<SUPER AGURI PANTHER RACING>
<2007 IPSインディ・プロ・シリーズ第13戦ケンタッキー100>
【日 程】8月10日〜8月11日
【開催地】ケンタッキー州スパータ
【コース】ケンタッキー・スピードウェイ
【距 離】1.5マイル(2.414km)×67周=100.5マイル(161.7km)
■■■8月10日予選■■■
【天 候】晴れ
【気 温】33℃
【時 間】17時00分〜(日本時間11日6時00分〜)
■■■8月11日決勝■■■
【天 候】晴れ
【気 温】28℃
【時 間】21時10分〜(日本時間12日10時10分〜)
<自信を持っていたイニシャルセッティング>
3週間で4レースというハードスケジュールを終えた2007年IPSインディ・プロ・シリーズは、1週間のインターバルを挟んで再び戦いの火蓋が気って落とされる。舞台となるのは、2003年以来、毎年IPSが開催されている1周1.5マイルのケンタッキー・スピードウェイだ。初日に2回のプラクティス走行と予選が予定され、決勝はIRLインディ・レーシング・リーグのレース後、夜9時過ぎからIPS史上初めてナイトレースとして行われる。
武藤英紀とスーパーアグリ・パンサー・レーシングは先月、このコースでIRLインディカーで初のオーバル走行を行っていた。今シーズンからIPSに参戦している武藤にとっては、クルマこそ違ったものの一度走行を行ったトラックであることから、最初にコースを覚えるという作業をする必要がなく、限られた走行時間をマシンのセットアップにのみ集中することができた。また、チームクルーにとってもテストを通じてトラックの最新走行データが取れたため、マシンのイニシャルセッティングには通常のラウンド以上に自信を持っていた。そういったチーム全体の自信が、初日の走り始めからいきなり結果となって表れることになった。
<2回目のポールポジションを獲得>
午前と午後にそれぞれ行われた2回のプラクティス走行ともに武藤はトップ
タイムをマークする最高の滑り出しを見せた。クルマは走り出しの1周目から
バランスが良く、後は微調整を加えるだけでタイムはぐんぐん上昇。結局、2
回のプラクティスで合計58周を走行し、1回目にマークした27秒8245がこの日
の総合最速ラップとして記録された。迎えた予選は、予定通り午後5時から行
われた。気温も日中とほどんど変わらず、武藤がトップタイムをマークした
プラクティス走行時と同じようなコンディションとなっていた。武藤は全体
で2番目にコースインし、アタックラップ2周目に同コースのトラックレコー
ドを更新する27秒8551をたたき出した。その後ライバル勢が果敢にアタック
を試みるも誰も武藤のタイムを破ることはできず、初優勝を飾った第6戦イン
ディアナポリスのロードコース以来となる今シーズン2回目のポールポジショ
ンを獲得した。北米のメジャーレースカテゴリーにおけるオーバルレースで
の予選ポールポジション獲得は、日本人ドライバーとしては史上初めてとい
う快挙だった。
<3ワイドの接戦を制する>
IRL第14戦のレース後、ようやく空が暗くなりだした夜9時過ぎにレースはスタート。武藤にとってもナイトレースは初めての経験だったが、グリーンフラッグの合図と共に最前列イン側から落ち着いて55号車を加速させトップをキープしたまま1ターンに突入していき最高のスタートを切った。2周目に、2番手に浮上したマシンにスタート/フィニッシュライン寸前でわずかにかわされたたものの、その直後に抜き返すと、その後は一度もトップを明け渡さない完璧な走りを見せた。レースは40周目に、数台が巻き込まれる多重クラッシュが発生し、レースのおよそ1/3にもなる22周もフルコースコーションとなる予想外の展開となったが、残り5周となった最後のリスタートでもトップを死守。最終ラップには後続の2台が武藤の外から襲い掛かり、3ワイドで最終ターンに進入する大接戦となったが、武藤はこの反撃を0.1023秒差振り切りチェッカー。13戦目にして初めてオーバルレースで優勝を飾った。チェッカー後は、スタート/フィニッシュライン上でドーナツターンを披露。ビクトリーレーンで高々と優勝トロフィーを掲げた。
■■■コメント■■■
<武藤英紀>
「オーバルで勝ててすごく自信になった」
「オーバルレースでポールポジションと優勝をいっぺんに達成できて本当にうれしいです。IPSのオーバルレースのレベルは本当に高いと思いますし、来年を見据えてもここでオーバルを勝ててすごく自信になりました。エンジニアのブレアが今回のクルマにすごく自信があったので、僕はその言葉を信じて落ち着いて走っただけです。
