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アメリカン・ル・マン・シリーズ 第1戦 セブリング【予選日】フォト&レポート

<US-RACING>

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予選開始8分後に起きた大アクシデントによって、大きく混乱した56回目のセブリング予選。午後3時35分に開始されたセッションは、8分後にLMP2クラスのBKレーシング・マツダがターン1立ち上がりでコース・アウトし、そのままタイヤ・ウォールに激突する。破壊されたタイヤ・ウォールの修復は、フル・コース・コーションの下で行われ、セッションが再開されることなく終了の時刻を迎えてしまった。たった8分間の予選となってしまったが、既にタイムを計測していたマシンもいたため、予選結果はこのセッションのタイムが反映されると誰もが思っていた。実際、アクシデントが発生する直前に1分43秒117というすばらしいタイムをマークしていたプジョーのステファン・サラザンをはじめ、各クラスのトップ・タイムを記録した面々が記者会見場に呼ばれていた。ところが、記者会見が始まろうとするまさにその時、オフィシャルから「グリーン・フラッグの状態が10分未満の予選セッションは、無効とする」という通達があり、記者会見場は騒然。会見を待っていたドライバーたちの笑顔も、一瞬にして消えてしまった。結局、全ての予選タイムが無効となり、スターティング・グリッドは午前中に行われたプラクティスの結果を反映。プジョーの初ポール・ポジション獲得の快挙から一転し、ディンド・カペッロ/トム・クリステンセン/アラン・マクニッシュが駆る1号車アウディがポールの座に付く、後味の悪い予選になってしまった。

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幻のポール・ポジション。テスト・デイの2日間でみせたプジョー優位は予選でも揺らぐことがなく、ステファン・サラザン会心のアタックは、1分43秒117を記録していた。予選セッション終了とともにサラザンがマシンを降りると、カメラマンが取り囲み、ポール・ポジションを祝うように無数のフラッシュがたかれていた。しかし、無情にも記者会見が始まる前に予選セッションの無効が告げられ、全ては台無し。ここまで順調な仕上がりを見せていたプジョーは冷水を浴びせられることになったが、決勝でのリベンジを硬く誓った。

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ポール・ポジションが転がり込んできたアウディ。プラクティスでの好走が見事にこの幸運を引き寄せた。もちろんアウディもプジョーにやられっぱなしではない。このプラクティスで記録された1分43秒195は、プジョーが記録した幻のポール・タイムとほぼ互角のタイムだった。予選が通常通りに行われていれば、アウディとプジョーによるタイム・アタック合戦が繰り広げられていたに違いないだろう。「ファンはちゃんとした予選を見たかっただろうね。僕たちは自分たちのマシンのパフォーマンスを見せる平等な機会が、得られなかったんだ。みんなが同じルールの下でやっているわけだけど、プジョーのみんなにとってはとても残念な結果になってしまったよね。ここでは予想も付かないレースをファンが期待している。レースになれば、僕たちも速くなっていくだろうし、ライバルも同じように速くなっていくだろう。基礎になるレース・プランはあるけど、実際にレースが始まるとどんなことが起きるかは分からないよ」と土曜日の決勝を見据えるアラン・マクニッシュ。リベンジ燃えるプジョーから、このポジションを守りきることができるだろうか。

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テスト・デイからこれまでアキュラ勢の先行を許し続けてきたポルシェ勢。だが、今日はこれまでの不調が嘘のような快走を見せ、午前のプラクティスでアキュラを出し抜いた。予選が無効となったため、ペンスキーの2台が労せずしてLMP2クラスの1-2を獲得。ティモ・バーンハード/ロメイン・デュマス/エマニュエル・コラード組みが、総合4番手からスタートすることになった。「ポルシェRSスパイダーは、去年ここで勝てなかったからね。ぜひとも勝ちたいよ。でもポイントを獲得することが第一目標さ。このコースは路面がとてもラフなだけでなく、ドライバーやマシンに厳しいコースなんだ。スティントを通して安定したタイムを出せれば、アドバンテージになるだろうね。幸い僕たちは良いポジションにいるから、必要であればどこでもプッシュできるよ」と展望を語るバーンハード。アキュラとのLMP2クラス優勝をめぐる戦いは、ますます見逃せなくなってきた。

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プジョー同様、予選に翻弄されてしまったアキュラ勢。セブリング2連覇を狙うアンドレッティ・グリーン・レーシング(AGR)は、今回スポット参戦のマルコ・アンドレッティが予選アタックを担当することになっていた。しかしながら、セッションは満足なアタックを行う前に終了してしまう。今週はポルシェを凌ぐパフォーマンスを、随所で見せてきたAGRだが、スターティング・グリッドは総合8番手。予選にはよほどの自信があったのだろうか、ピットに戻ってきたアンドレッティはヘルメットを取るなり、予選が中止になった怒りをチームメイトやクルーに捲くし立てていたのが印象的だった。「ほんとうに残念だよ。僕たちは今週ずっと速かったんだ。LMP2のポールは確実だと思っていたから、チームにとっても最悪だよ。僕たちのマシンは耐久性もあるから、レースでは早い段階で先頭に立ちたいね」とアンドレッティ。この怒りを土曜日の決勝にぶつけて欲しい。

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中途半端な形で終了した予選は、終了後にいろいろと物議をかもしていた。こちらはアキュラ勢のAGRとフェルンデス・レーシング、オーナー兼ドライバーのアドリアン・フェルナンデスがなにやら議論しているところ。確かに今回の10分間ルールは、寝耳に水のルールと言えた。各チームの認識もたりなかったということもあるが、予選後の記者会見まで用意されていたところを見ると、運営側も混乱していたことがわかる。レースをやっている側ですら混乱しているのだから、ファンにとってはいまひとつ盛り上がりに欠ける予選となったのではないだろうか。様々な形で影響を与えてしまった今回の予選だが、全ては決勝のすばらしいレースによって払拭されることを願う。

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混乱した予選の原因を作ったBKレーシング・マツダのベン・デブリン。写真は予選アタックに入ったところを写したもの。この後に大クラッシュを演じてしまう。幸いドライバーは無事だったものの、マシンはモノコックにまでダメージが及ぶほどで、土曜日の決勝日までに新しいシャシーへ変更を余儀なくされた。マツダ・エンジンを積むBKレーシングは、今年からメインスポンサーにオイル・メーカーのbpを迎えたばかりだったが、開幕戦からとんだ失態を演じることになった。決勝までに体制を建て直し、鮮やかなbpカラーのマシンがセブリングを駆け抜ける姿を見たい。

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見事な青空が広がったセブリング・インターナショナル・レースウェイ。朝のうち肌寒さを感じた気温も、陽が高くなるにつれて上昇。最高気温は25度に達したが、湿度のためか実際よりも暖かく感じ、コースサイドやピットを移動していると少し汗ばむほどだった。週はじめのテスト・デイははっきりとしない天候が多かったものの、週末は良好な天気が予想されている。気温ももう少し上昇するようなので、今年のセブリング12時間は、ファンにとっても絶好の観戦日和になるだろう。