Kazuki Saito's

“チャンプ・カー北の国へ” 日本初・公道グランプリ開催への道! 第31歩>>なくてはならないものとして

「2億2千万円でもまったく足りない」
マカオ全体の利益に不可欠なものとは?
 北海道小樽グランプリ推進協議会の理事長である木下 修さんと、事務局長の荒澤之博さんは、初めての市街地レースを目の当たりにして様々な疑問も抱いた。街中を舞台に、どうやって50年もの間続いてきたのか。マカオ・グランプリ委員会のひとりである朱 妙萠さんに、話を聞いた。
 「マカオは観光が最も重要な産業のひとつであり、毎年グランプリでマカオを世界中にアピールできるのは、とても重要なことです。もはや、グランプリはマカオにとって、なくてはならないものと言ってよく、だから50年も続いてきたんでしょうね。はっきり言って、チケットだけの販売ではやっていけません。お土産用に記念のウエアなどを販売して、今年の総収入はおよそ1500万香港ドル(約2億2千万円)になりますが、それでもまったく足りませんから。毎年やってくる大勢の観光客のみなさんが買い物や食事をし、他でもたくさんお金を使ってくれるので、それがマカオ全体の利益として戻ってくるのです」
 マカオと同じ、観光の街である小樽。木下さんはこの話を聞いて、「グランプリにかける期待の大きさを感じました」と言う。「観光への波及効果や、ネームバリューを上げると言う意味で、これにかけているんだと思います。だから市民のみなさんも協力するんでしょう。我々もやはり、こういう核になるものが欲しい。これに色々なものが付随してやってくるわけで、様々な相乗効果が生まれるんです。例えば観光船がたくさん来て、それこそ何十隻も入ってくるのを、また別の人が見に来る。人が大勢来れば企業も来て、そのうち新しい産業が起こるかもしれない。小樽の人たちにとって、レースは一時的に不便かもしれないですが、そこから波及してくるものが色々あるんだということを、知って欲しいですね」
 一方の荒澤さんは、「50回もやってきたんだという誇りを、関係者以上に市民が持っているように感じました」とマカオを語る。「やっぱり子供たちに夢を与えたい。誇りを持てる街にするのが、我々の役目ですから」
 

筆者近況
チャンプ・カーの本社はインディアナポリスにあるのですが、ミーティングのついでにインディ500へ行って来ました。14年目のインディで終盤にマイケル・アンドレッティがトップに立った瞬間、思わず興奮。「やっとマイケルがきた!」と思った矢先にマルコにぶち抜かれ、「子供に先越されるとは!」って思ったのも束の間、最後にホーニッシュが! マイケルはまた勝てなかったけど、いいレースでした。
(オートスポーツ誌 2006年6月15日号に掲載)