INDY CAR

決勝用セッティングに集中し、今年初めての予選順位は14位に。3回目のプラクティスでダラーラ・シャシーへの習熟度をさらに高める

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2006 IRLインディカー・シリーズ開幕戦「トヨタ・インディ300」
日程:3月24〜26日/開催地:フロリダ州マイアミ
コース:ホームステッド・マイアミ・スピードウェイ/距離:1.5マイル(2.414km)
■■■3月25日予選■■■
天候:晴れ 気温:21℃ 時間:14:45〜(日本時間:26日4:45〜)
<突然のプラクティス時間短縮>—————————————-
 開幕戦の走行2日目は、午前中にプラクティスが1回、そして予選が午後に予定されていた。プラクティスは出場全車による1時間のグループセッションとスケジュールされていたが、今朝になって主催者のIRLは、予選のアタック順の早い/遅いでグループを二つ分け、それぞれに30分の走行時間を与える形に変更すると発表した。スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングは、1時間のセッションの4分の3を決勝用、残る4分の1を予選用セッティングに充てる計画を立て、エンジニアたちは入念にプログラムを組み立てていたが、時間短縮によって方針の変更を迫られた。
<決勝用セッティングをさらに推し進める>——————————
 今年からダラーラへとスイッチしたスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングとしては、チームもドライバーも、ダラーラシャシーに対する習熟度を少しでも上げてレースを迎えたい。そこで、予選用セッティングに充てる時間を削り、予選日の今日も決勝用のマシンセッティングをさらに推し進めることにした。走行初日の時点でレースに向けてのマシンの仕上がり具合はかなり良いものにできていたが、まだ試してみたいセッティングが幾つか残されていたからだ。松浦はこのセッションで28ラップを走行。昨日の自己ベストを上回る24秒9392を記録した。
<今年最初の予選アタック>——————————————–
 朝9時には寒いと感じられるほど気温の低かったホームステッドだが、正午にはフロリダならではの暑さに変わっていた。予選日からサーキットに足を運んでいるファンにとっては、強い日差しは大歓迎。しかし、予選を走る側にとってみれば、午前中のプラクティスと午後の予選でコンディションが大きく変わることを意味しており、路面温度の上昇や、風向きや風の強さに合わせたマシンのファインチューニングが必要となる。アタックに入るギリギリのタイミングまでコンディションのチェックを行い、ライバル勢の走りも見ることでマシンのセッティングは決定された。
 松浦のアタック順は12番目。彼はカーナンバー55をまとうパナソニックARTA/ダラーラ・Hondaをピットロードからスタートさせると、慎重に、しかしタイヤ温度が性能を発揮するレベルまで上がるようウォーミングアップラップを走った。そしてスピードが十分に乗ったところでグリーンフラッグを受けた。松浦が記録した予選タイムは、24秒8432。今週末のベストラップを予選で記録することとなった。ポールポジションは24秒4625をマークしたサム・ホーニッシュJr.(チーム・ペンスキー)が獲得している。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
「やれるだけのことはやった。明日の決勝はトップ6を目指す」
「予選では、自分たちのやれるだけのことはやったと思います。タイムは決して速くないんですが、決勝用のセッティングがずっと良い感じできているので、レースを楽しみにしています。予選で出した24秒8は、僕としては考えていたものよりも良かったです。エンジニアが頑張って、いい仕事をしてくれました。予選用のセッティングは午前中のプラクティスで少しやっただけでしたから、自分たちの持っているノウハウだけで予選用のセッティングは考え出したんです。エンジニア、そしてチームと自分とのコミュニケーションが非常に良く取れているからこその結果だと思います。
 自分より前のグリッドを獲得したドライバーたちの中には、予選は良いだろうけれど、パノスを使っているところなど、決勝では必ずポジションが下がってくると思われる人たちが何人かいます。ダラーラを使用するドライバーでも、決勝でのハンドリングが僕らほど良くはないところが5台ぐらいは出てくるはずです。そうしたドライバーたちをうまくクリアして、そこからが勝負。明日はそういうレースになると考えています。僕らのチームは昨シーズンまででも、予選より決勝を得意としていますから。
 ダラーラに換えてから、僕らはまだそんなに多くの距離を走れてはいません。それでも、開幕戦の決勝に向け、自分たちの思っている通りのマシンを作ることができています。まだデータが少ない部分は不利なんですが、頑張って戦っていきたいと思います。トップ6に入りたい。それは実現可能だと考えてます。チーム・ペンスキーがひとつ頭抜けた速さで、チップ・ガナッシ・レーシングも速いですけど、その次を争っているのがアンドレッティ・グリーン・レーシングと自分たちだと思っています」
<サイモン・ホジソン:チーム・マネージャー>
「決勝の展開を予想することは難しいが、コウスケも我々も自信を持っている」
「自分たちよりも先に予選アタックを行なったドライバーたちを見ていたが、プラクティスタイムよりもコンマ1.5秒から2秒速いタイムを予選では出せていた。我々もほぼ同じだけのタイム向上ができるものと考えていたので、もう少し速いタイムは出せると期待していた。予選でのパナソニックARTA/ダラーラ・Hondaは、ターン1とターン2側では非常に良いハンドリングとなっていたのだが、ターン3とターン4側でアンダーステアが出ていた。予選アタックは2周しかないため、その間にバランス取りを行なうのは難しい。コウスケはウェイト・ジャッカーを操作してアタック2周目を走った。
 予選順位は14位と、決して良いものではなかった。しかし、我々は今週ずっと決勝用セッティングに重点を置いてきている。今年からダラーラを使っている我々には、まだ豊富なデータがないためだ。昨日と今日の3回のプラクティス、そして初めて行なった予選で、我々はとても多くの有益なデータを集めることができた。ドライバーもエンジニアも目覚しいスピードでダラーラをマスターしてきている。
 コウスケも自信を持っている。明日のレースは今シーズン最初のもので、どんな展開になるのかを予測するのは難しい。我々としては、まず第一にゴールまで走り切ることを目標としている。さらに多くのデータを実戦を通して集めることができるからだ。全員が同じHondaエンジンを使うこととなった今年は、ダウンフォースを減らすことのできる新しい空力ルールによって、走行中のマシン同士の距離が若干広がるかもしれないが、昨年までよりも激しいレースが繰り広げられることになるだろう。トラブルフリーで走り切ることができれば、我々はトップ6でフィニッシュができる。パナソニックARTA/ダラーラ・Hondaは、それぐらい仕上がっていると考えている」
■■■予選結果■■■
1.5マイル(2.414km) 出走20台
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順位 No. ドライバー   マシン  タイム  平均速度mph(km/h)
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1位  6 S.ホーニッシュJr.  D   24.4625  218.539 (351.629)
2位  3 H.カストロネベス   D   24.5131  218.087 (350.902)
3位 16 D.パトリック     P   24.6589  216.798 (348.828)
4位  9 S.ディクソン     D   24.6622  216.769 (348.781)
5位 11 T.カナーン      D   24.7296  216.178 (347.830)
14位 55 松浦孝亮       D   24.8432  215.190 (346.241)
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※D=ダラーラ、P=パノス、エンジンは全車ホンダ、タイヤは全車ファイアストン