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アメリカン・ル・マン・シリーズ・シーズン ウインター・テスト セブリング【二日目】フォト&レポート

<US-RACING>

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 2日目も快晴のなかで始まったセブリングのウインター・テスト。午後から雲が目立つこともありましたが、気温は27度まで上がる陽気です。蒸すような気持ち悪い暑さはなく、とても過ごしやすい一日でしたね。今日はメディアデイとなり、午前10時から午後1時までさまざまな記者会見が行われました。その模様は後ほどレポートするとして、まずは午後に行われたテストの模様からいってみましょう。

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 ニューマシンARX-02aの熟成を進めるアキュラは今日も絶好調です。トップ・タイムの1分44秒814をマークしたのは昨日同様、ド・フェラン・モータースポーツのマシンでした。しかも、2007年にアウディR10が記録したポール・ポジション・タイムを上回ったのは驚きです。さらにビックリしたのは、このタイムを出したのが、インディ500チャンピオン経験を持つジル・ド・フェランでもなければ、昨年のインディカー&インディ500チャンピオンのスコット・ディクソンではなく、若手ドライバーのシモン・パジノーだったことです。2007年にチャンプ・カーへ参戦したパジノーは、今年ペンスキー入りを決めたウィル・パワーとコンビを組んでいたことがあり、昨年からスポーツカーに転向。総合優勝こそありませんが、隋所で光る走りをみせていました。今年はアキュラのエースとして飛躍できるでしょうか?

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 総合2位のタイムをマークしたのはLMP2アキュラのフェルナンデス・レーシングでした。昨日より1秒以上もタイムを縮める1分46秒540をマーク。P2のマシンはこの2年で熟成が進んでいますから、開幕戦に照準を合わせた走り込みを行っているようです。それにしても、アドリアン・フェルナンデスはまだまだ元気ですね。4月で45歳になるのですが、今日もチーム内でトップの活躍で、“まだまだ若いものには負けない”という感じでしょうか。2日連続でP1のハイクロフトを上回るなんて、P2のアキュラがP1のアキュラを倒してしまうシーンが、現実に起こりうるかもしれませんね。

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 ARX-02aで52周を走りこんだハイクロフト・レーシングは今日も3位。ド・フェラン・モータースポーツに比べるとタイム差があることは気になりますが、これも昨年アキュラ勢トップの成績を残した余裕なんでしょうか。アメリカン・ル・マン・シリーズは耐久レースなので、ラップ・タイムだけで決まらないわけですから。「今は急ピッチでマシンを学習しながら、良いセット・アップを見出そうとしているんだ。信頼性の問題はあるけれど、私たちは毎日進歩しているよ。マシンの準備を完璧にすると同時に、小さい問題から大きな問題までを潰していきたいね」と、オーナーのデイトン・ダンカンも話していましたから心配していないようです。どの段階でスパートをかけてくるのか見守っていきましょう。

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 GT2クラス常連のポルシェも今回から新車を投入しているんですよ。張り出した迫力あるボディ形状はそのままで、見た目の大きな変化はないように見えますが、良く見るとボンネットダクトが昨年とは異なっていました。なんと今年からエアコンの装備が義務付けということで、そのためのダクトなんだそうです。レーシングカーにエアコンがつくことに意味があるかどうかはわかりませんけど、ドライバーの快適さがアップすると良いですね。

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 さて、冒頭でお話ししたメディア・デイの様子についてお伝えしていきます。まず、アメリカン・ル・マン・シリーズのニュー・スポンサーについて。世界的に有名な日本の宝石メーカー“ミキモト”がALMSのコーポレート・パートナーとなりました。宝石とレースって意外な組み合わせ。でも、ALMSのファン層の多くは所得が高いというデータもありますので、実はぴったりの結びつきかもしれません。記者会見に来たミキモト・アメリカの副社長、ツキカワ氏によると、ミキモトの顧客の75パーセントが男性で、GT2クラスで双璧をなすポルシェやフェラーリのオーナーが多いため、マーケティングにはピッタリなんだそうですよ。経済危機が叫ばれるなかで、ALMSが新しいスポンサーを獲得したことは、このシリーズが将来有望であることを意味していると思います。またこうしたシリーズを日系の企業がサポートすることは、私たち日本人にとってもうれしいことですね。ちなみに、現在ほとんどの真珠は養殖で作られているようで、養殖を最初に成功させたのがミキモトの創業者である御木本幸吉さんだそうです。養殖の技術は御木本さんが広め、今も同じ手法がとられているとプレス・リリースで紹介されていました。

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 今回まだ走行していないダイソン・マツダが記者会見を開きました。昨年までポルシェRSスパイダーを走らせていたダイソン・レーシングは、マツダ・エンジンを搭載したクローズド・ボディのローラ08/86を2台走らせます。ドライバー・ラインナップはナンバー16にクリス・ダイソンとガイ・スミス、ナンバー20にはバッチ・レイツィンガーとダリオ・フランキッティの弟マリーノです。また、昨年までマツダのLMP2マシンを走らせていたベン・デブリンも、その経験がかわれてダイソン入り。席上では「我々にはものすごい勢いがある」と、マツダスピード・モータースポーツ・マネージャーのジョン・ドゥーナンがスピーチするなど、マツダの本気が伝わってきます。昨年まではなかなか結果が伴わなかったマツダですが、ダイソンとの新たなパートナーシップで、アキュラの好敵手になって欲しいものですね。

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 アキュラは昨日のARX-02a発表会に続いての記者会見。ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント社長のエリック・バークマンからマシン・コンセプトが改めて紹介されました。それからバークマンと入れ替わりで、今シーズン参戦するチーム・オーナーとドライバーも勢ぞろい。それぞれにマシンの印象や今シーズンの意気込みを話しました。最後に、「ある人たちは現在の困難な時期に、レースに対する予算を切り詰めなくてはいけないと信じています。そのような環境においても私たちは胸を張って、顔を上げていきたいと思います。私たちは自分たちの努力を誇りに思っていますし、ぜひ皆さんにこの努力を見ていただきたいです」とバークマンが会見を締めくくりました。アキュラの挑戦をじっくり見守っていきたいですね。