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第95回【100周年】インディ500デイリー・クォリファイ・レポート

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5月22日【バンプデー】最後にマルコ・アンドレッティがチームメートのライアン・ハンターレイをバンプ・アウト!
 
6時間のセッション中、2度の雨によってすっかりペースを乱されたアンドレッティ・オートスポーツ(AA)。ダニカ・パトリックの1回目は車検でパスできず、2回目は直前の雨で中止。雨が止んだ4時43分にやっとアテンプトし、26番手を確保できました。
 
ダニカが通って一安心かと思いきや、試練はまだ続きます。その時点のオンザバブル(OTB)はなんとチームメートのマルコ・アンドレッティで、第3戦ロング・ビーチで初優勝した同チームのマイク・コンウェイは、まだ予選を通っていなかったのです。
 
さらに、マルコがバンプアウトされても、次にOTBとなるのは同チームのライアン・ハンター-レイでした。緊迫した状況が続く中でコンウェイは懸命にアテンプトを繰り返しますが、とうとうスピードアップできないまま規定の3回を終えることに・・・
 
昨年大クラッシュして残りのシーズンを棒に振ったコンウェイ、今年もまた悪夢のインディ500となってしまいました。しかしそのショックを癒す間もなく、昨年4位のアレックス・ロイドが残り8分で、なんとマルコをバンプアウトしてしまったのです。
 
まだ誰もグリッドが決まっていなかったデイル・コイン・レーシング(DCR)にとって、ロイドは最後の頼みの綱でした。その期待に応えるべく、ラスト・アタックに挑んだロイドは土壇場で、223.917mphを記録! われんばかりの歓声が上がります。
 
続いてDCRのジェイムズ・ジェイクスがコースインしましたが、スピードアップできずに3周目で終了。ついに残り1分、バンプアウトされたばかりのマルコが大声援とともにコースインし、6時になって予選の終わりを告げる空砲が空に鳴り響きます。
 
全員が固唾を呑んで見守る中、224.728、224.481、224.576、224.728と平均224.628mphを記録し、28番手に滑り込んだマルコ! 再び大歓声が響き渡り、すでにマシンから降りていたハンター-レイはゆっくりと空を仰ぎました。
 
息子マルコが決勝進出を決めたものの「おそらく、オーナーとしての最悪の日だったのは間違いない」とマイケル。「ドライバーの時もここで何度か厳しい時を過ごしてきたが、オーナーとしては今回が最悪だった。みんなに申し訳なく思っている」
 
「しばらくの間ダニカと(スポンサー)のゴーダディに対してすまないと思っていたら、今度はライアンとマイクだ。最後に誰かが幸せになれないのは解っていた。我々はあまりにも同じような状況にあった」と表情を曇らせるマイケル。
 
毎年劇的な展開となるバンプデー。08年のロジャー安川、09年アレックス・タグリアーニ、そして昨年のポール・トレイシーと続き、今年はハンター-レイ、コンウェイ、マトス、サーベドラ、ジェイクス、タン、スピードが決勝に進出できませんでした。
 
何度も雨に見舞われた100周年のプラクティスと予選。しかし厳しい自然もまた重要な要素であり、AA勢以外に、15回も優勝しているペンスキーをも翻弄しました。スポット参戦のベテランにもチャンスがあるということを、あらためて証明した予選と言えるのではないでしょうか。
  
後ほどロジャー安川レポートをアップしますので、どうぞお楽しみに!
 
オフィシャル・スターティング・グリッド
バンプ・デー終了時点の暫定リザルト 
オフィシャル・フォト・ギャラリー 
●ハイライト映像

 
こちらはドキュメンタリーのようにまとめてあります。

 
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5月21日【ポールデー】タグリアーニが初のポール・ポジションを獲得。佐藤琢磨は10位
 

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最後のアテンプトでディクソンを上回る227.472mphをマークした瞬間、大歓声が上がったスピードウェイ。みごと100周年のインディ500でポール・ポジションを決めたのはアレックス・タグリアーニで、初のカナダ人ポール・ウィナー誕生です。
 

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CART時代から通算6度目のPPを獲得したタグリアーニ。「今週の中では最悪のコンディションで、簡単じゃなかったよ。ターン2、ターン3と4の入り口は11〜12mphの風があった。けっこう車を変えたから、限界域で安定して走るのはすごく難しかった」
 

