INDY CAR

第3戦ロング・ビーチのベストショットです!

インディカー写真カリフォルニア州ロング・ビーチはロサンゼルス国際空港からクルマで30分ほど南下したところにあり、アメリカ西海岸では貨物取扱量が最大と言われる大きな港町です。いつも僕が使っている道はハーバー・フリーウエイ(110号)で、サンペドロからシーサイド・フリーウエイに入って、ロング・ビーチに向かうルートを使います。
途中、ロング・ビーチ港をまたぐ大きなヴィンセント・トーマス・ブリッジを通るんですが、そこから眺める湾内の大きさにはけっこう驚きますよ。その後、もうひとつの橋を渡って街の目抜き通り、オーシャン・ブールバードに入るとそこはもうロング・ビーチのダウンタウン。街中にはグランプリの看板が見え始め、割高になった駐車場の看板などか増えだし、グランプリの雰囲気を徐々に感じていくのです。
オーシャン・ブールバードの左側にはヒルトン、ルネッサンス、ウェスティンといった、まず宿泊する機会のないような高級ホテルが並び、右手にロング・ビーチ・コンベンション・アンド・エンターテイメント・センターの入り口を発見します。一般入場はここから入るのですが、目の前にドーンと大きな仮設ステージが現れ、金曜日の夜には有名ミュージシャンによるライブを開催。とても楽しそうですよ。
今年で37回目の開催となったロング・ビーチ・グランプリですが、仲のいいアメリカ人カメラマンは「わしゃあ、初めてロング・ビーチ・グランプリへ撮影しに来たのが1976年だったから……あれは35年前か? そんときはF1が走っていたなぁ」と、目を細めながら計算するほど前からやっています。そんなベテランすぎるカメラマンがまだ現役で何人かいますからね。アメリカはたくましい国です。はい。
僕のアメリカの拠点となるトーランスからクルマで約20分という近さで、毎日家から通える唯一のレースです。そして今年が37回目ということは僕と同じ歳なのでね、お互い歳を取ったなぁと肩を叩きあいたいくらい、親近感を感じるレース・イベントでもありますよ。
そんなわけで、いつも以上に親しみをこめて撮影ポイントをご紹介しましょう。まずはこのコース・マップを右クリックし、「新しいウィンド」で開いて見ながらご覧いただきたいのですが、このコースはコンベンションセンター周辺に仮設され、計11のターンで構成されています。スタート・アンド・フィニッシュラインがあるショアライン・ドライブは、最終ターンからターン1まで長い緩やかな弓形を描き、300キロ以上も出るハイスピードなカーブが特徴です。
ターン1ではスタート・シーンやブレーキング勝負を撮り、ロング・ビーチ太平洋水族館近くのターン2〜3では噴水や花壇を入れた写真の撮影が可能です。ターン4〜5へと続くコースの隣には駐車場があって、ここの屋上から毎年コースの俯瞰を撮るのですが、転落防止の壁によじ登って落ちないように撮影するのが大変だったりします。
その後マシンはターン8を曲がってイースト・シーサイド・ウェイに入り、コンベンションセンター入り口の下を通ってターン9へ。そこにある縁石にマシンが右タイヤを乗せて跳ね上がる一瞬を狙います。けっこうタイミングが難しいんですよね。これがまた。ファイアストン・ブリッジを通過したマシンは、観客席で囲まれたターン10を過ぎ、最終コーナーのターン11のヘアピンに向かいます。毎年ここの内側でクルマの超接近撮影を行うのですが、クルマが目と鼻の先っていうぐらい近いので迫力満点ですよ。
今回のベスト・ショットは、最終ターンの外側にあるフォト・ホールで撮影した一枚です。ここは最終ターンのヘアピンの立ち上がりで、マシンがもっとも外側のコンクリート・ウォールに近づくポイントでもあります。このフォト・ホールは、マシンがこの辺でクラッシュして停まってしまった場合、ドライバーがコース上から逃げ出すためのエスケープ・ホールにもなっています。
ですからまあ、短いレンズで写真にフェンスが入らないようにするには、このホールから身を乗り出してカメラを構えることになり、ドライバーと目が合っちゃうくらい危なくなります。でもそうやって写真を撮ってると、コース・マーシャルにすぐ怒られるので、だったらそのマシンがコンクリート・ウォールにぎりぎりまで近づく姿をね、この際フェンスまで入れ込んで撮るかってことで撮影したのがこの写真。まさに市街地コースならではの写真で、その臨場感を感じていただければ嬉しいです。
それにしてもレース終盤にベテランのダリオ・フランキッティとライアン・ブリスコーを簡単に抜き去って、初優勝を飾ったマイク・コンウェイの走りはみごとでした。今後も何勝かしそうなほどの勢いでしたよ。今シーズンのダークフォース的な存在になって欲しいですね。
さて、この写真をよく観ていただくと、コースサイドの右側奥にメジャーリーグで大活躍した名投手、ランディ・ジョンソンが写っています。メジャーリーグを引退後、写真撮影が趣味なのかNASCARの撮影もしていて、今回、なぜかロング・ビーチのオフィシャル・カメラマンとして撮影していました。とっても大きな人でしたよ。僕も使っているCanonのEOS‐1D Mark ?とレンズを使っていたのですが、一回り小さいCanonのEos Kissに見えましたからね。

画像

たまたまそのランディの隣で撮影していたときに、向かい側の最終コーナーのヘアピン内にいた友人のカメラマンが、僕とランディを撮影してくれました。これがその写真なんですが、やっぱりランディはでかい! フォト・ホールひとつぶん縦に違いましたからね。いやはや、まんず、おどけでねぐ(すごい)大きな人でした。

画像

Photo & Text by Hiroyuki Saito
●撮影データ
機種: Canon EOS-1Ds Mark ?
レンズ: Canon EF 24-105mm f/4 L IS USM
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/640
絞り値: F4.5
測光方式: 評価測光
ISO感度: 50
焦点距離: 24.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
※第3戦Pick the Winnerのプレゼントはこちらの写真となります。