INDY CAR

第14戦ボルティモアのベスト・ショット&撮影裏話です!

初開催となったボルティモアはメリーランド州にあり、アメリカの首都ワシントンD.C.から北東に車で1時間ほどのところに位置します。ボルティモア・ワシントン国際空港からだと、ダウンタウン中心部のボルティモア・オリオールズ・スタジアム周辺に特設されたサーキットまでは電車での移動も可能で、25分くらいで到着することができます。
 
ということでボルティモア国際空港からレース場まで、今回はレンタカーではなく、珍しくというか初めて電車で通ってみたのですが、移動はけっこう大変でした。まあ、その内容についてはいずれfrom USのコラムでお伝えしたいと思っているのでね、しばしお待ちください。なるはやでお伝えしたいとは思っております。はい。
 
今回のボルティモアは初開催のストリート・コースなので、やはりいざ現場にいってから、なにかと問題が発生しました。たとえばレース・ウィークエンド前にアメリカ東海岸を襲ったハリケーン“アイリーン”の対策として、コンクリート・ウォール上に設置するフェンスを外しておいたんだそうです。
 
しかしその再設置作業に思ったより時間がかかり、走行初日となった金曜日にすべての作業が終わらず、プラクティスの開始時間がどんどん遅れてしまいました。結局、2回予定されていてプラクティスは夕方1回だけの走行だけとなったのですが、まあ、走ることができたのは良かったですよ。
 
この日、朝から現場にはいたので、当初予定されていた正午からのプラクティスのスタート時間が遅くなればなるほど、時間をもてあますことになりました。それだったらその暇な時間にコンピューターとにらめっこしているよりはね、初めての開催地なんでコースの下見をしたほうがいいんじゃないかと気づき、撮影ポイントをチェックするためにコース周辺を歩いて回ったのです。
 

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まずはターン1へ。コース外側のコンクリート・ウォール後ろからスタート・シーンを正面で撮影できれば問題なかったのですが、どうも無理そう。それじゃあ、どこから撮影したらいいかなって辺りを見回すと、ターン1のメインストレート・エンドのエスケープゾーンの、さらに奥に歩道橋のようなものがあり、そこから撮れるかもしれないと漠然と想像できました。
 
気になったので行ってみたのですが、ターン1の進入を正面受けでやや俯瞰から撮影できそうなものの、電線などが邪魔をしてあまりよくないことも判明。うーん、どうしたもんかと撮影初日からスタート撮影に悩むことになりましたよ。結局、スタート&フィニッシュ・ライン近くの、フロント・ストレートを跨ぐ橋から撮影したんですけどね。
 

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その後、フォト・ホールの場所を確認しつつターン3のヘアピンへ。ここも撮影スポットはあるのですが、なんか中途半端な場所にホールがありましたよ。おじさんが笑顔でフォト・ホールの場所をふさいでいます。
 

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ヘアピンを広い画で撮れそうな場所にはまだホールは開いていなくてね(写真はターン3のコース外側。結局レース当日までにホールが開いたのかは不明)、まあ、フェンスの網の目が大きいので、ワイドレンズなどはその網の目を通して撮影ができることは救いでした。流し撮りができないので、撮影は大変だったんですが。
 

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うーむと考えながら移動し、ターン4のコース内側にフォト・ホールを発見。するとライアン・ハンター−レイがゴルフ・カートに乗ってね、エンジニアとコースの下見をしていました。
 

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そのターン4のコース内側にハイアット・ホテルの駐車場を発見。なんとか4〜5階まで行ければ俯瞰でマシンを撮影できるんじゃないかと思っていたのですが、実際走行が始まって入ろうとしたら、セキュリティに「入っちゃだめだよ」としっかりとガードされました。来年はこのホテルに泊まってね、ホテル内から駐車場に移動して上からがんがん撮影してやると誓いましたよ。もちろん値段次第ですが・・・。
 

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ここがターン5のシケインを外側から見た感じです。いかにもタイヤを縁石に載せてジャンプしていきそうだなって感じのターンですね。しかもバックにはホンダのホスピタリティもありますよ。この週末は来ていないと思っていたのでね、ちょっとした撮影ポイントを見つけるよりも、うれしい発見でした。おかげで朝とお昼ご飯にありつけましたから。
 

