INDY CAR

ダリオ・フランキッティが今季2回目のポールポジションを獲得 プラクティスから好調の佐藤琢磨は予選8番手

<Honda>
2011年8月13日(土)
予選
会場:ニューハンプシャー・モーター・スピードウェイ
天候:晴れ
気温:29〜30℃
ニューハンプシャー州はアメリカ東北部の大西洋に面しており、この周辺の6州はニューイングランド地方と呼ばれています。全長1マイルのニュー・ハンプシャー・モーター・スピードウェイが、豊かな緑と水に恵まれたこのエリアに建設されたのは1990年のことでした。92年からはCARTインディカー・ワールド・シリーズが4年続けてレースを開催し、その後はIRLインディカー・シリーズがそれを受け継ぐように98年までの3年間レースを行いました。
その後の12年間、ニューハンプシャー州ラウドンの1マイル・オーバルでインディカー・レースが行われることはありませんでしたが、ニューイングランド地方のファンの強い要望が叶い、今年からついにカレンダーへの復活が果たされました。
ストレートが長く、コーナーがタイトなコースレイアウトを特徴とするニューハンプシャー・モーター・スピードウェイは、ストレートとコーナーのスピード差の大きく、コーナーのバンク傾斜角度は最もイン側の2度から最もアウト側の7度まで段階的に急になっていくため、マシンセッティングが非常に難しくなっています。そこでインディーカーは木曜日をオープンテストデーとし、5時間半の走行時間を用意。土曜日には2回のプラクティスを予選前に行いました。

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出場者たちが十分な走り込みを行ったあとで開催された予選では、ポイントリーダーのダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)がポールポジションを獲得しました。2周の合計タイムは43秒1976で、ただ1人平均スピードを時速170マイル台に乗せる見事なアタックでした。フランキッティと彼のチームは卓越したエンジニアリング能力とドライビングにより、ポールポジションとそれによるボーナスポイント1点を獲得しました。このポールポジションはフランキッティにとって今シーズン2回目、キャリア26回目で、インディカー・シリーズの歴代9位にランクされることとなりました。
予選2番手はオリオール・セルビア(Newman Haas Racing)で、タイムは43秒4549。フランキッティとのタイム差は0.2573秒という大きなものでしたが、セルビアは今シーズンのベストグリッドを確保しました。3番手はトニー・カナーン(KV Racing Technology-Lotus)で、トップ3グリッドはベテラン勢によって占められました。しかし、4番手にはルーキーのジェームズ・ヒンチクリフ(Newman Haas Racing)が食い込み、5番手にはライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)がつけました。そして、6番手はライアン・ブリスコー(Team Penske)、7番手はスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)と続きました。
ポイントランキング2位につけるウィル・パワー(Team Penske)は、初めてのコースにマシンやドライビングをフィットさせるのに苦しみ、チームメート2人はトップ10入りしましたが、彼1人が予選13番手という厳しい結果となりました。

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佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)は、予選前のプラクティス2回でトップ5入りしていたことから予選でも上位グリッド獲得が期待されましたが、マシンのセッティングがコースコンディションにマッチせず、43秒6573(平均時速169.044マイル)で予選8番手となりました。

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今回のレースには27台がエントリーしましたが、予選直前のプラクティスでターン1外側のウォールに激しくヒットした女性ルーキーのピッパ・マン(Panther Racing)は、アクシデントのインパクトが大きかったことから、インディーカーのメディカルスタッフによって今週末のレースへの出場を許可されず、エントリーを取り下げています。
<コメント>

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ダリオ・フランキッティ(ポールポジション)
「テストとプラクティスでマシンセッティングを向上させ、予選アタックで初めてコーナーも全開で走ることができました。計測1周目のターン1では、マシンがグリップを保ってくれるか不安がありました。実際にマシンはスライドを始めましたが、どうにかグリップをし続けてくれました。チームがすばらしいマシンを作り上げてくれました。それが今日のポールポジション獲得につながったと思います。予選直前のプラクティスでは路面のコンディションが悪くなっていたため、私とエンジニアはマシンをどうセッティングすべきかを深く話し合い、それがいい結果をもたらすこととなりました」
オリオール・セルビア(2番手)
「プラクティスまでの私たちは、ポールポジション争いができる仕上がりとは映っていなかったかもしれません。しかし、私たちは予選だけに集中したセッティングをしていたのではありません。いかにして多くの有益な情報を得られるか、それがプラクティスでは求められます。私たちはプラクティスまでに集めたデータを分析し、予選には期待通りの速さを発揮するマシンを用意できました。これはNewman Haas Racingというチームの持つ能力の高さによるものです。強力なライバルたちより前のグリッドからスタートできることは、明日のレースで大きなアドバンテージになるはずです」
トニー・カナーン(3番手)
「自分としてはもう少し速く走れるつもりでした。そうできなかったのは残念でしたが、それでも3番手に入れたのですからうれしく思います。今週の我々はクジ引きで早めのアタック順を引いていたため、いいラップタイムを出すのには不利な状況にありました。予選の後半になるにつれ、路面にタイヤラバーが乗ってグリップが高まるからです。そうした不利を乗り越えて3番手という上位グリッドを確保できたのはKV Racing Technology-Lotusのクルーたちがすばらしい働きをしてくれたからです。明日、私たちはいいレースを戦えるという自信があります。ただ、ニューハンプシャーのコースは、今回初めて走ってみて、とてもオーバーテイクが難しくなるとわかりました。コーナーにある路面の継ぎ目はグリップを失わせる働きをしており、バトルをさらに難しくするでしょう」

