INDY CAR

松浦孝亮、レース終盤に猛チャージを見せて5位まで躍進するも駆動系のトラブルで無念のリタイア

<SUPER AGURI FERNANDEZ RACING>
2005 IRLインディカー・シリーズ第3戦「Hondaグランプリ・オブ・セント・ピーターズバーグ」
日程:4月1〜3日
開催地:フロリダ州セント・ピータースバーグ
サーキット:セント・ピータースバーグ市街地特設コース
距離:1.81マイル(2.912km)
■■■4月3日決勝■■■
天候:快晴 気温:21℃ 時間:15:45スタート(日本時間4日4:45)
<シリーズ初のロードコースイベント>———————————–
IRLインディカー・シリーズ初のロードコース・イベントで予選7位を手にした松浦孝亮。14のコーナーを持つ全長1.81マイルの市街地コースを元気良く走りまわり、最後のバトルに向けてトップグループへと食い込んでいった。しかし、終盤に駆動系のトラブルが発生。残り6周の時点でコースサイドにマシンを止め、リタイアを喫した。その結果、松浦、そしてパナソニックARTA/パノス・Hondaの順位は13位となった。
<難しい路面コンディションの読み>————————————-
滑走路と市街地道路を組み合わせたこのコースは、高速から低速までバラエティに富んだコーナーが配され、ドライビングの能力だけでなく、マシンをハイレベルに仕上げる能力も試される。レース周回数は100周。距離は181マイルで争われた。松浦にとって、今回のロードレースは2003年のユーロ・フォーミュラ・ルノーV6シリーズ以来。より大きく、重く、パワフルなマシンでのレースは初めてだが、プラクティスから着々とマシンのセッティングを向上させていき、7番手4列目にグリッドを確保。もともとスタートを得意としている松浦は、インディカーでの初ロードレースで上位フィニッシュを狙ったのだが、決勝用に新たに施したセッティングはレースでの路面コンディションにマッチしておらず、アンダーステアに苦しむ結果となった。
<さらに研ぎ澄まされたピットワーク>———————————
それでも松浦は諦めなかった。100周のレースでスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングは3回のピットストップを行い、1回目のピットインでは、同時にピットに入った13人のドライバーの中で3つのポジションアップを果たした。昨シーズンから今シーズンにかけて行ったピットクルーの人材補強と、オフから続けてきたトレーニングの成果が今回のレースでも発揮されたのだ。
<レース終盤の猛チャージ>—————————————–
アンダーステア傾向のマシンに苦しみながらも、松浦は着々とポジションを上げていった。そして、ゴールが間近に迫った84周目には5位へと浮上。さらに上のポジションを目指した戦いを始めようとしていた。ところが、その直後、駆動系にトラブルが発生。原因はまだ完全には究明されていないが、ドライブシャフトかディファレンシャルが壊れた模様で、6周を残してマシンを止めざるを得なかった。結果は悔しいものとなったが、松浦とスーパーアグリ・フェルナンデス・レーシングはトップグループを戦える力を証明したと言えるだろう。
■■■コメント■■■
<松浦孝亮>
トップ5に入れるレースをしていただけに残念です
「予選でのマシンはとても良かったのですが、決勝はエンジニアと相談してセッティングを変更しました。良かれと思って変えましたが、自分たちの期待していたようにはならずにペースが上げられませんでした。アンダーステアが強くてドライビングが難しかったです。自分たちが考えていたよりもグリップが上がりませんでした。それでも、チームの作戦も良く、ピットの作業も速かったので、最後の15周ぐらいで5位までポジションを上げることができました。リスタート後に、外側にいたスコット・ディクソンが自分のいたインにカットしてきて、フロントウイングを踏まれてしまいました。その後のリスタートでマニングをパスしたんですが、今度は駆動系が壊れてしまいました。トップ5に入れるレースをしていただけにトラブルはすごく残念です。クルマはどんなコースに行っても良いものにできているし、ピットも速い。自分のパフォーマンスも去年よりはるかに良くなっていると思います。運が味方してくれれば、結果は必ずついてくるはずです。次のツインリンクもてぎでは、結果を出したいですね。全力で頑張ります」
<鈴木亜久里/チーム代表>
トップグループで戦えるだけの力が備わってきた
「今日のクルマはスタートからアンダーステアが強くて、孝亮は苦しいドライビングになっていた。ピットストップでもセッティングを変えなかったのに、頑張ってペースを保っていたよ。アンダーが出ていたクルマで、しかもフロントウイングがなくなっていたのに、リスタートでマニングをパスしていた。とてもいい戦いぶりだったと思うよ。トラブルは、ギヤボックスの中が壊れたのか、メインドライブが折れたのか、ギヤボックスの油温がすごく上がっていた。ディクソンとの接触は、彼が急に減速してインに来たから。あれでフロントウイングが壊れたけれど、その後も孝亮のぺースはあまり下がらなかったね。ピットストップも本当に速くなり、いいドライバー、いいチームになってきている。開幕戦はぶつかってしまい、第2戦はタイヤのトラブル、今回もマシントラブルと運がないが、3戦ともトップグループで戦うことができている。苦しくても5、6位でフィニッシュできそうな戦いをしている。この運の悪さを断ち切って、次のツインリンクもてぎでは良い成績を残したい。いいレースを戦えるドライバーとチームになっているんだから、それは可能だと思う」
<サイモン・ホジソン/チームマネージャー>
コースコンディションの変化を読み切れなかった
「スタート直後のコウスケはアンダーステアに悩まされ、無線で『アンダーがひどい』と彼は叫び続けていた。レースが進むに連れてコースコンディションが変化すると読んでいたので、セッティングを変えなければ、後半にはペースを上げられると考えていた。そのため、1回目のピットストップでもセッティングは一切変更しなかった。しかし、コンディションは我々の考えどおりには変化しなかった。タイヤの内圧が高すぎたのかもしれない。そこで2回目のピットストップではタイヤプレッシャーを変更した。それでも状況が大きく好転することはなかった。もしかしたらウイングを立てることでハンドリングを改善することができたのかもしれない。コウスケはギブアップせずに頑張り続け、いいレースを戦っていた。3回目のピットストップで燃料補給のトラブルがあり、少し長い時間がかかってしまった。ディクソンとのアクシデントはその後に起きた。相手が急にインへとラインを変えたために起きた事故だった。フロントウイングが壊れたが、あそこでピットインすれば12位まで大きくポジションを下げてしまうため、コウスケにはそのまま踏ん張ってもらうことにした。コウスケは我々の期待以上の走りを見せてくれた。ずっとアンダーステアに悩まされていたマシンで、フロントウイングがなくなってフロントのグリップがさらに下がったのに、リスタートでマニングをパスしたんだからね。あれには強い感銘を受けたよ。残念ながら駆動系にトラブルが発生して、結果は13位となったが、今回も我々の力を示すことができた。コウスケは強豪たちを相手にしても十分に戦えるだけの力を備えている。まだ出場2年目だが素晴らしい成長ぶりを見せている」