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チャンプ・カー・ワールド・シリーズ 第10戦 ロード・アメリカ[決勝日]フォト&レポート

<US-RACING>

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第10戦ロード・アメリカはセバスチャン・ブルデイのためのレースとなった。予選から圧倒的な速さでライバルを突き放してきた3年連続チャンピオンのブルデイ。今日もスタートを無難に決めてトップを堅持する。12周目にはタイトルを争うロバート・ドーンボスに追い詰められる場面もあったが、1回目のピット・ストップを終えたあとは、2番手以下に5秒近くのマージンを常に保ち続けた。レースを完全にコントロール下においていたブルデイは、レース終盤の53周目に1分44秒346のファステストラップまで記録。最後は2位まで追い上げたダン・クラークを9.752秒引き離し、今シーズン5勝目のトップ・チェッカーを受けた。今週末、ブルデイは獲得可能なすべてのポイントを独り占めしただけでなく、これまで2回以上チャンプ・カーのレースで走ったコースをすべて制覇する偉業も達成。タイトルを争うドーンボスとパワーがそれぞれ14位と16位に沈んだため、チャンピオンシップのリードを今シーズン最大となる37点まで広げた。2008年、トロ・ロッソからF1デビューが決まったブルデイは、前人未到の4連覇に向けてさらに勢いを増していきそうだ。

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「今シーズンのベスト・レースといえるね。マシンは最初から最後まですばらしかったよ。若干の変更を加えたことでドライビングが難しくなったようだけど、マシンはさらに速くなったんだ。金曜日と土曜日の予選ラップも最高だったし、今日も独走だったね。チームはとても貪欲だった。スタートは上手くいったけど、最初のスティントはアンダーステアと戦っていた。それから第2スティントの中間まではかなり滑りやすかったね。レッド・タイヤでのバランスがかなり難しく、ほんとうに苦戦したよ。ブラック・タイヤに替えてからは普通に戻り、プッシュしながらも燃料をセーブ出てきたんだ。そこからはとてもスムーズなドライブだったね。チームとして最高の勝利だよ」と上機嫌のブルデイ。会心の勝利に表彰台では珍しく飛び上がって喜んでいた。

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昨年のポール・ウイナーであるダン・クラークは、序盤から果敢にオーバーテイクをしかけ、8番手から2位表彰台を獲得した。この週末、どのドライバーもレッド・タイヤを装着した際のバランスに苦しみ、レースではどの場面でレッド・タイヤを消化するかが大きな課題となっていた。最初のスティントでレッド・タイヤを使いきってしまう戦略は全車一致していたものの、そんななかクラークとミナルディ・チームUSA陣営は、1周目に起こったこの日唯一のコーションを利用してクラークをピットへ呼び戻し、早々にブラック・タイヤへの交換を決断。これで12番手まで後退するが、レッド・タイヤでペースが上がらないマシンを次々に抜き去り、14周目には4位まで順位を上げていた。さらにハイペースで飛ばすクラークはコース上でチームメイトのロバート・ドーンボスを抜き、最後のピット・ストップではグラハム・レイホールをも逆転。さすがにセバスチャン・ブルデイを追い詰めるまでに至らなかったが、すばらしいオーバーテイク・ショーで2位フィニッシュを掴み取った。「2位でフィニッシュできてほんとうに嬉しいよ。キャリア・ベストなんだからね。ロード・アメリカはドライバーにとって最高のレーシング・サーキットだから、こんな素晴らしいコースで良いレースができて良かったよ」と大喜びのクラーク。“スピーディ・ダン”の完全復活をアピールした。

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18歳のルーキー、グラハム・レイホールはチームメイトであるセバスチャン・ブルデイの活躍に引っ張られるようにして、今シーズン3回目の表彰台を獲得した。初日こそマシン・バランスに苦しんでいたようが、2日目からは本来のスピードを取り戻し、決勝のペースも終始一貫していたレイホール。4番手スタートから一時はブルデイを上回るペースで走ることもあり、初優勝が期待されたものの、レース巧者の3年連続チャンピオンを追い上げるには、もう一押し足りなかった。最後のピット・ストップではミナルディ・チームUSAの術中にはまって2番手を逸してしまうが、最後までペースを乱すことなく3位でフィニッシュした。「チームにとってすごく良い一日だったよ。確かに今日はペースが速かったし、もし最後のスティントで燃料をセーブしなければ、もっと良いところでフィニッシュできたかもしれないね。セバスチャンに追いつけたかどうかは分からないけど、絶対にダンと戦えたと思う。このチームはどんどん進歩しているから、シーズンの後半はさらに良い結果を残せると確信しているよ」と語るレイホール。念願の初優勝の日も近そうだ。

