Interview

HPD堀内大資氏インタビュー〜2008アメリカン・ル・マン・シーズン・レビュー〜Vol.1

<US-RACING>
10月18日のアメリカン・ル・マン最終戦ラグナ・セカで、LMP2クラスのワン・ツー・フィニッシュを達成して今シーズンを終えたアキュラ。2008年シーズンは第3戦ロングビーチで宿敵ペンスキー・ポルシェを倒してシーズン初のクラス優勝を挙げると、第5戦ライム・ロックでは参戦17戦目にして初めての総合優勝を達成する。快進撃を続けるアキュラは第9戦デトロイトで総合ワン・ツー・スリーを独占。LMP2クラスの総合チャンピオンにはわずか1ポイント届かなかったものの、参戦2年目ながら総合優勝2回、クラス優勝6回という目覚しい活躍を見せてくれた。今回US-RACINGでは第6戦ミド-オハイオで行った総合優勝記念インタビューに続き、ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(HPD)のチーフ・エンジニア、堀内 大資氏に歴史的総合優勝を達成した2008年を振り返っていただいた。また、気になるLMP1クラス新型マシンの詳細や、来年11月に行われる予定のアジアン・ル・マン・シリーズについても話を伺った。(インタビュアー:齊藤広之)

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Q:アキュラのアメリカン・ル・マン・シリーズ活動は今年で2年目となりましたが、今シーズンは第5戦ライムロックで初めての総合優勝を挙げたほか、第9戦デトロイトでは総合ワン・ツー・スリーを独占するなど、2度の総合優勝を含む6度のクラス優勝というすばらしい活躍を見せてくれました。まず、最初に大きな進歩を遂げたアキュラの今シーズンを簡単に振り返っていただきたいと思います。

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堀内大資氏(以下:HD):「昨年の反省を踏まえた今年は、大飛躍できたシーズンでした。結果としては総合優勝2回を含むクラス優勝6回、ライバルのポルシェに対しては6勝5敗ですから勝率では勝っていますし、従業員のモチベーションが上がった結果としてこのような成績を出せたと思います。しかし調子が良いときは勝ち、負けるときは悲惨な負け方をするという状態で、結果としてタイトルを1ポイント差で逃すことにもなり、まだまだ総合力が足りません。
 緒戦のセブリングでの失格がなければチャンピオンを獲得できたわけですが、我々の品質管理、チーム側のクラッシュや給油のタイミングなど、まだまだ反省する点が明らかになってきたと思います。レースの運び方や戦略を来年のP1に結びつけたいですね」

Q:そういった意味では、ドライバーズ・チャンピオンをかけて挑んだロードアトランタでは、非常に悔しい結果(最高位はド・フェラン・モータースポーツの総合8位)に終わりましたね。

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HD:「ロード・アトランタは勝てると信じていたのですが、トップ走行中のアンドレッティ・グリーン・レーシング(以下AGR)がクラッシュに巻き込まれ、不運としか言いようがないです。もちろん、ほんとうに調子がよければ、クラッシュに巻き込まれるようなところを走っていないと思いますし、AGRに起こったことがペンスキーにも起こった可能性があります。どうしてあのクラッシュがペンスキーでなく、AGRに起こってしまったのかという答えは出ないと思いますが、常にトップを走っていた方が良いのかどうかを考えなくてはいけません。その点を踏まえて、来年はレースの作戦をもっと勉強したいです。この2年間、スポーツカーのレースをやってきて4クラス混走して走る面白さを自分でも理解できました」
(つづく)
この続きは来週木曜日にアップする予定です。