<US-RACING>
パトリック人気で10万人以上が訪れたテキサス。インディ500以外で最高の観客動員を記録した土曜の夜、レースは午後7時50分過ぎにグリーンとなった。ポールからスタートしたシェクターはピットのたびに順位を落とすも、最速のマシンで何度もトップに躍進。計6人のドライバーによって17回もトップが入れ替わったレースを制し、2002年の初優勝以来となる2勝目をマークした。昨年1勝もできずに、撤退を発表していたシボレーにとっても久しぶりの勝利だ。日本勢は昨日まで不調だった松浦が復活し、一時5位を走行する快走を見せて7位。一方の安川は中盤からアンダーステアが解消できなくなってしまい、15位でレースを終えた。
●Lap by Lapレポート
・レースは300マイル、1.5マイルのコースを200周する
・ピット・ロードの制限速度は60 mph
・ペースラップから3周したところでグリーン・フラッグが振られる。
・過去3回インディ500を制覇しているテキサス州フォートワース在住のジョニー・ラザ・フォードがシボレーSSRペースカーのステアリングを握る。
・燃料の使用制限は135ガロン
午後7時30分:気温は32度で湿度は45パーセント。天候は晴れで風速4.9メートルの南風が吹く。ファイアストンのエンジニアによると、コースの路面温度は38度。
7時45分:TVショー、“アメリカン・チョッパー”のポール・テュータル親子の掛け声で、22台のマシンがいっせいにエンジンを始動し、コースインする。
Lap 1:グリーン・フラッグ。シェクターがリードしてターン1へ。2位のエンゲとの差は0.1586秒。
Lap 5:シェクターがホーニッシュを0.0865秒差でリード。
Lap 7:フルコース・コーション。カイトが右回りに4分の1回転スピンしてターン2のSAFERバリアに激突。カイトはIRLセーフティ・チームの手をかりてマシンから脱出する。この時点での先頭はシェクターで、以下ホーニッシュ、エンゲ、ウェルドン、フランキッティの順位。
Lap 9:ピット・レポート:松浦、バロン、フォイトがタイヤ4本交換と燃料補給。カーパンティエは燃料補給のみ、シャープはタイヤ4本交換と燃料補給に加え、ウイングの調整も行う。
Lap 16:グリーン・フラッグ。シェクターがリードを保ったままターン1へ進入。ホーニッシュが0.0934秒差でこれを追う。
Lap 20:シェクターがホーニッシュに0.0882秒差でリードする。
Lap 26:フルコース・コーション。ピットレーンの出口付近でストールしたライスのマシンを撤去するため。順位はシェクター、ホーニッシュ、ウェルドン、カナーン、フランキッティの順。
Lap 28:トップ・グループがピット・イン。
ピット・レポート:タイヤ4本交換と燃料補給したのは、ホーニッシュ、カストロネベス、パトリック、メイラ、シェクター、マニング、ブリスコー、ディクソン、エンゲ、ウェルドン、ハータ、フランキッティ。
タイヤ4本交換と燃料補給、それにウイングを調整したのは安川、カーペンター、カーパンティエ。燃料補給のみがカナーン、バロン、ウェルドン。
ピットストップで一番速くコースへ復帰したのはカナーン。それをホーニッシュとウェルドンが追う。
Lap 32:グリーン・フラッグ。カナーンがトップでターン1へ。ホーニッシュがカナーンに並び、トップへ上がろうと試みるがパスまでには至らない。
Lap 35:カナーンがシェクターを0.1726秒リード。
Lap 40:カナーンがホーニッシュを0.1435秒リード。
Lap 44:シェクターがターン3でカナーンをパスしてトップに上がる。
Lap 47:フルコース・コーション。ターン1上で電気系トラブルが原因で停止したとみられるエンゲのマシンを撤去。
Lap 51:トップ・グループのうち何台かがピット・イン。カナーン、ハータ、フランキッティ等はピット・インせず。
ピット・レポート:ウェルドン、ホーニッシュは燃料補給のみ。 カストロネベスはタイヤ4本交換と燃料補給。
Lap 54:グリーン・;フラッグ。カナーンがトップでターン1へ。
Lap 60:カナーンがシェクターを0.1134秒リード。
Lap 64:フルコース・コーション。カーペンターがターン1のSAFERバリアに接触してマシン右側を破損。
Lap 66:トップ・グループがピットロードへ入る。タイヤ4本交換と燃料補給を行ったのはウェルドン、フランキッティ、ハータ、マニング、ディクソン、フォイト。ハータはマシン後部に問題があることをチームに伝える。バロンは燃料補給のみ。
Lap 70:ピット・レポート:ハータがピット・イン。燃料補給を行うと同時にマシンをチェックする。
