INDY CAR

ダリオ・フランキッティが今シーズン初ポールポジション 佐藤琢磨が初挑戦の難コースで予選5番手を獲得

<Honda>
2011年6月18日(土)
予選
会場:ザ・ミルウォーキー・マイル
天候:快晴
気温:24℃
ウィスコンシン州の首都はマディソンですが、それ以上に大きな都市であるミシガン湖岸のミルウォーキーにザ・ミルウォーキー・マイルがあります。1903年に初めてのレースを開催した全長1マイルのショート・オーバルで、インディアナポリス・モーター・スピードウェイを超える歴史の長さから、伝説のオーバルと呼ばれています。
昨年はレースを開催しなかったミルウォーキーですが、今年はインディカー・シリーズへの復活を果たしました。最大9.25度のバンクを持つフラットなオーバルでのレースは昔からのファンに多大な支持を集めているだけでなく、ドライバーたちにもチャレンジのしがいがあるコースとして高い支持を得ています。
今週末は金曜日から走行が開始され、土曜日も予選の前に2回のプラクティスがスケジュールされました。出走する26台のマシンは全長1マイルの短いコースを存分に走り回り、予選でのアタックラップ用、そして決勝に向けたロングラン用のデータ収集に努めていました。

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夕方の4時過ぎに開催された予選では、ダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)が今年初のポールポジションを獲得しました。彼は2周連続のアタックで42.7766秒=平均時速170.841マイルをマーク。予選前のプラクティス2回で最速タイムを続けて記録したことが示すとおり、フランキッティのマシンはコンディションが非常によく、予選でただ一人、170マイル台に手を届かせました。

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予選2番手はエリオ・カストロネベス(Team Penske)のものとなりました。プラクティスでは8番手のタイムしか出せずに苦戦していましたが、2人のチームメートより後に走るという走行順も味方につけ、フランキッティに0.2120秒差の42秒9886=平均時速169.999マイルで2周を走りきってみせました。コンディションを読んだセッティング変更と、ドライバーの豊富な経験とテクニックが噛み合ってのフロントロー・グリッド獲得でした。彼はこのアタックにより、Chip Ganassi Racingのフロントロー独占を阻みました。スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は予選3番手へと後退し、予選4番手はトニー・カナーン(KV Racing Technology-Lotus)のものとなりました。

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佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)は予選5番手でした。今年はオーバルコースで10番手、4番手、5番手とコンスタントに上位の予選結果を手にしています。金曜日のテスト走行では16番手のタイムしか出せずにいましたが、チームメート3台のデータを総合することでマシンのレベルを引き上げ、カナーンが4番手、佐藤が5番手、そしてE.J.ヴィソが6番手と、トップ6に3台が食い込みました。

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明日の決勝は225マイル。225周で争われます。スタートからゴールまで繰り広げられる高速での接近戦は、激しい順位争いと目まぐるしいポジション変動が見られ、トラフィックをも巧みに利用したドライバーが勝利を収めることになるでしょう。
<コメント>
ダリオ・フランキッティ(ポールポジション)
「予選のアタック1周目にターン3でマシンが横を向きかけました。それでも僕はアクセルを緩めずに走り抜けた結果、何も起こらずに済みました。2周目、同じ場所で1周目以上のオーバーステアが出るのはわかっていたので、マシンが横を向き始めるタイミングを予測し、思い切り集中して走りました。予想した通りにマシンは滑りましたが、ここでも僕はマシンを信頼し、アクセルを緩めませんでした。勇気のいるアタックだっただけに、こうしてポールを獲得できたことはとてもうれしく思います。今日の予選で僕がドライブしたコントロールができるギリギリの状態のマシンは、実は完ぺきに近いセッティングだったということです」
エリオ・カストロネベス(2番手)
「予選でギャンブルに出て、それが成功しました。ターン3、ターン4で、マシンの挙動が少し変わるようにセッティングをしました。その結果、1周目にいいタイムが出せましたが、とてもドライビングが難しく、『もうピットに入っていいか?』と聞いたぐらいでした。ポールを獲得するには2周目にさらにいいタイムを出さねばならず、それは果たせませんでした。明日のレースも激しい戦いになると思います。レース用のセッティングはテスト時にたっぷりやりましたし、今週もここまでずっとレース用セッティングをメインにしてやってきています。予選順位より上位でのゴールをレースでは実現したいです」
スコット・ディクソン(3番手)
「ベストを尽くした予選でした。自分としては全面的にではありませんが、かなり納得のいくアタックができました。しかし、チームメートのダリオ・フランキッティの方がいいタイムを出し、エリオ・カストロネベスが2番手の座をさらっていきました。僕らのマシンの調子はとてもいいです。レースでは高い戦闘力を見せることができると確信しています。もちろん、楽に勝たせてもらえるレースにはならず、激しいレースになると思います。ここのリスタートは、コースのレイアウトからスピードを低くせざるを得ないので、2列でターン1へ飛び込むのもそんなに大きな問題にはならないでしょう」

