<Honda>
■■■2007年4月1日(日)・決勝■■■
開催地:フロリダ州セント・ピーターズバーグ
会場:セント・ピーターズバーグ特設コース(全長:1.8マイル)
天候:快晴
気温:27℃
オーバルコースは、グランドスタンドもインフィールドも視界をさえぎるものが少ないために開放的だが、タイトで曲がりくねったストリートコースは景色が対照的で、幅が広いとはいえないコースは両側をコンクリートの壁とフェンスで覆われ、エンジンの排気音を反響させる。スピードはオーバルより低いが、ストリートレースのスピード感はオーバルとはまた別の意味で極めて高いものとなる。今年で3回目を迎えたHondaグランプリ・オブ・セント・ピーターズバーグには、空気を震わせながらブラインドコーナーへとアクセル全開で飛び込んでいくインディカーのバトルを見ようと、多くのファンが集まった。
サーキットはメキシコ湾沿いの町の小さな飛行場、ダウンタウンの生活道路、そして公園内の道路を組み合わせたもので、全長は1.8マイル。14のコーナーを持つ、とてもテクニカルなレイアウトとされている。また、路面もアスファルトとコンクリートがつなぎ合わされたもので、ドライバーたちにとってマシンセッティングが非常に難しいコースとなっている。
午後2時45分、真っ青な空と強い日差しの下、18台のインディカーが3.5リッターV8エンジンのエキゾースト・サウンドを轟かせ、100周のレースへとスタートしていった。
今年からIndyCarシリーズのエンジンの燃料は100%エタノールへと変更され、それに合わせて排気量は3リッターから3.5リッターへと拡大されている。高度なドライビングテクニックが要求されるコンクリートウオールとフェンスに囲まれたストリートレースで、昨年よりスピードが高く、さらにエキサイティングなバトルが実現されたのは、2007年仕様のHonda Indy V-8がドライバーたちに幅の広がったパワーバンドを提供し、マシンを乗りやすいものとしているからだ。
ストリートコースならではのオーバーテイクの難しいコースでの接近戦では、ポールポジションからスタートしたエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がリードを続け、最後はスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)との一騎打ちとなった。逃げるカストロネベスはミスのない完ぺきなレースを戦い抜き、0.6007秒という僅差ながらディクソンを下し、セント・ピーターズバーグでの2年連続優勝を飾った。3位には、1周目のアクシデントで後方集団まで後退したものの、凄まじい追い上げを見せたトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が入った。
松浦孝亮(スーパーアグリ・パンサー・レーシング)は予選10番手からスタート。決勝日朝のウオームアップでマシンの状態がよいことが確認されていたが、1周目のターン4でジェフ・シモンズ(レイホール・レターマン・レーシング)にリアから激しくヒットされた。ウイングとサスペンションのリペアを終えてコースに戻った松浦だったが、リタイアするマシンが少なかったために17位でゴールすることとなった。
Indy Proシリーズは昨日に続いて40ラップの第3戦が行われ、武藤英紀(スーパーアグリ・パンサー・レーシング)は5番グリッドからスタート。終始トップグループを走り、ひとつポジションアップの4位でゴールした。マイアミ郊外で行われた開幕戦で3位、セント・ピーターズバーグでの第2、第3戦では2位、4位でフィニッシュした武藤は、ルーキーながらランキング2位につけている。
■■■コメント■■■
エリオ・カストロネベス(優勝)
「タイヤが温まるまで、あるいは新品のときのドライビングは少し難しかったが、それ以外では安定したペースで走り続けることができていた。レース終盤はスコット・ディクソンが激しくチャージしてきた。そして、自分の2速と3速のギアが擦り減ってきた感触があったため、注意深くシフトしてマシンをいたわり、ミスを犯さないよう集中して走った。チームのハードワークが報われ、優勝することができたと思う」
スコット・ディクソン(2位)
「開幕から2戦連続で2位フィニッシュ。これで僕らターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングがポイントリーダーとなった。今日の僕らのマシンはトラフィックでアンダーステアが強かった。そして、エリオ・カストロネベスは見事なレースを戦い、我々を打ち負かした。ひとつのミスもなく、クリーンなレースを戦えたのだから、我々としては決して悪くない週末にできたと思う」
トニー・カナーン(3位)
「昨日の予選でアクシデントを起こし、スターティング・グリッドが6番手となったことがよくないことの始まりだった。今日のマシンはこれまでで最高の仕上がりになっていた。それだけに1周目のアクシデントは本当に悔やまれる。こんなことを言うのは嫌いだが、今日の僕らのマシンには優勝するだけの力があった。次のレースに全力を傾けるよ」
