INDY CAR

第16戦インディ・ジャパンのベスト・ショット&撮影裏話!

インディ・ジャパンが無事終了しました。終わってみれば、なんだかあっという間でしたね。今年も天候に悩まされることなく(決勝日が想像以上に暑かったことくらい?)、2回のプラクティス、予選、そして決勝とスムーズにすべてが行われてよかったです。昨年も雨が降らなかったのでね、9月開催は季節的に正解なのかもしれません。まあ、台風さえこなければって話なんでしょうけど。
 
いつもなら、ここでレースが開催された場所の雰囲気やコースの特徴などを説明するのですが、US RACINGをご覧のみなさんに、あらためてツインリンクもてぎのことについて説明するのも野暮ってもんでしょう。ということで、その辺は今回割愛しますよ。悪しからずということで。
 
撮影に関しては、やはり日本のコースなので行き届いている点が多いですね。すべてのコーナーの外側にフォト・ホールが設置されてあり、その幅も広いので一度に3〜4人は撮影可能です。スタート時のターン1の外側でもそれほど混雑することなく(それでも良い場所は早めにいって撮影場所をキープしなければならないのですが)撮影ができます。
 
インディ・ジャパンは日本で開催される国際的なレースですから、やはり新聞社や雑誌社などのカメラマンの方々が非常に多いです。プラクティスの撮影でも早く行かないとフォトホールが埋まってしまうことがあるので、油断はできませんよ。
 
コース内側での撮影はターン3からターン4にかけてオープンなので、いろいろと創意工夫すると、けっこう面白いカットが撮れたりします。今回はそのような日本人ドライバーの写真を含め、エリオが優勝したのでね、お馴染みのカットを選んでみました。
 

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前戦のケンタッキーはピットインのタイミングをずらし、燃費走行で優勝でしたエリオ・カストロネベスですが、今回のもてぎでは“一番速いマシンがレースで勝つ”を証明するかのような見事なポール・トゥ・ウインを飾りました。
 
撮影しながらその走りを見ていましたが、強いエリオが帰ってきたなという感じを受けましたよ。シーズン終盤になっての2連勝、タイトル争いにカムバックすることはできなかたものの、来年こそはという気持ちが強いでしょうね。
 
さて、しかるべき場所でエリオのチェッカー・シーンを撮影し、表彰台に駆け込みたいのをぐっとこらえながら、エリオがメイン・ストレートに戻ってくるのを待ちました。
 
コースにマシンを止めてフェンスに向かっていくエリオを長玉(400ミリ以上のレンズ)か、70−200mmのズーム・レンズに1.4倍のエクステンダーを装着し、広い画で撮影しようか一瞬迷ったのですが、気がついたら500mmレンズを構えていました。
 
何カットか無事に撮影し終わり、エリオが降りはじめたのでね、僕も撮影を止めて機材を抱えて表彰台にダッシュです。なんとかエリオが表彰台に来る前にたどり着いたので、一安心。エリオがクルマから飛び出すシーンも撮影できました。
 
長かった表彰台の撮影を終え、メディアセンターで写真をチェック。するとフェンス登りの写真の中に、なんと一枚だけスタンド側から撮っていた知り合いのAカメラマンのストロボが同調し、エリオにスポットライトを当てているような写真があるではないですか。そうそうタイミングが合うものではないのでね、すごくラッキーでした。
 
その昔、他の知り合いのカメラマンが、このような自分が発光していないストロボの偶然の同調を拾ったときのことを「ごっつぁんストロボ」と呼んでました。ほんと、ありがたくいただきました! って感じです。まさに「ごっつぁん」という言葉が言い得て妙といった表現で、おもしろいですね。
 
早速このストロボを発光してくれたAカメラマンに写真を見せたところ「ドラゴンボールのカメハメ波みたい(笑)」と、これまた言い得て妙なコメントまでもらったのでね、今回のこの同調に関してだけは「カメハメ波ストロボ」と令名したいと思います。
 
ともあれ、偶然がタイミングよくピタリと重なった結果、めずらしいエリオのフェンス登りを撮影することができました。「カメハメ波ストロボ」ごっつぁんです!
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1Ds Mark ?
レンズ: Canon EF 500mm f/4 IS USM
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/500
絞り値: F4.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 200
焦点距離: 500.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
 

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第1プラクティス開始直後、オイル・ラインのトラブルで漏れたオイルに乗ってクラッシュしてしまった佐藤琢磨。これまでの悪い流れが日本まで続いているのかと、我が目を疑わずにはいられない光景でしたよ。
 
