INDY CAR

2012年の新エンジン・ルール概要

2012年から再開するエンジン・バトル。すでにシボレー、ホンダ、ロータスはコース上で13500マイル以上にわたるテストを行いました。昨日レギュレーションの概要がIndyCar.comに掲載されたので、早速見てみましょう。
 
INDYCARはエンジン・バトル再開にあたり、エンジン・コミッティを設立。INDYCARの技術部門副社長であるウィル・フィリップスを議長とし、それぞれのエンジン・マニュファクチャラーの代表者によって成立する諮問委員会となっています。
 
エンジン・ルールはどのような訂正や修正も、このエンジン・コミッティとの協議を経てINDYCARによって決められ、2016年シーズンまで安定して施行されることになっています。
 
興味深いのはその供給方式で、マニュファクチャラーはエンジンを一括してINDYCARへ供給し、INDYCARのオフィシャルがランダムな方法で、各チームに割り当てることになります。
 
INDYCARのエンジン・サポート・エンジニアは、承認されたレギュレーションを確実に遵守するため、選出されたマニュファクチャラーのエンジンのトルク・センサーを使ってモニターします。
 
エンジンの承認は来週行われ、コンポーネントの封印を義務化。その後6月18日と年末に再び計測され、2.5%以上パワーが不足しているマニュファクチャラーは、INDYCARの裁量において改良が承認されます。エンジンの交換はパワーが2%不足していた時にだけ許されます。
 
また、マニュファクチャラーはエンジン・コンポーネントの変更とマクラーレン・ソフトウェアの変更を求めることができ、情報はINDYCARと他のマニュファクチャラーで共有されることになります。
 
CART時代のようなコスト上昇を防ぎ、より公平性を高めるためのルールで、過度なエンジン・バトルを抑えたいというINDYCARの思惑が読み取れます。エンジン・パワーが決められている中で、どうやって勝負するのかが気になるところ。そのあたりをぜひ技術者に聞いてみたいものです。
 
●エンジンの基本ルール
最大排気量:最大2.2リットル
シリンダー:1気筒あたり同じ容量を持ち、6気筒まで
回転数:ECU(エンジン・コントロール・ユニット)によって制限された12000回転
馬力:サーキットのタイプ別に550〜700馬力の間
燃料:E85。許可されたフューエル・インジェクション
オイル:一般大衆が容易に入手できるオイルのみ
過給圧:ロードコースは155KPa、ショート・オーバルは140KPa、スピードウェイは130 KPa、INDYCARによってブースト・センサーがふたつ着けられ、モニターされる
最少重量:112.5kg。クラッチ、ECU、液体(燃料やオイルなど)、ターボ・チャージャーを除く
ターボ・チャージャー:シングルもしくはツインで、ボーグワーナーによって供給された水冷式のベアリング・ハウジングとチタン・タービン・ホイールを持つ
搭載:隔壁(バルクヘッド)とギアボックスのエンジン搭載ポイントは3つのマニュファクチャラーに共通する
エンジン・ライフ:1850マイル。フル・シーズンの参加者は1台につきフレッシュなエンジンを年間5基受け取れる
プッシュトゥパス:シーズン・スタート時はなし
KERS:No
ポップーオフ・バルブ:No
トラクション・コントロール:No
アンチ・ストール(エンジン停止防止):Yes
 
●エンジン構造
バンク角度:V6エンジンは60〜90度
ボア:最大直径95ミリ
エンジン全長:460ミリ、搭載面から搭載面までを計測
クランクシャフト高さ:シャシーの底面(オイルパンの最も下のポイント)から天上まで100ミリ
ワン-ピース・クランクシャフト:非鉄の混入、もしくはウェイト・バランスがボルトオンで追加されていない状態で承認されたもの
メイン・ベアリングの最小寸法:直径48ミリ
ビッグ・エンド・ジャーナルの最小寸法:直径40ミリ
コネクティング・ロッド:溶接もしくは接着されていない状態で認証されたもの
ピストン・ピン:シングルピースのみ