メディカル情報:IRL専属のヘンリー・ボック医師によると、診察を受けたカイトとカーペンターはともに異常無しとの結果で、インフィールドのメディカルセンターからリリースされる。両名ともマシンをドライブすることに関して、特に問題なしとのこと。
Lap 72:シェクターがリードを保ってターン1へ。
Lap 76:シェクターがカストロネベスを0.0968秒リード。
Lap 80:シェクターがカストロネベスを0.0778秒リード。
Lap 86:シェクターがカストロネベスを0.0996秒リード。
リタイアしたライスのコメント:
「マシンの調子は非常に良かったので、様子を見ながら走行していた。そうしたら段々バイプレーションがひどくなってきたあと、ギアボックスに問題が発生してしまった。今の時点では何が原因か解らない。調子が良かっただけに、このようなメカニカルトラブルは残念だ。どうも今シーズンはこのゼッケン15番のマシンに不運が訪れるようだ。ケニー(ブラック)もインディでメカニカルトラブルに見舞われている。今回のレースでは、序盤様子を伺いながらチャンスを待ったが、その機会にめぐり合うことはできなかった」
リタイアしたカイトのコメント:
「何が起こったか良くわからない。トレーラーに戻ってデータを見てみるよ。レースウィークに入ってからレースまで、マシンの調子はずっと良かった。グリーン・フラッグから後退することなくポジションを上げることさえできたんだ。しかし何らかの理由で調子が悪くなってしまった。不可解だよ」
Lap 90:シェクターがカストロネベスを0.1158秒リード。
Lap 100:シェクターがカストロネベスを0.0737秒リード。
Lap 105:シェクターがカストロネベスを0.1127秒リード。
Lap 110:シェクターがカストロネベスを0.2553秒リード。
ピット・レポート:カストロネベスがタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 111:ピット・レポート:ホーニッシュがタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 112:ピット・レポート:カーパンティエがタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 113:ピット・レポート:松浦とディクソンがタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
シャープがタイヤ4本交換と燃料補給に加えて、ウィングの調整を行う。
Lap 115:シェクターがピット・イン。
ピット・レポート:タイヤ4本交換と燃料補給を行ったのはシェクター、メイラ、パトリック、安川。
Lap 117:リーダーのウェルドンがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 126:リーダーのカナーンとフランキッティがピット・イン、タイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 127:ハータがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 130:グリーン・フラッグ下でのピット・ストップ後、カナーンがカストロネベスを1.7759秒リード。順位はカナーン、カストロネベス、ホーニッシュ、シェクター、シャープのオーダー。
Lap 136:カナーンがカストロネベスを0.6545秒リード。
Lap 141:カストロネベスとホーニッシュがターン3でカナーンをパスして前に出る。カストロネベスがコントロールライン上で0.0853秒リードする。
Lap 145:カストロネベスがホーニッシュを0.0952秒リード。
Lap 148:シェクターがターン3でパスを仕掛けてトップに立つ。
Lap 150:シェクターがホーニッシュを0.0820秒リード。
Lap 155:シェクターがホーニッシュを0.0879秒リード。
Lap 160:シェクターがホーニッシュを0.0853秒リード。カストロネベスがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 163:ホーニッシュがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 165:シェクターがシャープを0.1402秒リードする。
Lap 167:パトリックと安川がピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 168:メイラ、松浦、バロン、カーパンティエ、ディクソンがタイヤ交換と燃料補給を行う。