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佐藤琢磨(8番手)
「路面のコンディションは直前のプラクティスと比べてよくなっていたため、もっといいタイムを出せると思い、自分でもアタックを非常に楽しみにしていました。しかし、走り出してみるとマシンの抵抗が大きかったのか、思いきり攻めてはいたのですが、スピードが伸びませんでした。その点はちょっと心残りです。このコースはオーバーテイクが非常に難しいという印象ですが、レースは長いのでタイヤをうまくマネージメントし、速いペースを保ち続けることがカギになると思います。スタートやリスタートでアクシデントに巻き込まれることなく、しっかりとゴールまで戦いきりたいと考えています」
ロジャー・グリフィス|HPD テクニカル・ディレクター
「ニューイングランド地方はすばらしい自然に恵まれ、親しみやすい人々が住んでいます。そして、ニューハンプシャーのコースはとてもユニークで、テクニカルなエキサイティングなものです。マシンセッティングもドライビングも難しいコースは、Hondaが1995年にアメリカン・オープンホイールで初めての勝利を挙げたものでもあります。予選ではダリオ・フランキッティがポールポジションを獲得し、1点を加算。チャンピオン争いのライバル、ウィル・パワーは13番手と中団グループからのスタートとなるため、明日のレースではポイント差がさらに広がる可能性も十分にあります。しかし、Team Penskeの力を侮ることはできません。プラクティスまでは苦戦気味と映っていた彼らが、予選では2人がトップ10入りを果たしました。レースに向け、彼らがさらにマシンのセットアップを向上させてくることは十分に考えられ、レース巧者の彼らであれば上位へとポジションを上げてくることは可能でしょう。今週末のパフォーマンスとしては、Newman Haas Racingが非常にいいものを見せています。オリオール・セルビアは予選2番手、ジェームズ・ヒンチクリフは予選4番手でした。ペーパークリップのようなカタチをしたコースは、コーナーがタイトであるためにタイヤへの負担が大きいと思います。決勝レースではタイヤの使い方に長けたドライバーたちが優勝争いを行うことになるのではないでしょうか」
<予選リザルト>
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
1 10 ダリオ・フランキッティ Chip Ganassi Racing D/H/F 0:43.1976
2 2 オリオール・セルビア Newman Haas Racing D/H/F 0:43.4549
3 82 トニー・カナーン KV Racing Technology-Lotus D/H/F 0:43.4890
4 06 ジェームズ・ヒンチクリフ Newman Haas Racing D/H/F 0:43.5168
5 28 ライアン・ハンターレイ Andretti Autosport D/H/F 0:43.5219
6 6 ライアン・ブリスコー Team Penske D/H/F 0:43.5524
7 9 スコット・ディクソン Chip Ganassi Racing D/H/F 0:43.6391
8 5 佐藤琢磨 KV Racing Technology-Lotus D/H/F 0:43.6573
9 3 エリオ・カストロネベス Team Penske D/H/F 0:43.6981
10 83 チャーリー・キンボール Chip Ganassi Racing D/H/F 0:43.8155
11 4 J.R.ヒルデブランド Panther Racing D/H/F 0:43.9164
12 27 マイク・コンウェイ Andretti Autosport D/H/F 0:43.9672
13 12 ウィル・パワー Team Penske D/H/F 0:44.1886
14 19 アレックス・ロイド Dale Coyne Racing D/H/F 0:44.2242
15 7 ダニカ・パトリック Andretti Autosport D/H/F 0:44.2356
16 77 アレックス・タグリアーニ Sam Schmidt Motorsports D/H/F 0:44.2421
17 59 E.J.ヴィソ KV Racing Technology-Lotus D/H/F 0:44.3148
18 22 トーマス・シェクター Dreyer & Reinbold Racing D/H/F 0:44.3561
19 14 ヴィットール・メイラ A.J. Foyt Enterprises D/H/F 0:44.3901
20 18 ジェームズ・ジェイクス Dale Coyne Racing D/H/F 0:44.6556
21 24 アナ・ベアトリス Dreyer & Reinbold Racing D/H/F 0:44.7387
22 26 マルコ・アンドレッティ Andretti Autosport D/H/F 0:44.8027
23 38 グラハム・レイホール Chip Ganassi Racing D/H/F 0:45.0505
24 34 セバスチャン・サーベドラ Conquest Racing D/H/F 0:45.4755
25 67 エド・カーペンター Sarah Fisher Racing D/H/F 0:45.6304
26 78 シモーナ・デ・シルベストロ HVM Racing D/H/F 0:46.8758
27 30 ピッパ・マン Rahal Letterman Racing D/H/F –