松浦孝亮(17位)
「1ラップ目に後ろからヒットされてしまいました。クルーたちがダメージを受けたマシンを短時間で直してくれたので、彼らのそのがんばりに応えるためにも早いラップタイムで走り続けようと考え、実際にトップグループと変わらないタイムで走ることができました。また1ステップ、チームとの信頼関係を深めることができたので、次のレースとなるツインリンクもてぎでは、これまで以上にがんばりたいと思います」
ロバート・クラーク
HPD社長
「まだ正確な数字を聞いてはいませんが、観客席やパドックを見ていた限り、今年のHondaグランプリ・オブ・セント・ピーターズバーグは新記録となる観客動員だったと思われます。ストリートレースは独特の華々しい雰囲気を持つもので、集まってくれた人々はIndyCarシリーズのエキサイティングなレースを堪能してくれたものと思います。滑りやすい路面、壁に囲まれたコースでのレースは難しいもので、アクシデントが起こることも避けられない面がありますが、IndyCarシリーズのドライバーたちはそうしたレースを得意としており、激しい戦いを見せてくれました。バンピーな路面、高い気温などエンジンにとっては厳しい環境となっていましたが、我々のHonda Indy V-8はレースウイークエンドを通して、ひとつのトラブルを出すこともありませんでした」
■■■決勝リザルト■■■
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順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム/差
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1 3 エリオ・カストロネベス Team Penske D/H/F -
2 9 スコット・ディクソン Target Chip Ganassi Racing D/H/F +0.6007
3 11 トニー・カナーン Andretti Green Racing D/H/F +7.9130
4 26 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing D/H/F +13.5090
5 27 ダリオ・フランキッティ Andretti Green Racing D/H/F +14.5935
6 2 トーマス・シェクター Vision Racing D/H/F +25.3109
7 6 サム・ホーニッシュJr. Team Penske D/H/F +27.0722
8 7 ダニカ・パトリック Andretti Green Racing D/H/F +28.0378
9 10 ダン・ウェルドン Target Chip Ganassi Racing D/H/F +34.3899
10 15 バディ・ライス Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +46.9180
11 8 スコット・シャープ Rahal Letterman Racing D/H/F +48.0980
12 14 ダレン・マニング A.J. Foyt Enterprises D/H/F +1Lap
13 22 A.J.フォイト4世 Vision Racing D/H/F +2Laps
14 17 ジェフ・シモンズ Rahal Letterman Racing D/H/F +3Laps
15 5 サラ・フィッシャー Dreyer & Reinbold Racing D/H/F +41.8785
16 4 ヴィットール・メイラ Delphi Panther Racing D/H/F +4Laps
17 55 松浦孝亮 Super Aguri Panther Racing D/H/F +17Laps
18 20 エド・カーペンター Vision Racing D/H/F +55Laps
■■■ポイントランキング■■■
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順位 ドライバー チーム 総合ポイント
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1 スコット・ディクソン Target Chip Ganassi Racing 80
2 ダン・ウェルドン Target Chip Ganassi Racing 75
3 エリオ・カストロネベス Team Penske 75
4 トニー・カナーン Andretti Green Racing 65
5 サム・ホーニッシュJr. Team Penske 61
6 ダリオ・フランキッティ Andretti Green Racing 56
7 トーマス・シェクター Vision Racing 52
8 ヴィットール・メイラ Delphi Panther Racing 46
9 マルコ・アンドレッティ Andretti Green Racing 44
10 ダニカ・パトリック Andretti Green Racing 40