その後、クルーが一丸となってマシンを修復する様子をガレージで撮影していたら、なんとチームオーナーの一人であるジミー・バッサーも、アンダー・トレーに溜まっていたエンジン・オイルをペーバータオルで拭いていたのです。
 

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大勢のクルーに混ざって、96年のチャンピオンは少しでも早く直そうと一生懸命でした。彼にとっても重要なもてぎで、このようなマシン・トラブルが起こるとは思ってもいなかったでしょう。オーナーとして責任を感じていたのかもしれません。
 
チームの懸命な作業の甲斐あって、2回目のプラクティス残り20分で走行開始、琢磨はその後の予選で10位を獲得してみせました。セッティングを煮詰め切れなかったマシンで臨んだ決勝は、序盤でポジションを落としたり、ピットの度に順位を下げてしまったこともありましたが、その度に追い上げて12位でフィニッシュしたのです。
 
凱旋レースとなるもてぎで、オーバルではインディ500以来の完走。初めてのもてぎのレースを無事完走したという証のようなカットを撮影したかったので、MOTEGIのロゴがぴったり収まるようにシャッターを切りました。F1時代から凱旋レースに強い琢磨。来年もその勇姿が見たいですね。
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1Ds Mark ?
レンズ: Canon EF 500mm f/4 IS USM
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/500
絞り値: F4.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 500.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
 

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今年のインディ・ジャパンは気負わずに、リラックスして臨みたいと前々から言っていた武藤英紀。ぎりぎりで戦っていた昨年までの経験が、英紀をそう考えさせることになったのでしょう。
 
実際に初日からリラックスできていたようで、緊張感はあるものの昨年のような緊迫した感じではなかったと思います。これまでのアメリカのレースと変わらない流れというか、同じような雰囲気がありましたね。
 
オーバルの予選ではめずらしく17位と後方からのスタートとなりましたが、レースでは確実にポジションを上げて14位でフィニッシュ。マシンから降りた英紀が、応援してくれたファンに向かって大きく手を振っていたのが印象的でした。
 
写真は初日の午前中に行われたプラクティスでのワンカットです。毎年ターン3とターン4の内側から撮影するのですが、後の方からコースとその間にある低い木々を入れ込んだ、スローシャッターの流し撮りにトライしています。
 
木々から飛び出してきたかのように疾走するマシン。9月の開催になり、季節の変わり目のせいか独特の色をした木の葉と、マシンのコントラストをうまく表現できたかなぁと。来年も琢磨同様、英紀の勇姿をこの場所で同じように撮影したいです。
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 70-200mm f/2.8 IS USM+EXTENDER EF 1.4×?
撮影モード: マニュアル露出
シャッタースピード: 1/15
絞り値: F40.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 50
焦点距離: 280.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
 

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日本人ドライバーとして、インディ・ジャパン参戦最多記録となる6回目の出場となったロジャー安川。毎年インディ・ジャパン参戦のチャンスを狙っているロジャーの、ここに至るまでの困難な道程を、身近にいる我々はずっと見てきました。
 
昨年はインディ・ジャパン目指して早くから動いていましたが、直前にスポンサーのドタキャンがあり、結局ぎりぎりまで乗れるかどうか分からない状況でした。それが今年は昨年までのようにドタバタ劇ではなく、エントリーするチャンスが舞い込んでからは実にスムーズで、あれよあれよと言う間に参戦が決定したのです。
 
あまりにも急だったせいか、せめてテスト走行が出来る機会があれば、結果はもうちょっと違っていたかもしれません。来年は早い段階からシートが確実に決まり、さらにはインディ500にも出場できればと思います。
 
このように毎年スポット参戦が続いているロジャーですが、やはり、久しぶりにコースに出て全開にする時が一番緊張するとのこと。それを聞いてからというもの、ロジャーの初乗りの際は必ずピットにいて、マシンがピット・アウトするまでを撮影するようにしています。そこにはレギュラー参戦のドライバーとは違う空気、緊張感が漂っているんです。
 
写真はその最初のピット・アウトを撮影したものです。ほぼ1年ぶりの走行がいきなり本番ですから、そりゃあ緊張しますよね。ただ、それさえも慣れてきたと本人は言っていますが・・・(笑)。
 
ロジャー安川の3年連続6度目のインディジャパンは、このピット・アウトからスタートしました。
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1Ds Mark ?
レンズ: Canon EF14mm f/2.8L IS USM
撮影モード: シャッター速度優先AE
シャッタースピード: 1/250
絞り値: F13.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 100
焦点距離: 14.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
Text & Photo by Hiroyuki Saito
 
※こちらが今回のPick the Winnerの当選者の方にプレゼントする写真です!