前日の予選は、アタックラップはすごく手応えがあったので越されることはないと思っていたのですが、でも待っている間はすごく不安でした。気持ち的には初めてポールを取った第6戦の時の方がうれしかったですが、今回はオーバルで取れたということで自分にとってすごく自信になりましたし、今後に繋がる結果になったと思います。
決勝はナイトレースでしたので、ダウンフォースが増えるという想定でドラッグを削る方向でクルマを作っていきました。スタートしてからはターン3からターン4にかけてはプッシュが強かったですが、レース中にアジャストをしたらいい状態になり、ラップタイムも上がっていきました。
スタートからトップを守れたのは良かったですが、1回目のリスタートではちょっと後ろにスペースを作りすぎてしまって、抜かれたと思いました。でも、何とか抑えることができたのは、レースの上ですごく大きかった。逆に、一度前に出られたら抜き返すのはすごく難しかったと思います。内側のラインをキープしないといけないことはわかっていたのですが、ハンドルを多く切らないといけないですし、車速も多少鈍りますから非常に難しかったです。チェッカーを受けたときはエンジニアのブレアが無線で興奮しているのを聞いて僕もすごく感動しましたし、チームがひとつになったんだと思いました。この調子で、今後もさらに優勝を重ねていきたいと思っています」
<ブレア・チューバッカー:クルーチーフ>
「ルーキーシーズンでオーバルレースを勝つことは非常に難しく、
素晴らしい優勝だ」
「ヒデキがトップでチェッカーを受けたときは本当に素晴らしい気分だった。今年中にオーバルレースで勝つことが我々の目標のひとつだったが、それを達成できて本当にうれしい。ヒデキが才能あふれるドライバーであることはわかっていたが、経験のまったくなかったオーバルレースでは苦しんでいた。オーバルレースは簡単だという人がいるが、そんなことは決してなく、優勝することは大変なことだ。開幕戦ホームステッドで初めてオーバルレースを経験して以来、ヒデキはオーバルで勝つために本当にたくさんのことを学んできた。その努力が実を結んだのだ。オーバルレースの経験のないドライバーがルーキーシーズンでオーバルレースを勝つことは非常に難しく、それを達成したヒデキはたいしたヤツだと思う。本当に素晴らしい優勝だ。
先月ヒデキはここでインディカーを初ドライブしたのだが、クルマは違えどレース前にトラックを走れたのは非常に大きかった。また、ナイトレースはIPS史上初めてだったのでクルマのセットアップはいつもと勝手は違っていたが、いろいろな情報をもとにダウンフォースレベルをどれくらいにするかなどを考えて取り組んだ。結果的にうまくいったと思う。レースは2台が後ろにつく展開だったが、ヒデキはまるで“オーバル経験豊富なドライバー”のように落ち着いて対処してくれた。通常、オーバルでは後ろにつく方がスピードは上がるものだが、2台となるとさらに速くなりヒデキにとっては決して理想的な状況ではなかった。しかし、最後までイン側のラインを守り切り反撃させず、素晴らしい走りだった」
■■■予選結果■■■
1.5マイル(2.414km) 出走20台
順位 No. ドライバー タイム 平均速度mph(km/h)
1位 55 武藤英紀 27.8551 191.276(307.763)
2位 7 A.ロイド 27.9305 190.759(306.931)
3位 27 W.カニンガム 28.1033 189.586(305.044)
4位 23 L.ゴメス 28.1658 189.166(304.368)
5位 57 L.ミュンター 28.1979 188.950(304.021)
■■■決勝結果■■■
1.5マイル(2.414km)×67周=100.5マイル 出走20台
順位 No. ドライバー 周回数 タイム差
1位 55 武藤英紀 67 54’01.6259
2位 7 A.ロイド 67 +0.1023
3位 27 W.カニンガム 67 +0.1567
4位 9 C.フェスタ 67 +0.4246
5位 11 J.カマラ 67 +0.5673
※全車、シャシーはダラーラ、タイヤはファイアストン
■■■ポイントスタンディング■■■
順位 No. ドライバー ポイント ビハインド
1位 7 A.ロイド 548 リーダー
2位 55 武藤英紀 450 -98
3位 27 W.カニンガム 377 -171
4位 1 B.ウィルソン 332 -216
5位 11 J.カマラ 320 -228