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インディ・カー・シリーズ 第16戦 デトロイト[初日]フォト&レポート

<US-RACING>

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IRL初開催となるデトロイト、ベル・アイルの初日プラクティスを制したのは、エリオ・カストロネベスだった。CART時代の2000年、2001年に連覇を達成しているゲンのよいサーキットで、その速さを再び示して見せた。1回目のプラクティスこそ2番手だったものの、午後のプラクティスでは走るたびにタイムを縮め、1分13秒3130を記録。2位のダリオ・フランキッティを0.0317の僅差でかわし、トップで初日を終えることに成功した。「今日はマシンが最初から速かったんだ。コース状況は一日を通して変わり続けていた。ラップ・タイムを何度も更新できるときもあれば、その2-3周後に伸び悩むこともある。タイヤのラバーが路面にのればのるほどタイムが上がっていくようだったね。午後のセッションで良いタイムを残したけど、相変わらずAGR勢は速い!これからも一生懸命プッシュし続けないといけないね」と意気込みを語るカストロネベス。6年ぶりのベル・アイル制覇に向け、まずは明日のポール・ポジション獲得を目指す。

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前戦、チームメイトのマルコ・アンドレッティと接触し、ポイント・リーダーの座から陥落したダリオ・フランキッティ。カストロネベスと同じくCART時代の1999年にこのベル・アイルを制しているフランキッティは、先週の悪夢を消し去るかのように走りこみ、1回目のプラクティスでトップに躍り出る。ところが午後からタイムを更新することが出来ず、1分13秒3447のタイムで総合2位に終わった。「プラクティスは良かったよ。今朝の走りに比べて午後のセッションは満足できなかったね。今朝のほうが速かったんだ。でもマシンは安定しているし、結構良い感じだね」と言葉少ないフランキッティ。一刻も早く悪い流れを断ち切るために、内なる闘志を燃やしているのかもしれない。

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10戦ぶりにポイント・リーダーへ返り咲いたスコット・ディクソンは3位につけた。上位2名同様、CART時代にこのサーキットを経験しているディクソン。この日、誰よりも少ない35周しか走らなかったが、2回目のプラクティスで1分13秒7286までタイムを縮め、きっちりトップ3に入ってきた。2位フランキッティとのポイント差はわずかに4点しかなく、依然として予断を許されないタイトル争いが続いており、タイトル獲得の足固めには、明日のポール・ポジションが必須となりそうだ。「色んなことが起きたね。特に最初のセッションがウェットだったときは大変だったよ。スピンしてしまって、セッションの1時間くらいは走れなくなったんだ。トップ5に入るだけのスピードを取り戻すのはかなり苦しかったけど、徐々に進歩している。最後に小さな変更をして良い方向に進んだよ」と初日を振り返るディクソン。明日の予選で巻き返しを誓う。

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前戦、インフィネオンで発生したリアのグリップ不足と酷似した症状に悩まされた松浦孝亮。この日60周を走りこんだが、タイムは思った以上に縮まらず、1分15秒3675で11位に留まる。チームメイトのヴィットール・メイラがトップ10入りしているだけに、厳しい初日となった。「ベル・アイルでは初めて走ることになります。コースはとてもバンピーで、パッシング・ポイントが多くないですから、タフなレースになりそうです。マシンはソノマと同じような状況で、リアのグリップがありませんでした。インサイドのホイール・スピンが多かったと思ったら、ダンパーを支えているボルトが一個取れていたんですよね。チームがそれに気づいたのは、すべてのセッションが終わってからでした。明日には今日の問題は解決していると思うので、タイム・アップできると思いますが、まだレースに向けたセット・アップが十分ではないので、プラクティスの時間を有効に使ってレースに備えたいですね」と語る松浦。この逆境を跳ね返し、上位に進出して欲しい。

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アメリカ自動車産業の中心都市、デトロイトにオープン・ホイールのレースが帰ってきた。実に6年ぶりのトップ・カテゴリーが開催されることになったのは、CARTでもお馴染みだったベル・アイルのコース。まるで、レースを歓迎するかのように初日は抜けるような青空が広がっていた。朝のうち肌寒さがあったものの、日が高くなるにつれて気温が上昇。最高気温は30度にまで達し、若干蒸し暑くなった。島へ通じる橋を渡ると見覚えのある光景に懐かしさを感じ、当時と変らないメディア・センターを見るとさらに懐かしさが強まった。とはいえ、今回のIRLの開催に向けて大幅な改修がされており、コンクリート・ウォールやフェンス、グランドスタンド、ホスピタリティ、歩道橋といった設備も一新されている。コース・レイアウトも最後に使われた2001年のものではなく、1997年まで使われていたテクニカルなレイアウトが採用された。撮影ポイントとなるフォト・ホールの位置は当時と異なっており、残念ながら記憶にある場所からの撮影が出来ず、新たなポイントを探すことに。デトロイトの初日は懐かしさと新しさが混在した。