いよいよインディ・ジャパンが幕を開け、これで最後なのか・・・という寂しさと、今までのオーバルとは違うんだなと思うと、どことなく複雑な心境でもありますよね。その反面、チャンピオンシップ争いが白熱しているだけに、初開催のロードでどんなレース展開になるのか、気になるのもまた事実。今回はインディカーで初走行となる、もてぎのロード・コースについて解説したいと思います。
初開催のこのコースでレース経験があるのは、スポット参戦のヒデキとオリベイラ。Takuはイベントなどでデモ走行をした事があるだけですが、実は僕自身、このロード・コースで12時間耐久のアマチュア・レースにゲスト参戦したことがあります(その時はちゃっかり勝っちゃいました!)。シンプルな構造なので、難易度はミド-オハイオやソノマに比べたら簡単とも言えますが、クルマの向きを変えてすぐに加速できるストップ&ゴーに強いマシンが必要とされます。
まずは、ブレーキング勝負でオーバーテークもできるのがターン1(↑)。そこからターン2にかけては、ダブル・エイペックスと言われるタイプのコーナーで、ドライバーの視点からすると、一つのコーナーと考えることができます。ターン2を立ち上がるとターン3(↓)までは短めのストレートが待っているので、相手のミスを誘えばターン3でもパッシングが可能でしょうね。
ターン3そのものは至ってシンプル。真っすぐにブレーキをしてマシンの向きを変え、すぐにアクセル・オン。ターン4のクリッピング・ポイントに到達したら、あとはマシンを逃がす形でターン5(↓)めがけて短いストレートを駆け抜けます。
このターン5はターン3と似ていて、うまくスリップ・ストリームに入ればブレーキングで相手をオーバーテーク可能なコーナーの一つです。がっつりとブレーキングし、マシンの向きを変えるとすぐにアクセルを開けて130R(↓)に突入。
鈴鹿の130Rとは異なり、ドライのコンディションであればおそらく全開で駆け抜けることになるでしょう。
次に出てくるのはS字コーナー(↑)。比較的直角に近いストップ&ゴーが多いこのコースでは一番特徴的なコーナーで、タイムを短縮する上で鍵となるコーナーです。意外とこのコーナーは中速なので、マシンのエアロ・バランスも重要。左ターンから右ターンへと荷重が入れ替わるポイントなので、マシンのメカニカル・グリップのバランスも大きく反映されます。
S字コーナーを抜けると、タイトなヘアピン(↑)が2回続きます。V字コーナーとヘアピンはともにかなり窮屈なので、パッシング・ポイントにはならないと思いますが、このコースで一番長い直線のダウン・ヒル・ストレートに向けて、相手をパスするためのセット・アップとしては重要なコーナーとなります。
その名のとおり、下り坂となるダウン・ヒル・ストレート(↑)では、ブレーキング勝負において間違いなくパッシング・ポイントと言えますが、下り坂でフロント荷重になっている状況でさらにブレーキを強く踏みますから、フロントにもっと荷重がかかってフロント・タイヤがロックしやすくなります。なおかつダウン・シフトの際にはリヤがロックして全体的にマシンが滑りやすい状況となるので、アクシデントが多発する可能性も考えられます。
90°コーナー(↑)自体は至ってシンプルな直角コーナーですが、けっこう減速が必要で、チャレンジングなコーナーです。下り坂というのは自分が想定している以上にマシンが減速しないので、この点が難しい。コーナーを立ち上がるとオーバルの下のトンネルをくぐり抜け、最終コーナーとなるヴィクトリーコーナー(↓)に進入します。
この最終コーナーも複雑ではないのですが、左に若干ハンドルを切りながらブレーキングをするために、右側にかかる荷重をおさえながらブレーキを踏み、同時にダウン・シフトしながらコーナーに突入します。その後はいかに早く、かつスムーズにアクセルを開けていくかがポイントです。
このように、もてぎのロード・コースは比較的シンプルな構造ではありますが、アメリカのインディカーのコースとは路面が全然違います。日本の路面は綺麗で、さらに路面のμ(摩擦力)も高いため、今までとは違うレベルのメカニカル・グリップを得ることができます。その路面に対してチームがダンパーやスプリングのセット、サスペンションのジオメトリーをうまくあわせてくるかが重要なポイントとなるでしょう。
震災後に被害を受けた部分は舗装し直したばかりで、コーナーによってはバランスが異なる部分もあると思います。となると、もちろんペンスキーやガナッシはいつものように上位に入ってくると思いますが、KVやアンドレッティ勢もチャンスはありそうですね。個人的には日本勢のTakuとヒデキに頑張ってもらいたいです!
今回で最後となってしまうインディ・ジャパンですが、残念ながら僕はLAでの観戦となります。今まで毎年応援に来て下さったファンのみなさんには、心から感謝しています。そして、最後に現場でみなさんにお会いできなくなってしまうことを、心からお詫びします。
昨年から始めた新プロジェクトのイベントが重なってしまい、今年のインディは断念することになってしまいました。しかしながら、来季に向けてまたレース活動を再開できるよう、いろいろと交渉を始めているところでもあります。まだ何のレースに参戦できるかは決まっていませんが、今後も応援よろしくお願い致します。
最後のインディ・ジャパン、ロード・コースでもインディのおもしろさを十分に堪能して下さいね!!
See you guys soon and many thanks for all your support at the Indy Japan races!!