INDY CAR

開幕戦セント・ピーターズバーグのベスト・ショットです!

インディカー写真ついに2011年インディカー・シリーズが開幕しました。昨年はブラジルでシーズンのスタートを切ったのですが、今年はフロリダ州セント・ピーターズバーグの市街地コースが開幕戦の舞台となりましたね。
CARTシリーズを含む8回目の開催となるセント・ピーターズバーグは、フロリダ半島の中間でメキシコ湾側に位置し、タンパ国際空港からクルマで約30分の小ぢんまりとした街です。そのダウンタウンの一般道路と、タンパ湾岸にあるアルバート・ウィテッド空港の滑走路の一部を使用して仮設された市街地コースが、今回の舞台となります。
ダウンタウンの交差点や湾に面したヨットハーバー沿いの道路、そしていつもなら小型飛行機が離着陸を行うための滑走路を、インディカーが超高速で駆け抜けていきます。一部を除いてエスケープ・ゾーンがほとんどないため、少しでもコンクリート・ウォールに接触してしまうとマシンへのダメージは必至で、あまりにも大きな代償となってしまいます。
そんな極限の緊張感を保ちつつ2時間もレースをするのですから、ドライバーの集中力や技術力、精神力にはいつも驚かされます。特に今回は無傷で完走することが難しいレースとなり、スタートからアクシデントが続出。セント・ピーターズバーグは前述したとおり、すでに7回も開催されていて、ベテラン勢にとっては走り慣れたコースです。それでもやはりスタートは紙一重というか、今回のように7台が絡む大クラッシュに発展してしまいました。
そのアクシデントを撮影中に、ふと昨年の開幕戦のスタート・シーンが脳裏をよぎり、佐藤琢磨が巻き込まれていないか、コース上に止まってしまったマシンをすぐに確認しました。幸いそこにグリーン&イエローのマシンはなく、走行を続けていた琢磨のマシンは損傷もなさそうで、ほっとしたのは言うまでもありません。
さあ、これからどんどん攻めてくれるだろうと期待したものの、リスタートするとすぐにコーションが発生してしまう波乱の展開。しかも今年から設定された新ルールにより、再スタートがツーワイドで行われることになりました。今回、不利なアウト・サイドからのポジションからリスタートすることが多かった琢磨は、本来ならポジション・アップのチャンスなのに、順位を落としてしまう歯がゆいパターンが続きます。
それでも、計5回のコーションが発生したサバイバルレースで、“With you Japan”と大きく描かれたマシンは確実にポジションアップし、しかも自己最高位となる5位でフィニッシュしてくれました。
今回のベスト・ショットはあえて、彼が苦労していたリスタートのシーンをセレクト。不利なアウト・サイドからスリーワイドでターン1へ進入する様子ですが、ここで度々順位を落とすことになっても、彼はぐっと堪えて走り続けていました。必ずゴールして、日本の仲間に自分の気持ちを届けたいという、彼の熱い思いを感じたのです。
僕自身も日本を離れている今、色々な思いが伝わる写真を撮ることで、被災された方々を少しでも励ますことができるよう、これからもがんばって撮り続けたいと思った開幕戦でした。
Photo & Text by Hiroyuki Saito
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark �
レンズ: Canon レンズ EF70-200mm f/2.8L IS USM
撮影モード: シャッタースピード優先AE
シャッタースピード: 1/640
絞り値: F8.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 200.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
※こちらが今回のPick the Winnerの写真となります。