<Honda>
IRL IndyCar シリーズ合同テスト(インフィニオン・レースウェイ)
■開催日: 4 月12 日(火)〜13 日(水)
■開催地: カリフォルニア州ソノマ
■サーキット: インフィニオン・レースウェイ
■コース全長: 2.26マイル/約3.637km
■天候: 快晴
■気温: 7〜17 度
8月28日に決勝レースが開催される常設ロードコース・サーキットのインフィニオン・レースウェイ(全長2.26マイル)において、IRLは4月12、13日の2日間に渡り、IndyCarシリーズに出場中の全チームが参加できる合同テストを開催した。サン・フランシスコ湾の北、ワインの産地として有名なソノマにインフィニオン・レースウェイはある。気温は低めであったが、テストは2日間とも好天に恵まれ、集まった17台のインディカーはアップダウンが激しく、バラエティに富んだコーナーを持つサーキットを走り込んだ。
2日間のトップタイムをマークしたのは、Honda Indy V-8勢のひとりであるダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)だった。テストは両日とも好天に恵まれたが、風も吹いて気温は20度に届かない涼しさだったが、フランキッティは2日目の走行時間が終了する間際の午後4時に総合トップタイムとなる1分16秒1051を記録した。12のコーナーを持つテクニカルなコースを、彼は平均時速108.797マイルで走ったのだった。
昨年度IRLシリーズ・チャンピオンのトニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)は、2日間の総合で4位となる1分16秒4715をマークした。IRL初のロードレースだった2005年第3戦のHondaグランプリ・オブ・セントピーターズバーグで優勝し、現在ポイントリーダーのダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)は、1分16秒6481で同5位につけた。
Honda Indy V-8勢はトップ5に3人が食い込み、6位にブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング/ダラーラ)、8位にヴィットール・メイラ(レイホール・レターマン・レーシング/パノス)、9位に昨年度Indy500ウィナーのバディ・ライス(レイホール・レターマン・レーシング/パノス)、そして、10位にスコット・シャープ(デルファイ・フェルナンデス・レーシング/パノス)がつけた。
昨年度ルーキー・オブ・ザ・イヤーの松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング/パノス)は、1分17秒1907で11位だった。トップ10入りは逃したが、セッティングは着々と進められており、トップからほぼ1秒の範囲内までマシンを仕上げることに成功した。初日に6周しか走らなかったロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング/ダラーラ)は、2日目に異なる3種類のセッティングをトライし、1分19秒6044を記録。こちらも作るべきマシンの方向性を見出すことができた。
次戦のBRIDGESTONE INDY JAPAN 300mileでは、Honda F1の初代ドライバーであったロニー・バックナムの息子、ジェフ・バックナムがHonda Indy V-8勢の一員としてドレイヤー&レインボールド・レーシングからインディカー・デビューを果たすが、彼も今回のテスト初日に走行を行い、1分19秒1812をマークした。
●ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 総合1位(1分16秒1051)2日間の走行で多くのデータを収集できた。テストに向けて用意して来た項目は、全てをこなせた。アップダウンの多いサーキットは走っていて本当に楽しいし、そうしたコースで最速タイムを出すことができたんだから、とても嬉しい。やはり、トップタイムを出すのは気分のいいものだからね。2日目の午後にメカニカル・トラブルがあったので、走行時間が減ってしまったけれど、その時点まででマシンを良くすることができていたからベストラップを記録できた。Hondaのエンジンは今でも文句のない性能を発揮してくれているが、今後も彼らは開発を進め、8月の本番時には、さらに高いパフォーマンスを発揮するものを用意してくれるはずだ。ロードコースで速いエンジンがどういうものか、Hondaには十分な知識と経験があるから、全面的に信頼している。
●トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 総合4位(1分16秒4715)
インフィニオン・レースウェイはとてもエキサイティングなコースで、とても気に入った。8月に行なわれるレースもファンが見て楽しいものになるのは間違いないと思う。2日間走ったことで、本当に色々な価値あるデータを集めることができた。ただ、今回のテストは気温がとても涼しく、8月とは気候が大きく違うものになる。そこにどう対処するかが、レース・ウィークエンドのパフォーマンスを決めることになる。アンドレッティ・グリーン・レーシングのエンジニアたちと今回得られたデータをよく検討すれば、きっと競争力のあるマシンを用意できるはずだ。
●ダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 総合5位(1分16秒6481)
今回のテストでは、正直言って、マシンのバランスを良くするのに少々手間取った。いや、今でも本当のところは悩んでいると言うべき状態なんだ。まだ自分が100パーセント満足の行くマシンに仕上げることはできていない。安心して走らせられるマシンになっていないんだ。8月に行なわれるレースまでに、僕らはこの問題を解決しなければならない。チームメイトのダリオがとても良いタイムを出しているので、彼が得たデータが僕の問題に対しても良い答えになってくれると思う。自分のデータとの比較をして、マシンをさらに良いものにするつもりだ。
●松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング) 総合11位(1分17秒1907)インフィニオン・レースウェイは凄くチャレンジングなコースで、体力的にもとても厳しいコースですね。アップダウンが多くて、高速コーナーも多い。ステアリングは重いし、80周のレースは本当に大変なものになると思います。今回はサーキットへと持って来たマシンのセッティングが今ひとつ良くなかったので、走行初日にサスペンションのジオメトリーを変更し、そこからマシンは良くなって行きました。まだ全体的にスピードが足りていないですけど、トップから1秒差まで来ていますし、テストの最後の方ではセッティングが良くなるものを幾つか見つけることもできたので、今回のデータをエンジニアとさらに検討して、レースには速いマシンを用意して来たいと思います。
●ロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド・レーシング) 総合19位(1分19秒6044)BRIDGESTONE INDY JAPAN 300mileから僕のチームメイトとして2戦を走るジェフ・バックナムは、インフィニオン・レースウェイをフォーミュラカーとスポーツカーで走った経験があります。彼と彼のエンジニアの考えたセッティングをトライすることが、ロードレース経験の少ない僕らのチームにとってはプラスになると考えたので、初日はジェフが走り、2日目に自分が走ることとなりました。ジェフが走らせたセッティングで出ていた問題は、2日目に向けて大きく変更したセッティングでも同じように出ていました。全体的に見てハンドリングがオーバーステアだったんです。サスペンションのジオメトリーも幾つかトライして、どれをベースにするかを探っている状態です。まだトップグループとの間には大きな差があるので、マシンを良くするために今回得られたデータをチームでもう一度よくチェックし、解決策を見つけたいと思います。
●ロバート・クラーク:HPD社長
高低差が激しく、高速コーナーやブラインドコーナーがあるインフィニオン・レースウェイは、とても難しいサーキットですから、今回のテストの一番の目的は、各ドライバー、そしてチームがコースを学び、理解を進めることに置いていました。その狙い通りに、すべてのHondaチームが満足の行く成果を得られたようです。エンジンはセント・ピーターズバーグに投入したものと基本的にまったく同じものを持って来ましたが、トラクション・コントロールについては、様々な仕様を試しました。このコースでは、トラクション・コントロールの重要性が非常に高いですからね。また、ドライバーのアクセルペダルの操作に対して、どのようにスロットルを開閉させるかを決定するスロットル・カムと呼ばれるパーツについても、それぞれのドライバーの好みに合わせたものを探す作業を行いました。ダリオ・フランキッティが最速タイムを出しただけでなく、Honda Indy V-8勢は上位にタイムを並べていますし、今回のテストでは大きな成果が得られたと評価しています。8月のレースに向けては、よりパワー・レンジの広いエンジンを開発して行くつもりです。