飛び込み、トレイシーをパス。ロベルト・モレノもパピスに続き、トレイシーは3位に後退。やっとのことで周回遅れをかわしたトレイシーだったが、残り9周ではいかんともできず、このトップ3のまま、チェッカードフラッグは振られた。パピスはCART参戦5年目で、60レース目の初勝利である。

 黒沢琢弥は早々にリタイヤしてしまったが、もう一人の注目の日本人ドライバー、中野信治は予選15位から慎重にスタート。

 序盤は一つづつ順位を上げ、51周目に9位で1回目のピットストップ。ここでフロントウイングを調整したのがうまくいき、その後ペースアップ。12位でコースに戻ってから、62周目に11位、63周目に10位、100周目に8位に上がる。この間、トップのド・フェランとほぼ同じ28秒5秒台のラップタイムをマークした。 中野は101周目に2度目のピットストップ。その後は8位のポジションをキープし続け、139周目にこのレースの自己ベストラップとなる28秒275(ベストラップとしては12番目)を出すなど、終始快調な走りを見せる。

 そしてトップと同一周回のままフィニッシュ。見事にCART初戦を8位で完走し、5ポイントを獲得した。

 次戦は4月2日、ペンシルバニア州ナザレスの1マイルオーバル、ナザレス・スピードウェイで開催。シリーズ屈指のセッティングの難しいショートオーバルだけに、各チームの総合力が問われるレースになりそうだ。

●中野信治のコメント
「とにかく冷静にレースを進めることができ、コンスタントに走れたと思う。2、3、ミスがあったが、大きな問題にはならなかった。フルコースコーションやトラフィックなどは、大体予想通りの展開。結果的にはまあまあだったけど、内容的には悪くないといったレベルで、まだまだ勉強することが多い。でも体力的にはまったく問題なかったし、この経験を活かして、次のナザレスもがんばっていきたいと思う」

●黒沢琢弥のコメント
「エンジンがまったく吹け上がらず、1周も全開にできないまま、終わっちゃった。午前中のウォームアップでもエンジンにちょっと問題があって、それはすぐにトラブルの箇所がわかって、パーツを交換したんだけどね。ローリング中にもうエンジンがぐずっちゃって、グリーンフラッグが振られても、ボッ、ボボボ、ボッ、みたいなことで全然ダメ。ブースト圧が上がらなくて、エンジン回転が5000以上回らないって感じ。どうしようもないね。とにかくマシンがきちんと仕上がるまでガマンだよ。ただ予選では少し突き抜けた感覚があって、ちょっと見えてきたこともある。まだまだこれからだよ」