年明け早々の1月3日から3日間、第47回デイトナ24時間レースの合同テストが行われました。見所満載だったテストの模様を、2回にわたってお届けしていきます。
毎年恒例となっている、年始早々に行われるデイトナ24時間の合同テスト。デイトナビーチ在住としては取材しない手はないと、お正月気分が残る1月2日にアメリカに戻り、3日から取材に行ってきました。もともと日本と違い、アメリカにはニューイヤーを祝う習慣がなく、元旦翌日の2日から通常の生活になるため、こっちに戻ってきてからも特に変わった様子もなく、みんな日常の生活を送っていましたね。この合同テストも、当初は1月2日からの3日間で予定されていたほどです。ただ、直後に予定されていたNASCARスプリントカップの年明け恒例のテストが、昨年末に参戦コスト削減のため今年からテストが全面的に禁止されたことが急遽決まったことで中止になったため、デイトナ24時間テストの日程が1日繰り下がったのです。取材する側としては大変ありがたい日程変更でしたが、でも正月三が日くらいは日本でゆっくりしたかったというのが本音でしたね。
アメリカンモータースポーツ界のシーズン幕開けを告げるデイトナ24時間には、近年様々なカテゴリーからドライバーが集結し、“アメリカン・レース・オールスター戦”の様相を呈しているのですが、今年も豪華なドライバーが揃いました。インディカー・シリーズからは、ライアン・ブリスコー、ダニカ・パトリック、ライアン・ハンター-レイらがエントリー。NASCARからも3年連続王者ジミー・ジョンソンが昨年に続き参加。ALMSからは、昨年のLMP2クラス王者ロメイン・デュマ&ティモ・バーンハードといった面々が揃いました。北米モータースポーツの主要カテゴリーからトップドライバーが集まるのですから、ファンから見れば垂涎もの。実際、合同テストだというのに、スピードウェイには多くのファンが詰め掛けていましたね。
3日間、計8セッションが行われたテストでトップタイムをマークしたのは、グランダム・シリーズの常連、ブルモス・ポルシェの58号車(ライリー/ポルシェ)。テスト最終日の午前中に、ベテランのダレン・ロウのドライブで1分41秒733をマーク。初日にマイケル・シャンク・レーシングの6号車(ライリー/フォード)でマイケル・バリアンテがたたき出したそれまでのトップタイムを0.03秒上回るスーパーラップを見せたのです。この58号車には、2004年インディ500王者バディ・ライスもラインアップに加わっており、一躍注目のチームとなりましたね。ブルモスは2台目の59号車もテストを通じて常にチャートの上位につけるなど好調でした。マシンのセットアップはかなり進んでいるようで、本番ではダークホース的な存在として注目できそうです。
総合2番手につけたのはマイケル・シャンク・レーシング。テスト初日にチーム体制発表を行い、今年も6号車と60号車の2台体制でデイトナ24時間に臨むことが発表されました。マイケル・シャンクは毎年他カテゴリーからトップドライバーを採用することで、今年はどんなラインアップになるのか注目していたのですが、今年は昨年のドライバーラインアップをベースにしていたようです。2番手タイムをマークした6号車には、昨年も同チームから出場した元チャンプ・カー・スターでNASCARスプリント・カップ・ドライバーのAJオールメンディンガーがエントリー。記者会見でも真ん中に陣取り、チームのエースドライバーとしての活躍が期待されていることがわかりましたね。自身も昨年と同じチームで参戦できることで、自信に満ちた表情を見せていたのが印象的でした。昨年末にレッドブル・レーシングを解雇されてしまったオールメンディンガーですが、ダッジ系のエバンハムのシートを確保し、今年もNASCARにフル参戦をすることが決まったことで、気持ち的にもかなり余裕を持って今年のレースに臨めるのでしょう。レースでは優勝争いに加わってくるものと思います。
2台目の60号車には、IRLからライアン・ハンター-レイがエントリー。精力的にマシンをドライブし、チームとのコミュニケーションもなかなかうまく行っているようでしたね。昨年コースレコードでポールポジションを獲得したオズワルド・ネグリJrらとのコンビも強力。経済不況のあおりを受けて2009年シーズンのIRLのシートを未だ確保できていないハンター-レイですが、IRLにフル参戦する前の2007年にはグランダム・シリーズで優勝経験もあることから、デイトナでどのような走りを見せてくれるか楽しみです。
3番手には、レベル5モータースポーツの55号車(ライリー/BMW)、そして4番手にはアレグラ・モータースポーツの22号車(ライリー/BMW)と、BMWエンジン搭載車がきました。今年はBMWエンジンもなかなか良さそうで、ダレン・マニングがドライブしたオービット・レーシング45号車(ライリー/BMW)も初日3番手につけるなどかなりの速さを見せてましたね。レクサス、ポンティアック、フォード、ポルシェとのエンジンマニュファクチャラー対決も今年は大いに注目できそうです。一方で、シャシーに関して今年はライリー勢が圧倒していますね。主要チームのほとんどがライリー・シャシーを使用していることもあり、ライリー優勢に変わりはなさそうです。昨年途中からダラーラ・シャシーに変更したウェイン・テイラー率いる強豪サントラスト・レーシングが、ライリー勢に対抗する一番手かと思いますが、今回のテストではタイムが伸びず、結局一度もチャートの上位に来ることはありませんでした。経験あるチームですから本番ではしっかり立て直してくるでしょうが、強力なライリー勢の牙城を崩すにはかなり厳しそうです。
次回は、注目のチップ・ガナッシ勢と、本格参戦してきたペンスキー勢の情報を中心に、注目のドライバーについて紹介していきます。