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「たぶんベッドに行くまで、(夢じゃないかって)体をつねっているだろうね。信じられないほどチームは努力した。サム(シュミット)が入って助けでくれたから続けられたし、彼は素晴らしいリーダーだよ」とタグリアーニはオーナーに感謝。
 

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オーナーのシュミットは元インディカードライバーでPPと優勝経験を持ち、インディ500にも3回参戦しましたが、オフシーズンテストでクラッシュ。車椅子生活となるもチームオーナーとして復帰し、01年リッチモンドに続く2度目のPP獲得です。
 

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わずか0.132mph差でポールを逃したスコット・ディクソンは「朝から車を少し変えたけど、期待どおりじゃなかった。ターン3は追い風で車がスライドし、アクセルを戻したよ。タフなコンディションの中、タグリアーニはタイミングが良かったと思う」
 

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予選3位はオリオール・セルビアで、ディクソンに0.172mph届きませんでした。ニューマン・ハースにとって93年のマリオ・アンドレッティ以来となるインディ500のフロントロー。意外にも彼は3度目のインディ500、予選の過去最上位は25位でした!
 

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予選4位はタグリアーニのチームメート、タウンゼンド・ベル。毎年スポット参戦でインディ500に挑み、09年は4位でフィニッシュしているベテランです。サム・シュミットはブライアン・ハータとの共同チームでダン・ウェルドンも走らせ、予選6位に。
 

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レギュラー復帰組みやスポット参戦勢が大活躍する中、4連続ポールのウィル・パワーは5位。ペンスキーがフロントローを逃したのは04年以来で、3年連続ポールを狙っていたエリオ・カストロネベスは16位、ライアン・ブリスコーは24位内にも入れず。
 

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昨年のウィナー、ダリオ・フランキッティもコンスタントに227マイル台を記録していましたが、なんと最終ラップに燃料切れ。「3位はいけた」と語る彼は珍しく怒ってガレージへ戻る場面も。決勝は9番グリッドから連覇を目指すことになります。
 

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昨年は朝のプラクティスでクラッシュを喫し、ポールデーに出走できなかった佐藤琢磨でしたが、今年はトップ10に入る大活躍を見せました。4周平均で225.736mphをマークし、「ファスト9」にあと一歩の10番手。KV勢の中ではトップです。
 

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予選を走り終えた琢磨は「練習時よりもすごく涼しく、風向きも特徴的で、車はけっこう難しかったです。何度かリアが滑り出したんですけど、ここまでのプラクティスでいい感触を得ていたので、コントロールする自信はあったし、落ち着いて対応できました」
 

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「本来はもうちょっとダウンフォースを削る方向のほうが良かったと思うんですけど、特にレースセットアップがまだ不安を抱えているので、今日は確実に予選を通って、明日練習したかったんです。予選通過は絶対条件でした」
 

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「自分としてはあれ以上速く走れない、って言う状況まで持っていけたつもりです。そういう意味では達成感はありますけど、車がナーバスになっていたところを打ち消せればね、もうちょっとスピードは伸びたかもしれない」
 

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「ここまでのプロセスでしっかりとプログラムを消化し、予選でも力を出し切って、チームのベストでここまでこれたのは大きな進歩というか、去年とは比べ物にならないぐらいです」
 

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「自分もこの先どういう感じに進んでいくのかが解っていて、例えば明日の練習走行や、カーブデーではトラフィックの練習ができます。そしてレースに向かって行くっていうのが自分の中にあるので、ずいぶん精神的には楽ですね」
 

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今日は朝からお昼にかけて晴れ間が広がり、予報では雨でしたが、オーダーどおりのアテンプトができるまで天気がもちこたえました。しかし午後3時35分頃から少し強めの雨が降り出し、すぐに止んだもののセグメント1は終了。ファスト9のアテンプトができるかどうか微妙でしたが、路面はみるみる乾き、午後5時25分からやっと始まりました。
 
明日も晴れ後サンダーストームといった予報で少し心配ですが、最後まで白熱のバンプデーが続くことを期待したいですね!
 
ポール・デー終了時点の暫定リザルト 
オフィシャル・フォト・ギャラリー 
 
●ハイライト映像
・ポール・ポジションを獲得したタグリアーニ、歓喜の瞬間!

 
・第1セグメント