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佐藤琢磨(5番手)
「金曜日の走行では、まだマシンも本当にいい状態にはなっておらず、自分自身もコースに十分に慣れていませんでしたが、3カー体制で色々とトライしているので、セッティングのいいところを取り出し、非常に戦闘力の高い予選用マシンに仕上げることができました。今日のプラクティスからスピードをどんどんと上げていくことができ、予選では自信を持ってアクセルを踏んでいくことができました。5番手といういいポジションを手にできたのはうれしいです。明日は225周という長丁場。好ポジションからのスタートとなるので、混乱に巻き込まれないようにして最後まで走りきりたいと思います」
ロジャー・グリフィス|HPDテクニカル・ディレクター
「ダリオ・フランキッティ、エリオ・カストロネベスらが見せたポールポジション争いは、非常に見応えのあるものでした。全長1マイルのコースで平均時速が170マイル以上という見事なラップを彼らは見せてくれました。今回の予選ではKV Racing Technology-Lotusが3台を上位に食い込ませました。すばらしいパフォーマンスでした。彼らのチームは力をつけてきています。佐藤琢磨は初めてのミルウォーキーとは思えない力強い走りを見せています。明日のレースは、ミルウォーキーならではのオーバーテイクやサイド・バイ・サイドのバトルが多いスリリングなものになるでしょう。多くのファンが集まってくれることと楽しみにしています」
<予選リザルト>
順位 No. ドライバー チーム C/E/T タイム
1 10 ダリオ・フランキッティ Chip Ganassi Racing D/H/F 00:42.7766
2 3 エリオ・カストロネベス Team Penske D/H/F 00:42.9886
3 9 スコット・ディクソン Chip Ganassi Racing D/H/F 00:43.0942
4 82 トニー・カナーン KV Racing Technology-Lotus D/H/F 00:43.1493
5 5 佐藤琢磨 KV Racing Technology-Lotus D/H/F 00:43.1640
6 59 E.J.ヴィソ KV Racing Technology-Lotus D/H/F 00:43.2217
7 28 ライアン・ハンターレイ Andretti Autosport D/H/F 00:43.2390
8 6 ライアン・ブリスコー Team Penske D/H/F 00:43.3456
9 26 マルコ・アンドレッティ Andretti Autosport D/H/F 00:43.3822
10 2 オリオール・セルビア Newman Haas Racing D/H/F 00:43.4172
11 24 アナ・ベアトリス Dreyer & Reinbold Racing D/H/F 00:43.5355
12 38 グラハム・レイホール Chip Ganassi Racing D/H/F 00:43.5847
13 22 ジャスティン・ウィルソン Dreyer & Reinbold Racing D/H/F 00:43.5984
14 19 アレックス・ロイド Dale Coyne Racing D/H/F 00:43.7182
15 7 ダニカ・パトリック Andretti Autosport D/H/F 00:43.8185
16 06 ジェームズ・ヒンチクリフ Newman Haas Racing D/H/F 00:43.8766
17 12 ウィル・パワー Team Penske D/H/F 00:43.9584
18 4 J.R.ヒルデブランド Panther Racing D/H/F 00:44.0056
19 77 アレックス・タグリアーニ Sam Schmidt Motorsports D/H/F 00:44.0158
20 27 マイク・コンウェイ Andretti Autosport D/H/F 00:44.0232
21 83 チャーリー・キンボール Chip Ganassi Racing D/H/F 00:44.1326
22 14 ヴィットール・メイラ A.J. Foyt Enterprises D/H/F 00:44.1904
23 18 ジェームズ・ジェイクス Dale Coyne Racing D/H/F 00:44.3409
24 34 セバスチャン・サーベドラ Conquest Racing D/H/F 00:44.4417
25 67 エド・カーペンター Sarah Fisher Racing D/H/F 00:44.7509
26 78 シモーナ・デ・シルベストロ HVM Racing D/H/F –