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ターン7の手前には路面電車の線路が通っているのですが、実はここにカムデン・ヤードというオリオールズの野球場に行く最寄りの駅があるんです。今回電車で空港のホテルから通うぞと決めたのは、この駅まで行けると思っていたからだったのですが、コースができたためにひとつ手前の駅で電車はストップ。これはね、残念でした。
 

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現場に来て判明したのですが、ターン7手前の路面をスムーズにするために、なんと線路をアスファルトで埋めちゃっているんですよ。大胆にも。これじゃ、電車も通過ができねぇなと、あきらめがつくってもんです。元どおりにするの大変だろうって心配になりましたが、この思い切りの良さもアメリカならでは。
 

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ここはターン8でピットの出口にもなります。ストリート・コースでは珍しく正面受けでピット・アウトが撮れることを発見したのですが、レース中には残念ながら行くことができませんでしたよ。来年こそは行きたいなと思っていますが。
 

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ここはターン9です。ストリート・コースにしては珍しく、緩やかで幅の広いターンですね。
 

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これがターン10でして、コース内で唯一の並木通りとなっております。なんだかピットの正面撮影ができることといい、この並木道といい、デトロイトの市街地コースを思い出させる雰囲気があります。
 

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ターン11のコース外側にはレンガ造りの建物があり、そこには変わったネーミングのスライダー・バーや、ピクルス・パブといった雰囲気のあるお店があってね、ここをバックに撮ったらストリート・コースっぽくていいんじゃないかなと考えながら、最終コーナーへ移動。
 

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ターン12はコース外側からの撮影がベストだべなって確認し、いよいよシケインへと向かいます。
 

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このコースの目玉とも言えるのは、やはり最終コーナーを過ぎた後のフロント・ストレートにあるシケインではないでしょうか。コースを路面電車の線路が横切っているので、そこの段差の前でスピードを落とすためにシケインを設置。なんかこれ、あらためて見ると茹でたタコの足のぶつ切りに見えないですか。僕だけ?
 
シケインの設置間隔もタイトでね、通過するの大変だろうなっていうのが第一印象でしたよ。
 

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実際に線路の段差を見て、シケインを設置しなければならないのはうなずけましたが、他のカテゴリーのドライバーがチェックに来たら、マンホールもあるしほんと大丈夫かなって感じでけっこう不安そうでしたね。
 

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ただひとつ言えることは、このシケインはとても大きなジャンピング・スポットになるのは間違いないということ。早速フォトホールはどこだと探してみると、一番重要な最初のシケインの進入を撮影できそうな場所にはホールがなく、ただピンクのテープが四角に張られて×マークがついているだけでした。
 
まあ、決勝までにはホールを開けてくれるだろうと思ってはいたのですが、いざレース中に行ってみるとね、フェンスが黒くスプレーで塗られているだけで、ホールはありませんでした。ただ、そこまで行くのがね、実は大変で。このコンクリート・ウォールと観客席とのフェンスの間が、人ひとりやっと通れるくらいで、カメラ機材をこすらないように、約30メートルも移動しなければならないのです。
 
インディカー写真
 
なんでね、ここまできたんだから、なんとかフェンス越しにでも撮影していかねばということで撮ったのが、今回のこの写真です。苦労しただけあり、最初のシケインの進入で右フロントを浮かせたウィル・パワーの写真を撮影できました!
 
ウィルはこのシケインでも実にスムーズでね。激しい乗り方はせずに、縁石側のタイヤを少し浮かせるだけで「すいー、すいー、すいー」っといった感じで通過していくんです。しかも毎回ほぼ同じライン。なんかね、これがロード&ストリート・コース王者の走りなんだなって、あらためて思ったシケインでの走りでしたよ。
 
Photo & Text by Hiroyuki Saito
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 70-200mm f/2.8 IS USM + EXTENDER EF 1.4×?
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/640
絞り値: F7.1
測光方式: 評価測光
ISO感度: 200
焦点距離: 280.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
※第14戦Pick the Winnerのプレゼントはこちらの写真となります。