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祭4戦サンパウロは最終ラップでヒンチクリフが佐藤琢磨をパスして優勝、琢磨2連覇ならず

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今年で4年目を迎えた第4戦サンパウロは、57周目にトップへ浮上した佐藤琢磨を、最終ラップの最終ターンでパスすることに成功したJ.ヒンチクリフが優勝しました。初優勝の開幕戦セント・ピーターズバーグに次いで、今季2勝目を達成です。ここで3連勝していたW.パワーはメカニカル・トラブルでリタイアし、ついにパワー以外のドライバーがサンパウロを制しました。
 

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予選5位からスタートしたヒンチクリフは、2度目のフルコースコーション中の21周目に最初のピットを終え、再びコーションとなったことで26周目にもピットへ入って燃料を補給。この時点で22番手まで順位を落としましたが、2ストップ作戦の上位勢がグリーンの最中に2度目のピットを余儀なくされた中、新品のレッドタイヤで追い上げました。この日6度目のフルコースコーションが52周目に発生し、53周目に最後のピットでユーズドのレッドに履き替えたヒンチ。59周目のグリーンで佐藤琢磨の後ろ2番手で再スタートし、いったん4番手まで順位を落としたものの、最後にプッシュトゥパスを残しておいた彼はファイナル・ラップの最終ターンで琢磨をパスしてそのままゴールしました。
 

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「ゴール・ラインを超えるまで、勝ったかどうか解らなかったよ」とヒンチクリフ。「琢磨の後ろでリスタートしたのに、順位を落としたのはタフだった。それほど多くの周回は残ってなかったからね。運よくクルマは良く、とても良い状態のレッド・タイヤを維持し、パジノウを抜くことができた。琢磨とジョセフ(ニューガーデン)のバトルに感謝しないと。あれがなかったら抜けなかったかも。最後のコーナーに入った時、琢磨はほんの少し行き過ぎたからパスできた。ラスト・ラップのラスト・コーナーで勝つなんて、これ以上カッコいいことはないね」
 

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レース後に議論となった琢磨のブロッキングについては「その時はブロックだと思ったけど、ここのバックストレートは蛇のように曲がっているのが特徴で、クルマがどこにいるのかをジャッジするのはきびしいよね」とヒンチ。「でもその後僕はアウト側に十分に早く行けたと感じたし、ブレーキもできた。じゃなかったらガードレールに突っ込んでたよ。確かに我々はそれを見て、何かを話さなければならない。けどそれ以外では、とても彼は良い仕事をしたし、そう、ファンが望む素晴らしいレースだった」
 

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予選12位からスタートした琢磨は、ロングビーチ同様今回も新品のブラックでレースに臨み、スタートで3つポジションを上げて9番手に浮上。さらに7番手へアップして最初のピットを迎え、クルーは素晴らしい速さでポジションを二つアップしてコースへ復帰します。ユーズドのレッドに交換した琢磨は、ブラックを履くR.ハンター-レイを34周目にパスしてトップに躍進。しかしアンドレッティ勢がピットインして燃料を足したように、燃料の心配があったチームは琢磨をレースのちょうど折り返しとなる38周目のフルコースコーション中にピットへ呼び寄せました。
 

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ここで19番手までポジションを落とした琢磨は、またもフルコースコーション中の42周目にピットへ入り、20番手にダウン。そこから追い上げを再開し、2ストップ作戦の上位勢がグリーンの最中に次々とピットインを強いられる運も味方していっきに順位を上げます。コーション中の53周目、4番手でピットへ入って燃料だけを補給し、57周目にトップへ再浮上。レースは残り18周、2連覇の期待が大きく膨らんだものの、38周目に交換したレッド・タイヤのままで、レースのほぼ半分を走りきらなければなりません。背後にはルーキーながら昨年のレース中にファステストを記録し、今回最後尾からスタートして追い上げてきたJ.ニューガーデンが琢磨に猛アタック。なんとか凌ぐことはできましたが、今度はヒンチクリフが琢磨に襲い掛かります。迎えた最終ラップ、タイヤが限界でブレーキにも問題を抱えていた琢磨は最終ターンでほんのわずかインを開けてしまい、そこへヒンチがダイブしてそのままゴール。過去のサンパウロのレースで最僅差となる0.3463秒差で2位フィニッシュとなりました。
 

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「もちろん勝てなかったことは悔しいですけど・・・」と切り出した琢磨。「今回僕らがここに持ってきたパッケージと、プラクティスから予選にかけてのパフォーマンスを見れば、今日は優勝に向けてチャレンジできるとは思えないぐらい、かなり苦しんでいました。予選からウォームアップ、それから今日のレースとチームはすごいリカバーをしてくれたし、素晴らしい仕事をして送り出してくれたので、ほんとうに今日は楽しくレースできました。でも最後の10周はきつかったですね。タイヤもワンスティント以上、37周使ったし、ブレーキにも少し問題を抱えていて、最後、ほんとうに大変でした。その中での2位だったので、ほんとチームにとっては素晴らしい結果だと思うし、僕にとってもチャンピオンシップをリードしているって意味ですごく良いレースだったと思います」
 

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今年はほんとうに手堅いレースを展開しているM.アンドレッティが3位。マルコも琢磨と同じく4度ピットに入っており、25周目に燃料を足しておいたことが、最後のピットを53周目まで伸ばせた要因となりました。ということは、ヒンチ同様マルコも一時22番手まで順位を落としていたわけで、そこから追い上げての3位は素晴らしいですね。「昨年まではアグレッシブすぎて、それが良くなかったのをオフシーズンに気がついたんだ。リスタートで順位を落としたのは、プッシュトゥパスを最後に使うためだよ」とマルコ。やっと一皮向けた感じの孫ちゃん、琢磨と13ポイント差のランキング2位ですよ!
 

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一方、予選ではコースレコードを塗り替える速さで、今年2度目となるポールポジションからスタートしたR.ハンター-レイは、昨年優勝したW.パワー同様、王道とも言うべき2ストップ作戦を採用。しかしタイヤがパンクする不運に見舞われ、2度目のピットを予定よりも早く入らなければならなくなりました。最終的に終盤に向けて順位を落とし、11位フィニッシュのランキング6位となっています。
 

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インディ500にも劣らないほどの大歓声が上がったのが、T.カナーンがトップに立った瞬間でした。95年のリオデジャネイロで地元出身のアンドレ・リベイロがトップに立った時のような、熱狂的な声援で久しぶりに驚きましたよ。右手をケガしながらも大奮闘した地元のヒーローは、2番手を走行中にまさかの燃料切れ。サンバドロームのメインストレートにマシンを止め、ピットへと牽引されてコースに復帰しますが、3周遅れの21位フィニッシュに。おつかれさまでした。
 

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今回、2000年の最後のリオデジャネイロ戦以来のブラジルとなりましたが、相変わらずサンバな国ですね。その盛り上がり方はやっぱりアメリカにはないもので、声援がオクターブは高いような気がします(笑)。で、そのブラジリアンを熱狂させたのが琢磨やヒンチ、ニューガーデンというのもまたうれしい。もうガナッシやペンスキーはどこへ行ったというほど、今年の序盤はここ数年とまったく違う展開になっていますね。やはり地元のヒーローが活躍するのは素晴らしいです。インディ・ジャパンで琢磨の走りをみんなに見て欲しいなぁーと、つくづく思ったサンパウロ戦でしたよ。
 

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明日水曜日は恒例のUSTREAMレポートです。22時からスタートしますので、みなさんぜひご覧ください!また乾杯する?
 
●決勝公式リザルト

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●決勝ハイライト映像