Roger Yasukawa's

ミド‐オハイオで見られたウィルソンの課題とAJフォイトの躍進

画像エドモントンから続いた真夏の3連戦。先週末に行われたミド‐オハイオのレースを終え、今週末は日本のお盆休みと同じタイミングで、インディカー・シリーズもオフとなります。
気がついたら2009年のインディカー・シリーズも残り4戦となり、まさにファイナルステージへ突入です。未だランキングトップ3の差はわずか20ポイントなので、最終戦までチャンピオンシップ争いがもつれ込みそうですね。
では、インディカー・シリーズ第13戦ミド‐オハイオのレースを振り返ってみましょう。2位に30秒近くもの差をつけて、ぶっちぎりで優勝したのはスコット・ディクソン。レース序盤、特に最初のスティントではジャスティン・ウィルソンが独走態勢に入ったので、今回もデイル・コインの優勝かと思いきや、2スティント目からはディクソンの本領発揮となりました。

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最後のスティントはプライマリー・タイヤ(黒)を使い、レッド・タイヤとほぼ同じようなタイムを刻んで断トツの勝利です! 勝因は、もちろんマシンのバランスが良かったのもありますが、クルーのピット・ワークと戦略、スコットのアウト・ラップとイン・ラップの速さなど、すべてにおいて完璧なレースができたのだと考えられます。
逆に予選とレース中盤まで良い走りを見せていたジャスティンは、最後のピット・ストップをギリギリまで我慢してしまったため、ピット進入時にほぼガス欠状態。なんとかピットまで戻り、燃料補給をすることはできたのですが、ピット・アウト時にエンストして順位を大きく落としてしまいました。
一度ガス欠をしてしまうと、数秒にわたってエンジンをアイドリングしなければ、発進時にエンストに繋がってしまうことがたまにあります。今回はエンストしてからギヤをニュートラルに入れるまでに時間がかかってしまい、さらにタイム・ロスしてしまったようです。

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ガス欠になってしまったのは、チームの戦略ミスだったような気もします。2スティント目に出た2度のイエロー・コーションが、燃費の計算を狂わせてしまったのでしょうか? 
ジャスティンはレッドからプライマリー・タイヤに履き替えてから、スコットと同じペースを保つことができていませんでした。それだけに、2スティント目をあそこまで引っ張った理由が気になるところです。その辺がまだ、チーム力で劣っているポイントなのかもしれません。
レース後半はスコットがトップを快走する一方、後方では激しい戦いが展開していました。その中でも最後まで粘り強い走りを見せてトップ5を獲得したのが、ライアン・ハンター・レイとヒデキです。

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4位に入ったハンター‐レイはシーズン途中にAJフォイトのチームに移り、現在はケガで休養中のヴィットール・メイラの代役として戦っています。AJフォイトのチームは、今年からエンジニアにアダム・シェクター(トーマス・シェクターとは関係ありませんよ)を迎え、マシンのポテンシャルが数倍アップしました。
アダム・シェクターは以前モー・ナン・レーシングでアレックス・ザナルディを担当していて、CART時代からのロード・コースのデータを豊富にもっているはず。ヒデキを最終ラップまで抑えて走ったことは、チームにとって大きな喜びとなったことでしょう。
チーム力を考えれば、ヒデキは余裕でライアンをパスできるだろうと誰もが期待したと思います。しかし最後までライアンが4位をキープすることができたのは、チームのレベルが上がったことと、ライアンのがんばりがあったからだと思います。
おもしろいことにライアンは、予選後に「明日のレースでは、とにかくノー・ラックであることを祈るよ!」と言ってました。AJフォイトに移籍してから、アンラッキーなレースが続いて結果を残せていなかったライアン。運に頼らず、実力に任せれば必ず結果は残るという自信があったのでしょう。

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ヒデキはライアンの先行を許してしまいましたが、最後までがんばり、レース後半にも良いラップ・タイムを刻んでいました。チームにとっても、次回のインフィニオンに備えて良いデータを収穫できたと思います。
予選からトニーやダニカの車載映像を見る限り、マシンのハンドリングもだいぶ安定してきているように見えます。コーナリング時をペンスキーのマシンと比べると、まだ若干ハンドルの舵角が多いように感じましたが、確実にマシンはレベル・アップしていると思います。
次戦はヒデキを筆頭に、AGR勢は表彰台を狙って欲しい所ですね。ミド‐オハイオのレースが終わり、早速インフィニオンへ移動してテストを行うみたいなので、十分に期待できるでしょう!
さて、次のレースの舞台となるインフィニオン・レースウェイですが、ミド‐オハイオ以上にアップ・ダウンが激しく、ブラインド・コーナーが多いテクニカルなコースです。

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しかも、今季最後のロード・コースのレースとなるので、ロードを得意としているドライバーやチームは気合いが入るでしょう。昨年はペンスキーの圧勝でしたが、そろそろペンスキーとガナッシ以外のチームにも、また勝って欲しいところですね!(笑)
インフィニオンと言えば、周りにはソノマなどの有名なワイナリーがたくさんあります。しかしワイナリーは朝10時から午後5時までしかやっていないので、基本的にレースでソノマに訪れる時は、まず立ち寄る事ができません。AGRのドライバーはアンドレッティ・ワイナリーでのレセプションに参加しないといけないらしく、絶対に行かなくてはならないみたいですが・・・・・・!?!
僕はインディ・ジャパンの準備に向けてお盆休みもなく、全力で準備を進めています。スポンサー活動も、サーキットに入る直前まで続けることになりそうです。モテギでベストな戦いができるように、今はトレーニングとスポンサー活動に集中したいと思います! それではみなさん、お盆休みをたっぷりエンジョイして下さいね!!