Lap 169:シャープがタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 170:ブリスコーがピット・イン、燃料補給のみでピットアウト。
Lap 171:リーダーのシェクターがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 173:ウェルドンがピット・インしてタイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 178:リーダーのカナーンがピット・イン。タイヤ4本交換と燃料補給を行う。
Lap 180:ハータがカナーンに1周以上の差をつけてリードする。
Lap 183:リーダーのハータがピット・イン。燃料補給のみでピットアウト。
Lap 186:カナーンがシャープを0.0986秒リード。
Lap 190:カナーンがシェクターを0.0795秒差でリード。
Lap 191:シェクターがフロント・ストレートでパスを仕掛け、トップに立つ。コントロールライン上での2位との差は0.0759秒。
Lap 195:シェクターがホーニッシュを0.0642秒リード。
Lap 199:ホワイト・フラッグ。シェクターがホーニッシュを0.1290秒リード。
Lap 200:チェッカード・フラッグ。シェクターがBombardier Learjet 500Kにおいて、2位のホーニッシュに0.0534秒差で優勝する。
RACE NOTES:
· シェクターはインディカー2勝目。 優勝は2002年のミシガン以来。
· シェクターは今シーズン、ポール・トゥ・ウィンを飾った最初のドライバーとなる。
· 今回の優勝は、パンサー・レーシングにとって通算15勝目。これでパンサー・レーシングは、アンドレッティ・グリーン・レーシングに並び、シリーズ最多優勝記録でタイとなる。チームがシボレーに勝利をもたらしたのは、ホーニッシュがフォンタナで優勝した2003年以来。
· パンサー・レーシングにとって、テキサス・モータースピードウェイでの優勝は5度目で、チームとしてはこれまでタイだったケリー・レーシングを抜いて最多記録となった。
· ホーニッシュは今シーズン6戦中5戦でレース中にトップを走行。
· 優勝マージンは0.0543秒で、これはインディカー史上10番目の僅差となった。
優勝したシェクターのコメント:
「勝利をつかむまでは長い道程だった。時に自分の才能を疑いたくなるときもあったが、今日の優勝はチームにとっても最高の結果となった。サム(ホーニッシュ)が真後ろにつけていたことで、終盤はとてもナーバスだったよ。なにしろ彼はこれまで何度も接戦を制してきたからね。でも彼にも感謝しなくてはならないんだ。というのも終盤彼がプッシュしてくれたおかげで、スコット・シャープとトニー・カナーンをパスすることができたから。今週末はシボレー・エンジンのパワーにも助けられ、加えてサム・ホーニッシュのパワーも借りることができた。シボレーにとって大きな勝利であるとともに、スポンサーであるペンゾイルの地元で、価値有る勝利を挙げることができたことはとても良かった。まさに皆が待ち望んでいた最高の勝利だ。レース中のチームワークと、先頭集団の走りは素晴しかった。チームには、トップ5以内を走らせてくれる限り、最終的に優勝のチャンスはあると伝えたが、まさにそのとおりの展開となったね。後半もこの好調の波に乗って、勝利を重ねていきたい。シボレー・エンジンも、その性能の高さを実証することができた。今シーズンの彼らの仕事ぶりについては、本当に誇りに思う」
2位のホーニッシュのコメント:
「今夜は最高のレースだった。自分たちにとってはいま一歩パワーが足りなかったようだったので、無線で必ずゼッケン4番のマシンに食い下がると伝えたんだ。彼らが速いのは分かっていたからね。コース上では、パスをする際にアウトのほうから仕掛けるしかなく、とても困難な状態だった。誰かの助けがないとパスが難しかったから、先に行かせて自分はそれについて行くようにするしかなかったんだ。マールボロ・チーム・ペンスキーのクルーは素晴しい仕事をしてくれたから、前のマシンについて行くことは問題なかった。ここではそういった走りを要求されるからね。ピットストップもいつものように素晴しく、ほぼ狙ったどおりにレースを戦うことができた。すべてにおいてタイミングも良かったよ」
3位のカナーンのコメント:
「観ている者にとってはエキサイティングな展開となったんじゃないかな。自分たちにとっては、ちょっとパワー不足なレースだったかもしれない。でも今日のシェクターは勝利を手にする資格は十分にあった。彼のマシンはレースウィークに入ってからずっと好調だったからね。彼はレース中もクレバーな走りを見せていたと思う。勝てない日はそれなりの理由があるし、それはわかっている。自分たちも今日は全力を尽くしたよ」