<Formula Dream Indy>
<2008 IRLインディカー・シリーズ第16戦デトロイトDetroit Indy Grand Prix>
【日 程】2008年8月29〜31日
【開催地】ミシガン州デトロイト
【コース】ベル・アイル・ストリート・サーキット
【距 離】ストリートコース:2.096マイル(3.372km)
【天 候】30日:曇りのち晴れ/気温24.5℃
【時 間】午前11時30分〜(日本時間31日午前0時30分〜)
■■■8月30日予選■■■
<自動車の町でのストリートレース>
シリーズ第16戦デトロイト・インディ・グランプリは、ストリートレースだ。ミシガン州デトロイトのダウンタウンからすぐ北、カナダとの国境を流れる川に浮かんでいるベル・アイル島で昨年から開催されるようになった。全長約2マイルのサーキットは島内の公園の道を利用して作られる。デトロイトといえばアメリカ自動車業界の首都。当然レースに関する注目度は高く、プラクティス1日目から多くのファンが詰め掛けた。
<金曜日、プラクティス前に雨>
金曜日のプラクティスは朝方に降った雨により、まだ完全なるドライではない路面状態で始まった。ルーキーの武藤英紀にとって、ベル・アイルのバンピーなコースを走るのはこれが初めてだった。まずはコースを覚えることが重要なため、22周を走ったが、スリックで思い切り走れるコンディションが整ったのはセッションの後半になってからだった。武藤は1分16秒4874のベストをマークし、12番手につけた。
<セッティングの方針を大きく変更>
金曜午後のプラクティス2回目、武藤は大きくセッティングを変更したマシンで走行した。プラクティス1回目に非常に良いタイムを出していたチームメイト、ダニカ・パトリックのセッティングをトライすることになったのだ。しかし、この試みは大きな失敗だった。武藤のドライビングスタイルに合わないものだったからだった。武藤の同セッションでの順位は17番手となった。
<プラクティス3回目>
走行初日を終えた後、武藤とチームはマシンセッティングをプラクティス1回目のものに戻すことを決めた。昨年トニー・カナーンが使った仕様をベースとしたセッティング。このほうが武藤のドライビングスタイルにフィットしていると判断したからだった。走行2日目は短い30分のセッションで、武藤は14周しか走ることができなかったが、自己ベストを1分14秒3779まで縮めた。このセッションでのポジションは15位と、プラクティス2回目からわずかではあるが向上させることができた。
<グリップが高まった予選でマシンセッティングはさらに向上>
今回の武藤は予選第1ステージを2グループ目で走った。プラクティス3回目でマシンには好感触を得ており、そこから少しの前進を果たせば目指すパフォーマンスを発揮できる。そうした確信を胸に武藤は予選に臨んだ。予選が始まり、グリップの高まった状態のコースを走ると、武藤はマシンのハンドリングが向上していることに気づいた。
<フルコースコーションが予選を分断>
しかし、第2グループで臨んだ予選第1セッションは、序盤と終盤にそれぞれ1回ずつ、重要なパートでフルコースコーションが出てしまう展開となった。武藤はセッション半ばにトップ6を外れて7番手へ下がった。あとひとつのポジションアップ、そして第2ステージへと進むことを目指したアタックが続いたが、2回目のフルコースコーションが解けたのは、もう残り時間が3分となったところだった。
<最終計測ラップにベストを記録>
最後のグリーンフラッグが振り下ろされると武藤は真っ先にコースへと飛び出して行き、アタックを開始した。チェッカードフラッグが降られるまでにこなせる周回数は2周がギリギリという状況だったからだ。最終ラップで武藤は1分13秒台へと突入。彼の今週の自己ベストとなる1分13秒9010は、第2グループの8番手にランクされた。
<グループ8位で第2ステージ進出はならず>
予選を戦う中でマシンのセッティングを向上させることができたのは大きな成果だった。しかし、目指す予選第2ステージ進出にはポジションでふたつ届かなかった。第2グループのトップ6入りにはあと0.3秒のゲインが必要だったのだ。武藤の予選第2ステージ進出はならず、予選順位は16位と決まった。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「マシンはよい状態なので、何とか順位を上げる戦いをしたい」
「すごく悔しい予選になりました。最終ラップに自分がミスをしなければ第2ステージに進めていたと考えられるからです。このコースでの予選ではラップ計測の開始がターン12なのですが、その先のターン14で縁石にマシンを乗り上げさせ過ぎてしまいました。マシンが壁の方を向いたのでアクセルを大きく戻さねばならず、それがストレートへのスピードに響いてしまいました。
マシンは今日になってから良くなってきていて、予選中にそれをさらに向上させることができました。しかし、予選順位は16位。このコースはオーバーテイクがほとんど無理だし、ピットタイミングをずらす作戦に出ても、きっと誰かにすぐ追いついてしまうでしょうからクリアなラップを続けるのも難しそうです。それでも何かしらの作戦を使ってポジションを上げ、いいタイミングでフルコースコーションが出されるというレースができればいいと思っています。マシンは良い状態にできていると思います」
<レイ・ガスリン:レースエンジニア>
「作戦を上手く使って上位フィニッシュを達成したい」
「プラクティス2回目にセッティングの方向性を大きく変更した。それが大きな間違いだった。結局、最初に走り出した時のセッティングがヒデキにはマッチしていた。ヒデキはこのコースを走るのが初めてだというのに、走行初日の貴重なプラクティス時間を無駄にしてしまった。走行2日目になってセッティングを戻すと、そこからの僕らは進歩を重ね、予選の間にでさえセッティングをさらに向上させた。
明日のレースでは作戦を利用してポジションを大きく上げたい。今のマシンの戦闘力は決して低くはないはずだ。ストリートコースだけにフルコースコーションが出される可能性は高い。昨年はそうだった。しかし、先週のインフィニオンでイエローは1回しか出されなかった。そういう時もある。いずれにせよ、壁にヒットすることなくゴールまで走り切ることも非常に重要だ。作戦もうまく使って上位でのフィニッシュを達成したい」
■■■予選結果■■■
2.096マイル(3.372km) 出走26台
順位 No. ドライバー タイム 平均速度mph(km/h)
1位 9 S.ディクソン 1’12.2861 103.090(165.907)
2位 3 H.カストロネベス 1’12.7649 102.412(164.816)
3位 5 O.セルビア 1’12.9618 102.136(164.371)
4位 02 J.ウィルソン 1’13.0530 102.008(164.165)
5位 6 R.ブリスコー 1’13.1004 101.942(164.059)
16位 27 武藤英紀 1’13.9010 100.838(162.283)
※全車シャシー:ダラーラ/エンジン:Honda/タイヤ:ファイアストン