【チャンプ・カー・ワールド・シリーズ：2005年10月21日 オーストラリア】
最適な土地を持つことが不動産で成功するカギだとよく言われてきた。しかしサーファーズ・パラダイスの金曜日、チャンプ・カー・ワールド・シリーズのポイント・リーダー、セバスチャン・ボウデイ（#1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）はこの場所が“2005年ヴァンダービルト・カップ”を獲得できるカギとなるかもしれないことを発見した。セッション終盤に出された赤旗が金曜日に行われた２周アタックによる最初の予選時間を短縮させた後、ボウデイはファイナル・アタックでクリアラップを見つけ、日曜日の決勝レースへ向けた抜きつ抜かれつの白熱した展開となった金曜日の予選でチャートのトップに踊り出た。ボウデイは1:45.739（95.159mph）のラップをたたき出し地元オーストラリアの人気者アレックス・タグリアーニ（#15オウジー・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）からリードを奪還することに成功。仮に明日土曜日の最終予選ラウンドでリードを許したとしても、明日のタイムに関わらずフロント・ロウのグリッドが保障されたため、2005年チャンピオンシップを確実なものにするために十分なポジションを得た。
金曜日の観客動員レコードとなる６万4111人を前に行われた初日の予選ラウンド。セッションが始まるちょうど１時間ほど前にサーファーズ・パラダイス戦のトレードマークとも言える強い雨がコースを水浸しにし、トラックは滑りやすい状態となった。その雨はセッションが始まる直前に止んだものの、コーストラックは35分間のセッション中に乾き始め、時間が経つにつれてコンディションが改善されるといったエキサイティングな状況を作り出していった。
ボウデイは自身３度目となる１周2.795マイルのサーファーズ・パラダイスのコースで行われている19台による予選で序盤トップに踊り出て最初にこのセッションをリード。しかしすぐさま元チャンピオンのポール・トレイシー（#3インディック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）にその場所を明け渡すしてしまう。トレイシーは、2002年のこのレースの優勝者マリオ・ドミンゲスの力強いアタックを含む６回ものリードチェンジのあったセッションの最初の15分後にコースインしタイムアタックを開始した。
トレイシーは残り８分の時点で1:46.920（94.108）のタイムを記録し再度リードを奪い、トレイシーとタグリアーニの後ろ３位のタイムをマークした後にピットに留まっていたボウデイに対して優位に立ったかに見えた。しかしそのすぐ後、ルーキー・オブ・ザ・イヤーのポイント争いをリードしているティモ・グロック（#8DHLグローバル・メール・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）が１ターンのシケインでスピン、マシンがストールしたため赤旗となった。
このアクシデントによりセッションタイムが短縮となり深紅の旗が全車に提示されピットレーン出口はクローズされた。しかし、チャンプ・カー・セーフティ・チームの迅速な作業により全車がファイナルアタックを行うに十分な時間が残された。グリーンフラッグが振られセッションが再開されると19台のほぼ全マシンがピットボックスを離れコースイン、クリアなトラックで激しいファイナルアタック合戦が始まった。
ボウデイはピットレーン出口付近でマシンをストールさせたため最後にコースインを余儀なくされたが、結果的にこれが混雑したコース上とは対照的に、トラフィックを心配することなくファイナルアタックをできる状況をもたらした。ディフェンディング・シリーズ・チャンピオンはクリアとなったコース上のアドバンテージをフルに活用し自身のベストタイムを1.5秒更新する走りでファイナルラップに暫定ポールポジションを獲得した。しかし、ボウデイ以外にもこのファイナルアタックでタイムを更新しポジションアップを果たしたドライバーがいた。
タグリアーニは自身のファイナルラップで1:46.010（94.916mph）のタイムをマークしチャート上でボウデイに続く２位にまで順位を押し上げ、地元の大ファンの声援を受けた。タグリアーニが所属し、グリーン＆ゴールドにペイントされたルーキー・チーム、チーム・オーストラリアにとって２番手は予選でのベストリザルトだった。なお、チーム・オーストラリアはこのレースでルーキーのウィル・パワー（#25オージー・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）をエントリーさせており３台体制で今週末のレースを戦うことになっている。
