INDY CAR

第12戦ミド-オハイオのベスト・ショット&撮影裏話!

シーズンも残り5戦となりました。今週末から続く3連戦が終れば、いよいよインディ・ジャパンと最終戦だけですね。いやはや早いものです。
 
去年までは3連戦や4連戦といった過酷なスケジュールが、シーズンに2〜3回あった年もありましたが、あれは厳しかった。やはり連戦というのは2連戦までにしておいた方が、ドライバーや関係者にとって良いのでは? 移動距離にもよりますけどね。今シーズンはこれからの連戦が今年唯一の3連戦なんで、がんばって取材したいと思いますよ。
 
さて、前戦のミド−オハイオもCART時代から取材していたコースで、インディカー・シリーズは2007年から開催されるようになりました。コースはオハイオ州の中心地コロンバスから北東に位置しており、コロンバス国際空港から約1時間。一番アクセスが良い最寄りの都市は、コースの北東に車で約10〜15分の場所にあるマンスフィールドです。
 
空港からコースまで行くには30分くらいフリーウエイを運転し、降りてからは広大な放牧地帯に延びる国道を北上します。その途中にはアーミッシュの人たちの村があって、アップダウンのある片道一車線の国道を、彼らが馬車で走っていたりするのですよ。上り坂を駆け上がった瞬間、突然その馬車が出現することもあって、かなり驚きます。
 
このコースは1964年にオープンし、1980年にCARTの一戦が開催されるようになった歴史あるサーキットです。コース・サイドには多くのキャンピングカーが集まり、毎年夏休みを利用してたくさんのファンが集結。特にターン4から6までの丘は大人気で、携帯用の椅子を使ったり大きなシートを広げて、家族や気の合う仲間たちが一緒にレース観戦を楽しんでいます。
 
常設のロード・コースだけに、やはり多くのお決まりとなる撮影ポイントがありますが、今回選んだ写真はそういった場所ではありません。他のカメラマンがあまり行かない場所、あまりやらない手法で切り取ったミド−オハイオの写真を選んでみました。
 

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予選2位からスタートしたダリオ・フランキッティは、ピット・ストップでトップだったウィル・パワーの前に出ると、その後はベテランらしい落ち着いた走りでみごと優勝しましたね。今季2勝目、ポイント差はリーダーのパワーと41ポイントとなり、ディフェンディング・チャンピオンが意地を見せました。
 
この写真は緩やかな上り坂となるターン10を走行しているシーンです。天気の良い午前のセッションでは、コースサイドの木々が東から照りつける太陽の光を遮り、コース上に大きな影が出現。そこには枝の隙間から漏れる光と、針葉樹林の密集したブロックとブロックのわずかな隙間から、光の筋が影を引き裂くように伸びています。いつ頃この光景を見つけたのかは忘れましたが、この時間にここまで足を伸ばして撮影に来るカメラマンは、そう多くはいません。
 
順光でマシンがハッキリと写っている写真も必要ですが、このような自然が作るスポット・ライトというシチュエーションは滅多にないのでね、そこを通過したマシンが一瞬だけ見せる明暗のコントラストっていうのを切り取ってみました。けっこう速度が高く、その瞬間に合わせてシャッターを切るのはね、ちょいと大変です。
 
今回もできるだけマシンに寄りたかったので、500ミリレンズに1.4倍のエクステンダーを装着し、700ミリ換算となる焦点距離で撮影しました。この光のスポットライト、太陽が上がっていくにつれて、徐々に小さくなっていきます。撮影時間はけっこうありますが、タイミングよく撮影するのが難しいのでね、このように狙いどおり撮れると、やはりうれしいもんです。
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1D Mark ?
レンズ: Canon EF 500mm f/4 IS USM+EXTENDER EF 1.4×?
撮影モード: マニュアル露出
シャッタースピード: 1/500
絞り値: F11.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 200
焦点距離: 700.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
 

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予選12位からスタートした武藤英紀は決勝レースで順調な走りを見せていましたが、ピット・ストップで起きたトラブルによって後退を余儀なくされ、18位でフィニッシュしました。レースでのマシン・バランスは悪くなかっただけに残念な結果となりましたが、今週末のインフィニオンでその鬱憤を晴らす走りを期待したいです。
 
この写真はターン6からターン7にかけて、上り坂を駆け上がっていこうとするマシンのスピード感を表現しようと思い、広角レンズで周辺の深緑の木々を入れ込んでスロー・シャッターで撮影しました。
 
このシーンはけっこう速い動きでの流し取りで、しっかりとマシンの動きに合わせなくてはいけません。そのため両脇をぎゅっと締めて、カメラをがっちりホールド。カメラをすばやく振っても軸がぶれないよう両足で踏ん張り、背骨を軸とした左右の回転運動でファインダー内にいるマシンを追います。
 
似たような身体の動きで言うと、コンパクトにした卓球のスイングといった感じでしょうか。動きが早くなればなるほど、やはりブレが大きくなるので、スローシャッターでの撮影は特に大変。雰囲気がわかりやすいように、高速シャッターで背景もカチッとしたカットも撮影しますが、このような方法でマシンの疾走感を伝えることも、ひとつの表現方法だと思いますね。
 
●撮影データ
機種: Canon EOS-1Ds Mark ?
レンズ: Canon EF 24-105mm f/4 L IS USM
撮影モード: マニュアル露出
シャッタースピード: 1/20
絞り値: F22.0
測光方式: 評価測光
ISO感度: 50
焦点距離: 24.0mm
オートフォーカスモード: AIサーボAF
ホワイトバランス: オート
 
Text & Photo by Hiroyuki Saito
 
※こちらが今回のPick the Winnerの当選者の方にプレゼントする写真です!