CHAMP CAR

CARTチャンピオンシップ・シリーズ 第7戦 デトロイト【決勝】レポート

<US-RACING>
決勝レース当日の日曜日は曇り空、気温摂氏17度という肌寒いコンディションの中、 レースは午後1時10分グリーンフラッグとともにレーススタート。オープニング ラップは大きな混乱もなくファン・モントーヤ、ダリオ・フランキッティ、エリオ・ カストロネベスの順にトップグループを形成されラップが重ねられていく。

各ドライバーはコンクリートとアスファルトの路面が次々に入れ替わる非常にバンピー なデトロイトのストリートコースで微妙なカウンターをあてながら必死にマシンをコント ロール、その中でも際立って速かったモントーヤは周回を重ねるごとにリードを拡大、 10ラップを消化した時点ですでに2位以下に2秒以上のアドバンテージを得ていた。

レース11ラップ目、ケニー・ブレックがコンクリートウォールにヒットしてしまい ピットイン、そのままリタイヤしてしまう。その直後にマイケル・アンドレッティが 単独でスピン、何とかマシンにダメージを与えずに止まり、すぐにレースに復帰する 事ができたためコースはグリーンのままレース続行された。

未だイエローが出ていない15ラップ目、4位を走っていたクリスティアーノ・ダ・ マッタがターン8でメカニカルトラブルのためコースアウト、クリスチャン・フィッ ティパルディが4位にポジションアップする。この時点でトップを快走するモントーヤ は2位以下に4秒以上のリードを奪っていた。

25ラップ時点での上位ポジションはモントーヤ、これにフランキッティ、カストロネベス、 ジル・ド・フェラン、フィッティパルディが続く。

各マシンにそろそろ1回目のピットインのタイミングが迫り、27ラップ目、2位を走って いたフランキッティがタイヤ交換、給油のためにピットイン、ポジションを7位まで 落としてピットアウト。その1ラップ後にモントーヤとド・フェランもピットイン、 モントーヤは1位をキープしたままレースに戻るが、ド・フェランは5位にポジションを 落としてピットアウトした。

同じく28ラップ目、ターン12に差し掛かった中野信治が単独スピン、マシンにダメージ を与えず止まったが、スピンターンでマシンの向きを変えようとした際にリアウイング をヒットしてしまい、ピットインを強いられる。これによってポジションを大きく落と してしまった。

レースも中盤に入ろうとしていた30ラップ終了時点でのトップはモントーヤ、約5秒後に カストロネベス、フランキッティ、ド・フェラン、フィッティパルディが続いた。また この時アンドレッティには29ラップ目で犯したピットレーンでのスピード違反に対して ブラックフラッグが出される。

そしてレース32ラップ目、アドリアン・フェルナンデスがピットインの際に捨てたヘル メットのバイザーカバーがターボのインダクションに入り、エンジントラブルを引き 起こすという珍しいトラブルによってコース上でストップ、コースはこの日初めての フルコースイエローコーションとなる。

これでトップのモントーヤと2位のカストロネベスをはじめ、各マシンの差が一気に 縮まった。このチャンスを使ってド・フェランがイエロー解除後の48ラップ目、3位を 走っていたフランキッティをパスしてポジションアップを図る。この後ブレーキダクト に問題を抱えていたフランキッティは後ろを走っていたフィッティパルディとマックス・ パピスにもパスされてしまう。

58ラップ目、上位陣を走っていたド・フェラン、カストロネベス、フィッティパルディが 同時に2回目のピットイン、カストロネベスが3位、フィッティパルディが4位、ド・ フェランが5位でピットアウトした。またこの時ピットに入ってきたポール・トレイシーは 隣でピットアウトしようとしているド・フェランとニアミスし、自分のピットで止まり きれずにピットクルーをヒットしてタイムロス。結局このアクシデントでオフィシャル からレース中止を言い渡されてリタイアとなてしまった。

その1ラップ後の59ラップ目、トップのモントーヤもピットイン。この時点でトップに 躍り出たのはピットインのタイミングを遅らせたロベルト・モレノだった。そして これから僅か2ラップ後の61ラップ目、ピットを終えたばかりのモントーヤが再び ピットに戻ってくる。

モントーヤは交換したばかりのタイヤを再度交換してスタートしようとするが、 オフィシャルがこれをストップ、左ドライブシャフトの問題を発見。CVジョイントの ベアリングが破損しており、これでこの日の優勝に一番近かったモントーヤはリタイヤ となってしまう。

さらにその直後、上位グループを走っていたフィッティパルディが周回遅れのマーク・ ブランデルをパスしようとした際に接触、バランスを崩したところにすぐ後ろを走って いたド・フェランがヒット。これでこの3台はコース上でストップ、フィッティパルディ はそのままリタイヤ、ド・フェランはコースに復帰するものの大きくポジションを 落としてしまった。

