INDY CAR

最終ラップの大逆転でダン・ウェルドンが2年連続で開幕戦を制す

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<Honda>
2006年3月26日(日)決勝
会場:ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ・オーバルコース(全長1.5マイル) 天候:快晴 気温:21℃
 年間14戦で争われる2006年IRL IndyCarシリーズが、フロリダ州マイアミ郊外のホームステッド・マイアミ・スピードウェイで開幕した。

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 全長1.5マイル、最大20度のバンクを持つスピードウェイを200周する300マイル・レースは、IRL IndyCarシリーズ史上初めてハイブリッド車(Hondaアコード・ハイブリッド)がペースカーを務め、午後3時45分過ぎにスタート。今シーズン初の勝利を挙げたのはダン・ウェルドン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング/ダラーラ)だった。

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 6番グリッドからスタートしたウェルドンは、スタート直後に3位まで一気にポジションアップ。その後もトップグループで戦い続けた。レースが激しくなったのは、ゴールまで20周を切ってからだった。ウェルドンはトップを走るエリオ・カストロネベス(マールボロ・チーム・ペンスキー/ダラーラ)へと急接近し、サイド・バイ・サイドの戦いを挑んだ。3位争いもダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)、サム・ホーニッシュJr.(マールボロ・チーム・ペンスキー/ダラーラ)、スコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング/ダラーラ)の間で激しく争われた。

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 優勝を懸けた一騎打ちは、一旦2位へと下がったウェルドンが最終ラップでの逆転に成功した。バックストレッチでアウトからカストロネベスに並びかけ、ターン4からフィニッシュ・ラインまでの加速でカストロネベスに勝り、0.0147秒というIRL IndyCarシリーズ史上9番目の僅差で優勝をもぎ取った。3位争いはホーニッシュJr.が制し、4位はフランキッティ、ディクソンが5位となった。

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 予選14位だった松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/ダラーラ)は、序盤にハンドリングで苦しんだためにトップグループで戦うことはできなかったが、給油タイミングをずらす作戦と、終盤にペースアップを実現したことによって、トップとは2周差ではあったが、6位フィニッシュという幸先の良いシーズンスタートを切った。
 本日の午前中に行われたウォームアップ・セッションにおいて、2台のマシンによる事故が発生し、レイホール・レターマン・レーシングに所属するポール・ダナ(アメリカ・ミズーリ州セント・ルイス出身)が搬送先の病院で東部時間の正午前に逝去されました。
 同じ事故で病院に搬送されたエド・カーペンター(ヴィジョン・レーシング/ダラーラ)は、意識もあり、容態も安定しているとIRLより発表されております。
 この事故を受け、ダナのチームメイトであるバディ・ライスとダニカ・パトリックは今回のレースを棄権いたしました。
 Honda関係者一同、心よりご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご遺族へお悔やみ申し上げます。
コメント
■ダン・ウェルドン(優勝)
「今日はとても悲しい1日となってしまったが、我々は素晴らしいレースをファンに見せることができた。IRL IndyCarシリーズは世界で最も競争の激しいチャンピオンシップだ。最後の何周かは、これこそがIndyCarレースという戦いとなっていた。すべてのドライバー同士がライバルを尊敬し合って戦っていることは、我々の接近戦に表れていた通りだ。エリオ・カストロネベスはフェアに戦ってくれた。私に対してギリギリの、しかし充分なスペースを与えてくれていた」
■エリオ・カストロネベス(2位)
「2004年にチームメイトのサム・ホーニッシュJr.との一騎打ちを戦った時、彼はイン側のラインを保って勝った。アウトからのパスは不可能と考えていたが、今日のダン・ウェルドンは物凄い走りで僕を打ち負かした。終盤のダンとの接近戦では、お互いのタイヤとタイヤの間に髪の毛1本入る隙間もなかった。彼の戦い方は素晴らしく、私も持っている力を全て発揮した。今シーズンは、今回の彼のような優勝を私も何回か飾りたい」
■サム・ホーニッシュJr.(3位)
「序盤からレースをリードできたが、最後のピット・タイミングが悪く、ポジションを落としてしまった。レース終盤にあと一歩というところまで行くことはできたが、優勝争いにからんで行くまでのマシンにはなっていなかった。今回レースで初めて使ったHondaエンジンは、素晴らしいものだった。今シーズンの今後のレースがとても楽しみになった。今年の我々は何度もビクトリー・レーンを訪れることができると思う」
■松浦孝亮(6位)
「開幕戦での6位は、リザルトとしては良かったと思います。トラフィック内で速く走れるクルマを作るという点では、今年から僕らはダラーラにシャシーをスイッチしているため、データが不十分で、スタート前には不安な面がありました。実際にレース序盤のハンドリングが悪く、周回遅れに陥ってしまいましたが、スピードで勝負できない時には作戦で勝負するというIndyCarならではの戦いができました。それはチームとしての進歩があったからだと思います。終盤にはトップグループと同じペースで走ることもできていました。第2戦のセント・ピーターズバーグもがんばります」
■ロバート・クラーク:HPD社長
「Hondaを代表して、ポール・ダナの冥福を祈りたいと思います。ポールの家族と友達にはお悔やみを申し上げます。ポールはレースというスポーツに対して大きな情熱を持っており、温和な性格でレース界のみんなが彼の友人となっていました。彼はIndyCarドライバーになるという長年の夢を才能と献身によって実現しており、そのことが我々全員の心に残っています。私たちは彼のことを忘れません。
 今回のレースでは、プラクティスと予選まではエンジンにトラブルがなく、予選ではエンジンの性能が我々の考えている通りにまったくイコールであることが、全ドライバーのラップタイムが接近していることによって証明されました。残念ながら、レースではヴィットール・メイラ選手のもの1台だけにトラブルが発生してしまいました。これからファクトリーに帰り、その原因を解明し、対策を施します。今回のエンジンは、火曜日にホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行なわれるロードコース・テストで引き続き各チームが使用し、セント・ピーターズバーグで来週行なわれる第2戦Hondaグランプリ・オブ・セント・ピーターズバーグで今シーズン2基目のエンジンを全チームに供給します」