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セバスチャン・ブルデイとタイトルを激しく争うロバート・ドーンボスは14位に終わった。スタートでウィル・パワーを出し抜き、2番手にポジションを上げたドーンボス。1回目のピット・ストップまでブルデイと接近戦を繰り広げるが、ピット・ストップを終えたあとはブルデイのペースについていけず、逆に24周目のターン3でグラハム・レイホールのパスを許すことになる。さらに次の周のターン5でチームメイトのダン・クラークにまでかわされてしまうのだが、ここでドーンボスは大きなミスを犯した。クラークからポジションを取り戻そうとインサイドへ飛び込もうとしたとき、あろうことかクラークの左リア・タイヤに追突。ノーズにダメージを受けてランオフ・エリアに突っ込んでしまった。何とかコース上に戻ったものの、ロード・アメリカはコース全長が長いため、ピットに戻ってきたときには途方もないタイム・ロスを喫したあとだった。挽回を狙ってレースに復帰するが、時すでに遅し。結局、成す術なく14位でフィニッシュした。一方、ランキング3位のパワーはスタートで大きく出遅れると、25周目にメカニカル・トラブルでピット・イン。そのままレースを終えることになった。ブルデイを追いかけるはずの二人が下位に沈み、タイトル争いは大きくブルデイ優位に傾きつつある。

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朝から快晴となったロード・アメリカ。昨日のアメリカン・ル・マンのレースでは雨が降ったものの、今日は一日中晴れていた。最高気温は29度に達し、時折雲が日差しを遮ってくれるのだが、それでも蒸し暑かった。写真はスタートを写したもの。抜群のスタート・ダッシュを決めたブルデイのあとを、ドーンボスが追いかける。5番手から一気にグラハム・レイホールに並びかける白赤のマシンのブルーノ・ジュンケイラは、ジャンプスタートの裁定が下り、ペナルティを受けて9位に終わった。今シーズン厳しい戦いを強いられてきたブルデイだが、会心のレース運びで今シーズン5勝目を記録。レース・ウィーク前には念願のF1レギュラーを手に入れたこともあって、今週は終始上機嫌だった。

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今年から行われているスーパーバイク選手権に合わせ、ロード・アメリカは施設改修が行われた。インフィールドへのアクセスを改善するためにターン13と14の間にトンネルが造られ、かわりに今までコース横断に使われていたビル・ミッチェル・ブリッジを撤去。ロード・アメリカに来ると必ず行く撮影ポイントだっただけに、現場を訪れたときは唖然としてしまった。写真は昨年まで橋が掛かっていた場所だが、抜けるような空が撮れるだけで、少し殺風景になったような感じがする。これまで橋の上からは木々に囲まれたサンダー・ヴァリーの緩やかなS字コーナーを駆け上がるチャンプ・カーを撮影でき、ロード・アメリカを象徴するワンシーンだっただけに少し残念だった。アクセスが良くなったことは嬉しいのだが、橋が無くなったことを他のアメリカ人カメラマンも残念がっていた。ちなみに、橋が架かっていたコーナーはその名残で、ビル・ミッチェル・ベントと新たに命名されたそうだ。

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毎年恒例となったチーズ・ハットをかぶっての記念撮影。ロード・アメリカがあるウィスコンシン州は州出身の人がチーズ・ヘッドと呼ばれるほど、チーズが名産品として知られている。コースへ来る途中にもチーズ工場を見かけた。特に大きなスポンサーがついていると言うわけではないものの、地元の名産品をアピールするために4.5年前から始められ、今では恒例となっている。森に囲まれた美しいサーキットが特徴のロード・アメリカだが、スポンサーの帽子をかぶりかえるハットダンスでドライバーがチーズ・ハットをかぶると、改めてロード・アメリカへ来たことを実感する瞬間だ。