レース終盤に差し掛かかったところで起きたこの大波乱によってトップに立つことが 出来たのがカストロネベス、これにパピス、モレノが続いた。しかしモレノはその 直後の65ラップ目、コースアウトによってリタイヤしてしまい、ルーキーのオリオール・ セルビアが3位にポジションアップを果たす。

トップに立ったカストロネベスはラップを重ねるごとに2位以下を引き離し快走、 そのままチェッカードフラッグを受け、カストロネベスは念願のCART初優勝を達成。 2位はパピス、3位にはセルビアが入り、今シーズンのルーキー初表彰台となった。

ポイントスタンディングは今日のレースノーポイントながらトレイシーがトップを キープ、2位には今日のレース7位で終わったジミー・バッサー、3位には今日17位 ノーポイントに終わったモレノと続いている。

これで今シーズンは7戦を終了して7人の異なるドライバーが優勝するという大混戦 模様となり、ポイント争いがいっそう見逃せなくなってきた。次戦は1週間後、 オレゴン州ポートランドで今シーズン初のパーマネントロードコースでレースが行われる。

●初優勝を飾ったカストロネベスのレース直後のコメント
「遂にやったよ! スポンサーのマルボロをはじめ、チーム、ホンダ、ファイアストン、 そしてボクをサポートしてくれたみなさんにまずありがとうをいいたい。 今日は本当にファンタスティックな日だよ。 今日ここで初優勝を上げることが出来て本当にうれしい」
●カストロネベスのコメント-2
「レース中、チームからはとにかく燃料をセーブするようにとずっと指示されてたんだ。 とにかくハードだったよ、このようなドライブ方法はあまり好きじゃないからね。 でもそのおかげで今日優勝することができたんだ。 リタイヤしたモントーヤについて、ボクは彼のことを気の毒には思わないよ、 だってレースにはそういったトラブルは付き物だし、 ボクも今まで何回も経験してきたからね。 でもファンとはもっとレースをして勝ちたかったよ」
●2位に入賞したパピスのレース直後のコメント
「シャシー、フォードエンジン、ファイアストンタイヤなど 今日のマシンパッケージはバランスがとれていて非常に良かったんだけど、 へリオはそれ以上にいいドライブをしていたからね、 彼をパスすることが出来なかったよ。 へリオとペンスキーに心からおめでとうといいたい」
●ルーキー初の表彰台を達成したセルビアのコメント
「今日ここで表彰台に立つことが出来て本当に誇りに思っているよ。 トヨタエンジンはとてもパワフルだったし、ピットクルーのみんなが とてもナイスなジョブをしてくれたおかげでここまでポジションアップを図れたんだ。 おかげで今日はレースをすごくエンジョイすることが出来たよ。 本当にありがとう」

● リタイヤしたモントーヤのコメント
「シャシー、エンジン、タイヤどれも完璧だった。 2回目のピットアウト後リアのタイヤに異変を感じて タイヤ交換のために再度ピットに戻ったが、問題はタイヤでなく ドライブシャフトだった。 ここまで独走していただけに非常に残念だよ。 次のレースで巻き返していきたい」
●終盤にリタイヤしたクリスチャン・フィッティパルディのコメント
「ブランデルと接触したときはまだマシンをコントロールして立て直せたんだけど、 ブレーキングが遅れたジルが後ろからぶつかってきてすべてが終わった。 今日のマシンは決していい仕上がりとはいえなかったけど、スライドしまくるマシンを 必死に立て直して表彰台を目指していただけに非常に残念だよ」

●エンジントラブルでリタイヤしたマイケル・アンドレッティのコメント
「いやあ、今日のマシンは本当にひどかったよ、 暴れるマシンを押さえ込むので精一杯だった。 終盤はタイヤにフラットスポットができてしまって、タグリアニを押さえながら なんとか7位で何とかフィニッシュできるかと思ったけど、 80ラップ目にエンジンが逝ってしまったんだ。 今日はフラストレーションの溜まる1日だったよ。 ポートランドでいいレースをするためにも また一からしっかり準備をしてチーム一丸で頑張るよ」

●トヨタモータースポーツV.P.のジム・アストのコメント
「今日は苦しくもあり楽しい日でもあった。 セルビアは今日とても素晴らしいドライビングを見せてくれた。 ルーキードライバー初の表彰台実現にトヨタが力を貸すことができて とてもうれしい。 彼とチームのクルーたちにおめでとうといいたい。 モントーヤはレースを完全に独走していただけにとても残念だ。 今、我々に必要なのはあとちょっとだけでいいから勝利の女神が微笑んでくれることだね。 トヨタエンジンは全体的にいいパフォーマンスを見せていたと思う」