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NASCARスプリント・カップ・シリーズ 第2戦 フォンタナ【決勝】フォト&レポート

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 先週末にデイトナ500で幕を開けたNASCARスプリント・カップ・シリーズ。日本の2月はまだまだ寒いですが、アメリカン・モータースポーツはすでに熱く盛り上がっています。デイトナ500からわずか1週間で西海岸に飛び、第2戦の舞台はカリフォルニア州のオート・クラブ・スピードウェイ。昔からのファンにはカリフォルニア・スピードウェイやフォンタナといったほうが、なじみ深いかもしれません。今日のフォンタナは朝からどんよりとした曇り空で、気温は15度と肌寒く、Tシャツだけでは寒くてジャケットが必要なほどでした。ドライバーのファン・ジャケットを着込んだお客さんが大勢訪れて会場はにぎやかでしたが、グランド・スタンドの空席が目立ち、全米一の人気を誇るNASCARにも経済不況の影響が出ているのではないかと感じます。シーズン前に次々とチームの合併が発表され、参戦台数の減少も懸念されたなかでも、今日のレースには43台が出場。迫力あるNASCARのスタート・シーンはそのままでしたね。

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 第2戦を制したのは開幕戦のウイナー、マット・ケンセス。ジェフ・ゴードンとの壮絶なトップ争いをみごとに制して、開幕2連勝を果たしました。毎戦、超接近戦が繰り広げられるNASCARで勝ち続けることは難しく、デイトナ500のウイナーが翌週のレースを制したのは、61年の歴史をもつNASCARのなかでもケンセスが5人目だそうです。最後に開幕2連勝を達成したのは、この日2位でフィニッシュしたジェフ・ゴードンで、それも10年以上も前の1997年のことでした。その年ゴードンは自身2度目のチャンピオンを獲得しています。昨年未勝利に終わり、悔しい思いをしたケンセスが、2003年以来2度目のチャンピオンへ向けてすばらしいダッシュを見せています。

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 惜しくもケンセスに届かなかった地元カリフォルニア出身のジェフ・ゴードン。最後のリスタートとなった215周目から執拗にケンセスを攻め立て、237周目にその差はコンマ2秒まで縮まりました。しかし、そこからケンセスが盛り返し始めたことでゴードンは徐々に引き離され、最後はバックマーカーに引っかかって万事休す。地元優勝はお預けとなってしまいましたが、コース内側からウォールすれすれまでの全てのラインを使い切る豪快な走りに、地元のお客さんも沸いていましたよ。

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 トヨタ勢のトップは3位でフィニッシュしたカイル・ブッシュでした。土曜日に行われたネイションワイド・シリーズとトラック・シリーズで優勝し、同じ日に2つのカテゴリーを制覇するNASCAR史上初めての快挙を達成したブッシュ。トップ3カテゴリー3連勝をかけて挑んだカップ・シリーズでしたが、序盤から切れのある走りが見られません。それでも10番手から粘り強くポジションを上げていき、フルコース・コーション中の209周目に行われた最後のピット・ストップでは、迅速な作業で3番手に進出します。なんかとトップ2に喰らいついていきたかったものの、215周目にリスタートが切られると瞬く間にトップ2から引き離されてしまい、今日は3位を守るのが精一杯のようでした。昨年10勝をあげて大暴れしたトヨタ勢ですが、今年は昨年のような圧倒的なスピードが見られないのが少し心配です。ちなみに、ブッシュは今回、昨年と同じ電池会社のインターステイト・バッテリーズがメインスポンサーでした。いつもは黄色のM&Mチョコ・カラーがトレード・マークですから、この蛍光グリーンのカラーは新鮮ですね。

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 レース前半の主役は昨年のチャンピオンで、地元カリフォルニア出身のジミー・ジョンソンでした。2番手スタートから1周目で早くもトップに立ち、一時は後続を引き離す快走をみせますが、徐々に失速し始めて78周目にジェフ・ゴードンにパスされてしまいます。その後はトップ争いに加わるスピードを取り戻すことができず、9位でフィニッシュ。ジョンソンの凱旋レースを楽しみにしていた地元のお客さんには残念な結果になりましたが、同じカリフォルニア出身ドライバーのジェフ・ゴードンが2位に入ったことで、帳消しになったかもしれません。

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 2001、02、06年インディカー・シリーズ・チャンピオンのサム・ホーニッシュJr.は、今年もペンスキーから参戦しています。このレースでは、カリフォルニア・スピードウェイのスポンサーでもあるオート・クラブがメインでついていたので、良い結果を残したいところでしたが、26番手スタートの23位という微妙な結果に終わってしまいました。昨年、ホーニッシュJr.はオーナーズポイントで38位に終わったため、本来であれば決勝グリッドが保証されていません。現在は昨年解散したビル・デイビス・レーシングのNo.22が持っていたオーナーズ・ポイントを譲り受け、序盤5戦だけのグリッドを確保できているのですが、フル・シーズン参戦できるかは不透明な状況に陥っていますから、なんとか頑張って走り続けて欲しいですね。

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 1月に50歳を迎えたマーク・マーティンが、元気な走りを見せています。2007年を最後に第一線から退くことを表明しながら、2008年は36戦中24戦に出場。結局、今年はフル・タイム・ドライバーとして復活し、29シーズン目の初タイトルを狙うようです。開幕戦デイトナ500では2番手からスタートし、まだまだトップ・クラスのスピードを持っていることを証明してみせ、今日のレースではピット戦略の違いを利用してトップに躍り出ます。残念ながらエンジン・トラブルで179周目に姿を消してしまいますが、ほんとうに50歳なのか疑ってしまうほどのすばらしい走りでした。写真はNASCARいちの人気ドライバー、デイル・アーンハートJr.とのツー・ワイド。アーンハートも35番手スタートから上位を狙っていましたが、マーティンと同じくエンジン・トラブルで205周目にレースを終えました。

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 日が高いうちから夕暮れにかけて行われるトワイライト・レースだった第2戦。スタート直後に雨がぱらつき始め、7周目という早い段階でイエロー・コーションが出されてしまい、雨で順延となった昨年の苦い経験を思い起こさせます。それほど強い雨ではなかったため、22周目にレースは再開されましたが、43周目、142周目、171周目にも雨によるコーションが発生。この日5回あったコーションのうち4回は雨が原因で、そのたびにコースを乾かすジェットドライヤーが活躍してくれました。高速で走行するオーバルでは、わずかな雨でも危険なため、一時中断やレースそのものが順延されることもあります。自然にはかないませんから、今年のインディ・ジャパンには雨が降らないように、今からてるてる坊主を作っておきましょう。