雨が降ったり止んだりという難しいコンディションとなった土曜日の第1レース。完全なウェットで始まったもののドライとなり、中盤から再び降り出した雨と、雷によって47周目に赤旗となりました。本来70周で行われるレースでしたが、20分の中断を経てレースはキャンセル。アンドレッティ・オートスポーツのカルロス・ムニョスが初優勝を達成しました。
この日20番グリッドからスタートしたムニョスは、12周目の時点で12番手までアップ。コーションを利用した15周目の最初のピットでブラック・タイヤに履き替え、15番手でコースに戻ってから徐々にポジションを上げていきます。途中からまた降りだした雨で上位勢が次々とウェット・タイヤに交換していく中、ぎりぎりまでブラックで粘っていたムニョスは40周目にトップへ躍進しました。
26秒もの大量リードを築いて42周目にピットへ入ってウェットに交換し、トップのままコースに復帰した23歳のコロンビア人。落雷の危険があると判断したオフィシャルによって47 周で赤旗中断となり、そのままレース成立でムニョスが今季6人目のウィナーとなりました。インディ500のモントーヤに続き、コロンビア人が2連勝です。
2位は9周目という早い時点でブラックに交換していたマルコ・アンドレッティが入り、アンドレッティ・オートスポーツとホンダによるワンツーが達成されました。ホンダは第2戦ルイジアナ以来今季2勝目です。3位は2013年の第2レースで初優勝を達成していたサイモン・パジノウ(シボレー)が入り、ロジャー・ペンスキーの地元で表彰台を獲得しています。
今季ベストの予選4位からスタートした佐藤琢磨は、得意のウェット・コンディションの中でファン・パブロ・モントーヤ、エリオ・カストロネベス、ウィル・パワーといったペンスキー勢を次々とパスし、3周目にトップへ躍進。注目の最初のピットでもペンスキーやガナッシ勢を抑えることに成功し、2013年ロング・ビーチ以来となる勝利が見え始めたその時でした。
先にピットへ入っていたジョセフ・ニューガーデンとバトルの末に接触し、フロント・ウィングにダメージを負って緊急ピット・イン。18番手まで順位を落としてしまいます。途中から降り出した雨によって34周目の3回目のピットでウェット・タイヤに交換した琢磨は、44周目に9番手まで追い上げましたが、新しいレイン・タイヤに交換した直後に赤旗で中断となり、11位でレースを終えました。
「2ワイドでなく、シングルでのスタートと聞いた時は一台ずつ抜かなければならないので嫌だなと思ったのですが、いい感じでポジションを上げられました。雨量が残っている時点で、すごくいいペースで走れたと思います。去年のヒューストン以来のトップで気持ち良かったです」と琢磨は久しぶりにレースをリードした状況を語りました。
7.2秒と速かったピットに関しては「燃料をフルに入れなかったのと、後ろを1秒以上引き離してピットに入ったので、非常に良かったと思います」とコメント。問題のアクシデントは、「バックストレートでニューガーデンと競り合っていて並びかけていたんですけど、7番コーナーに入る前のキンクでけっこうな幅寄せをくらい、僕自身ほとんどラインが残っていなかったです」
「ブレーキする時は2台並ぶような形で、そのままインを獲るつもりだったんですけど、彼が迫ってきて縁石に乗り上げてしまい、僕の行き場がなかった状態でした。縁石に乗ってフロントが浮き、接触してフロント・ウィングの左側にダメージを負ってしまいました。もうちょっとお互いに、ラインをリスペクトした状態で戦いたかったです」
前回のインディ500に続いて2戦連続で接触するシーンが展開し、今回もリタイアとはならなかったものの大きく後退。しかも実質的なリーダーからの転落という、極めて残念なものでした。昨年は相手から接触されることはあっても、一昨年前までのような「アタックし過ぎ」と言われるような光景はほとんど見られなかったものが、この2戦でまた復活してきているように感じています。(斉藤和記)
●決勝リザルト
●ハイライト映像