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アメリカン・ル・マン・シリーズ 第9戦 デトロイト【決勝日】フォト&レポート

<US-RACING>

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今シーズン最後となるストリート・バトルは、アキュラ勢のアンドレッティ・グリーン・レーシングが総合優勝を飾った。ジェームス・ロシターがステアリングを握り、総合4番手からスタートしたAGRは、1回目のピット・ストップに手間取り大きく順位を落としてしまう。しかし度重なるイエローに助けられてトップとのギャップを難なく詰め、最初のピットでドライバー・チェンジを行ったことも功を奏し、レース開始から1時間37分後に初めて総合トップに躍り出る。レース中盤はペンスキー・ポルシェから猛追を受ける場面もあったが、ペナルティで7号車ペンスキーが自滅したあとは敵なしだった。ハイクロフト・レーシングとド・フェラン・モータースポーツを引きつれ、モンタニーはそのままフィニッシュ。アキュラは今シーズン2回目の総合優勝を果たし、初めて総合3位までを独占した。「ほんとうに良いレースだったね。僕達は最初から最後まで速かった。ニュー・タイヤを履いたポルシェが速いときもあったけど、チームは戦略の面でとても良い仕事をしたよ。モスポートで苦しんだあとだから、今回の優勝はとてもうれしいんだ」とALMS初優勝を喜ぶモンタニー。シーズン途中のドライバー交代など苦戦続きだったAGRが、シーズン終盤にようやく総合優勝を手に入れた。

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ポール・ポジションのハイクロフト・レーシングは総合2位でフィニッシュ。完璧なスタートでスコット・シャープがレース中盤までトップを維持するが、開始から1時間27分後の49周目に、周回遅れに引っかかった隙を突かれてド・フェラン・モータースポーツに総合トップを奪われてしまう。最後のピット・ストップを終えたときは総合4番手でコース上に復帰するも、シャープからステアリングを引き継いだデイビッド・ブラバムがド・フェランをパスすると、前を走る7号車のペンスキーがペナルティで後退し、総合2番手まで順位を取り戻した。コーションによって残り10分のスプリント・レースとなったレース終盤は、AGRのモンタニーを必死に追いかけるが追い詰めるにはいたらず。今シーズン2回目の総合優勝は逃したものの、タイトルを争う7号車のペンスキーが総合4位に沈んだため、残り2戦での逆転チャンピオンに向けて弾みがつく2位となった。

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ハイクロフト・レーシングとフロント・ローを分けたド・フェラン・モータースポーツ(DFM)は、総合4位でフィニッシュしたものの、レース後の車検で1号車アウディが失格となり、総合3位に繰り上がった。スタートからハイクロフト・レーシングとマッチ・レースを演じたDFMは、49周目にスタート・ドライバーを務めたパジノウがシャープを捕らえて初めて総合トップに躍り出る。だが度重なるコーションに翻弄され、最後のピット・ストップを終えたときには総合3番手でコースイン。その後はスピンを喫してさらに順位を落とし、ボディ・カウルまで破損してしまうが、チーム・オーナー兼ドライバーのジル・ド・フェランが諦めることなく走り続け、レース終盤にはマニュファクチャーズ・タイトルを争うペンスキーのポルシェを鮮やかにパスして総合3位を手に入れた。

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ハイクロフト・レーシングとドライバーズ・タイトルを争う7号車のペンスキーは、総合5番手からスタートを切り、序盤から激しくアキュラ勢にプレッシャーをかけていた。レース中盤に総合2番手となってからは、総合トップを走るAGRのモンタニーとサイド・バイ・サイドのドッグ・ファイトを展開する。しかし、AGRとのバトルに熱くなりすぎたのか、レース開始1時間58分となったとき、AGRとの間に入ってきた周回遅れのGT2クラス・ポルシェをエスケープ・ゾーンにはじき出してしまう失態を演じた。これによって7号車にはペナルティが課せられて万事休す。総合優勝は夢と消え、総合4位でフィニッシュ。アキュラの勢いを止めることができず、タイトル争いでは手痛い敗戦となった。

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予選では良いところがなかったLMP1クラスのアウディは、決勝でも散々な結果に終わることになった。2台のアウディは予選7番手と8番手からスタートすると、直線スピードの優位をいかしてレース序盤にペンスキーの2台をかわし、前をゆくアキュラ勢を追いかける。ところがレース開始から37分、2号車のアウディがターン13の進入で大きくバランスを崩し、コントロールを失ったままタイヤ・バリアへ。幸いドライバーに怪我はなかったが、マシンのダメージは深刻で2号車はレース早々にリタイアしてしまう。残された1号車は最後まで粘り強くアキュラ勢を追いかけ、苦しみながらも総合3位でフィニッシュ。しかしレース後の車検で、最低重量を下回るレギュレーション違反が発覚し、失格の裁定が下されてしまう。アウディは総合3位とP1クラス優勝の結果を棒に振り、総合22位でフィニッシュしたインタースポート・レーシングにP1クラスの優勝が渡った。

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昨日は雨に祟られたアメリカン・ル・マン・シリーズ。一夜明けた今日は快晴のもとでレースが行われた。昨日予選3位となったダイソン・レーシングが、レギュレーション違反を犯していたことが明らかとなり、アキュラ勢のトップ4でスタートした決勝。2列目までを独占したアキュラのマシンがきれいな隊列を組んで1コーナーに飛び込んでいき、オープニング・ラップを奪う。狭いストリート・コースのワナにはまり、フェルナンデス・レーシングが戦線離脱してしまうが、残りの3台は生き残って総合3位までを独占し、アキュラにとっては最高の週末となった。