「小樽では難しい」「これならできそう」
正反対だった市街地レース初観戦の感触
3週に渡って現在の状況を紹介してきたので、そろそろ“続き”に戻ろう。北海道小樽グランプリ推進協議会の理事長である木下 修さんと、事務局長の荒澤之博さんが生まれて初めて市街地レースを体験した話、である。
二人が訪れたのは、ちょうど50回目の開催を迎えたアジアの伝統的な市街地レース、マカオ・グランプリだった。前年に“北海道みちとくらしと未来のネットワーク委員会”が取材しており、小樽グランプリとしては2回目のマカオ訪問となる。前回の模様や、マカオ・グランプリそのものに関しては6回目のブログに書いたので、ぜひそちらもご覧いただければと思う。
委員会から小樽グランプリの話を聞くまで、レースにほとんど興味を持っていなかった当時の木下さんにとって、それは驚きの連続だった。
「マカオは山坂を登って住宅街の中を抜けて、病院もあればマンションもありました。こんな狭いところでもできるんだっていうか、ほんとうにすごいなぁと思いましたね。夜もレースが終わってから街の中を歩いてみたのですが、住宅街の中にフェンスやガードレールがあって、自分の家へ行くのに歩道橋を使ったり、はしごを使わなきゃいけないところもあったんです。こういう不便な事もあるのに、地元の人が街のために協力し合っているというのは、すごい事だと思いました」と木下さんは振り返る。しかし同時に、「これを小樽の人たちに理解してもらうのは、難しいかもしれない」と感じていた。
「最初からレースがあるのが解って入居したのならいいですけど、普通に便利な暮らしができていたところに急に塀ができて、はしごでもって家の中に入れっていうのでは、絶対に反対のほうが多いのではないかと。50年の歴史があるマカオは、市民がレースを当たり前のように感じて溶け込んでいるのですが、初めての小樽では、かなり難しいと思いました。熱狂的なファンもいて、こういうのができたら最高だとは思ったんですが・・・」と木下さんが考え込んでしまった隣で、荒澤さんは逆に「これならできそうだ」と目を輝かせていたのだった。
筆者近況
特に4月以降、様々なメディアで取り上げていただき、感謝感謝の今日この頃です。東京中日スポーツさんにはロング・ビーチのメディア懇談会を記事にしていただき、「夏開催!」というタイトルにおおいに焦りました。確か秋と言ったはずなのに・・・。5月14日は北海道最大の部数を誇る北海道新聞さんの、一面トップにどーんと掲載。まさかそれほど大きな記事になるとは思ってなかったので、おおいに慌てました。
(オートスポーツ誌 2006年6月1日号に掲載)