タグリアーニの活躍がトレイシーを３番手に後退させていた。また、驚きだったのがマイジャック/コンクエストの19歳の新鋭ネルソン・フィリップ（#34ウェボックス・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）。フィリップはファイナル・アタック・ラップで1:47.321（93.756mph）のタイムをマークしリザルト・シートの４位に躍進。参戦２年目のフィリップにとっての予選ベスト・リザルトとなった。
オリオール・セルビア（#2パシフィケア・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）がチャンピオンシップ争いで望みを繋ぐべく乾いたトラックでギャンブルを敢行したものの、赤旗が出されたためその試みはうまく行っていないように見えた。トレイシーがタイヤを既に使い切っていたため、コース上でポイント・リーダーのボウデイを計算上逆転できるチャンスのある唯一のドライバーであったセルビアは、最初にアタックを開始する前まで予選セッションの最初の半分近くの時間、ピットに留まっていた。
セルビアの作戦は、ブリヂストン・ポテンザの性能をフルに発揮させ可能な限りチャンピオンシップ・ポイントを獲得するため、他のドライバーがアタックをしている時間帯はピットで待機しタイヤを温存することだった。一度は失敗に終わったこの作戦だったが、セッション終盤の赤旗がわずか７周しかしていなかったセルビアにチャンスを与え、最後に1:47.872（93.277mph）のタイムをマーク、５位を獲得した。
2001年のOzウイナーのクリスチアーノ・ダ・マッタ（#21ベル・マイクロ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）は６位、デイル・コイン・レーシングのリチャード・スペラフィコ（#11ソニー・リアル・ピットBBQフォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）は1:48.355（92.861mph）のタイムで予選での自己ベスト記録となる７位にきた。
マイケル・マクドウェル（#31ロケットスポーツ・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン）は彼のチャンプ・カー・デビュー・セッションとなるファースト・プラクティスで13位だったものの予選セッションではエンジンパワーが低下し17位に終わった。“レマックス・インディ300”のファイナル・グリッドは、土曜日現地時間午後１時45分に始まる最終予選で決定される。
予選トップ3のコメント
ポール・トレイシー #3インデック・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン：
「僕らは早めにアタックを開始し相当ロングランをやった。２回目のアタックは良かったよ。僕らは一番最速だったからね。ここまでは僕らは順調だったが、その後赤旗になった。すべて順調にいっていると思ったよ、その赤旗がもう少し長く出されていればね。でも、実際は非常に短い時間ですぐに解除されてしまった。グリーンフラッグになったときにはすでに僕らはタイヤを使い切ってしまっていた。でもセバスチャンとアレックスはフレッシュタイヤをまだ持っていて、加えてトラックコンディションは多少良くなっていた。ほとんど路面が乾いていたんだ。ちょっとした不運だったけど、全体的には満足だよ」
アレックス・タグリアーニ #15オージー・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン：
「チームとってすごくいい予選だった。みんな非常に満足しているよ。僕の車を３番手にするべくチームは本当にハードな仕事をしてくれた。チームのみんなが、この結果をちょっとしたバケーションを持ったような気分だろうし、大きな驚きでもあったし、また３台目を走らせるということでいつもよりハードに仕事をしなければならなかった。今回のような結果はチーム全員を満足させるし、週末を通じてハードワークを続けるモチベーションを保つこともできると思う。クルマは本当に良い状態だし、どんな天候だろうと明日もまたこのような結果を残せることを望むよ」
セバスチャン・ボウデイ #1マクドナルド・フォード‐コスワース/ローラ/ブリヂストン：
「みんなが言うようにとても緊張が張り詰めたセッションだった。ポールとアレックスと同じようなことを言うつもりはないよ。ただ、タフなコンディションだったよ。正確なタイミングに正確なタイヤ選択をしなければならない。僕らは幸運だった。思うに、ピットアウトするタイミングが僕らにとって（暫定ポールを獲得できた）大きな要因だった。素晴らしいクルマに仕上げてくれたチームに感謝しているよ。簡単なことじゃあないからね。僕らは今週末のレースに向けてハードに臨んでいるし、今のところ僕らの考えどおりにすごく順調に事は進んでいるよ」